三分で読める一話完結型ショートホラー小説

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同居人

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一人暮らしするお金がなかった私達はシェアハウスをしている。
といっても最近私が務めているデザイン系の会社が、かなり大きな仕事を依頼されており、朝まで徹夜してデザインを考えて昼前に帰ってくるといった日々が続いており、そのせいでココ最近は顔を合わせることもほとんどない。
実質一人暮らしのようなものだった。
「はぁ、仕事が上手くいっているのは有難いけど、こうも毎日が仕事尽くしじぁやってけないわ」
かなり参ってきているが、ここが頑張りどころだ。この仕事が上手く行けば、世界に私の勤めている会社の名が広く知れ渡ることとなるだろう。その会社に勤めているとなれば、私としても鼻が高い。幼い頃からの夢だった、【世界で活躍するデザイナー】という夢にも大きく近づくことができるだろう。

「ただいまぁ...」
といってもルームメイトはとっくに出勤している時間だ。
「はぁ、ここに住みたての頃は、よく飲みながらお互いの夢や彼氏の愚痴を言い合ったりしてたんだけどな...」
静かな部屋の中、ズルズルと足を引きずり、なんとかお風呂に入って寝た。
短い間でも、睡眠は大切だ。
こんな大変な時期だからこそ、しっかりと寝て英気を養わなければ。


ガサガサ、ガサガサ
物音で目が覚めた。
あれ?もう帰ってきたのかな?今日は妙に早いな。
そんなことはどうでもいい、とても疲れているのだ。
今はただ眠りたかった。


ピピピピ、ピピピピ。
不快な目覚ましの音で目が覚めた、会社に行く時間である。
「あれ?誰もいない...?」
確かにルームメイトが帰ってきた痕跡はあるし、物音もしたのに、誰もいない...。
「どこかに出かけているのかな?いいな、私も早く遊びに行きたいな...」
そんなことを考えながらヨーグルトを一口だけ口にし、家を出た。 

今日の仕事も次の日の朝まで続いた。

「ただいまぁ...今日もつかれたよぉ」
あっそうだ、もう出勤しているよね。
昨日もそう思ったのに、私疲れてるな。
今日も寂しい気持ちでお風呂に入り、すぐに寝た。


ガヤガヤ、ガヤガヤ。
また物音で目が覚めた。
テレビでも見ているのだろうか?たくさんの人の話し声と笑い声が聞こえる。
人が寝ているのだ、もう少し気を使って貰えないものだろうか?
少し怒りが湧き、怒鳴りに行こうと思ったが。疲れているのか、またすぐに寝てしまった。


ピピピピ、ピピピピ。
目覚ましの音というものは、どうして人をこんな嫌な気持ちにさせるのだろう。会社に行く時間だ。
「あれ?またいない...」
2日連続で出かけるとは、なんとも羨ましい。というか、私を誘ってくれてもいいじゃないか。忙しくて行ける訳でもないが、なんだか癪に障る。
それに寝ている間も静かにして欲しい、こっちは疲れているのだ。
「なんだかイライラしてきた、今度会った時に文句を言ってやろう」
そんなことを考えていると、思ったより時間を食ってしまった、急いでヨーグルトを一口だけ食べ、会社に向かった。

今日は特に大変だった、自分が考えたデザインがなかなか認められず、何度も訂正を食らった。おかげで身も心もボロボロだ。

「ただいまぁ...」
居ないことはわかっているが言ってしまう。
誰でもいいからおかえりと言って欲しかった、慰めて欲しかった。
まぁ、誰もいないのだけど。
「...今日はお風呂はいいや、寝よう」
布団に入り、すぐに寝てしまった。


ワイワイガヤガヤ、ワイワイガヤガヤ。
あまりのうるささに飛び起きた。
大勢の人の声と笑い声、陽気に歌っている人までいる。
「アイツ、私が寝ているにもかかわらず、友達を呼んでホームパーティをしているな」
さすがに我慢の限界だった。


「うるさいわよ!!こっちは仕事でへとへとなの!!少しは静かにしてちょうだい!!」
思いっきり扉を開けて喚き散らした。

そこには誰もいなかった。
「え?」
恐怖のあまり声が出ない、イヤな汗が全身から吹き出し、寒気と鳥肌がとまらない。
誰かと話したくて、ルームメイトに電話をかけた。
「もしもし、久しぶりだね!一緒に住んでるのに顔も見せれなくてごめんね、すぐ帰るから!」
「え?何言ってるの...?」
「あれ?メール見てない?まぁ仕事忙しそうだったもんね。あたし今実家に帰ってるの、父さんが倒れたらしくってさ、でも大丈夫。別に問題なさそうだから。」
「じ、実家にいるって、どれくらい前から?」

「え?3日前からだけど?どうしたの?」
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