三分で読める一話完結型ショートホラー小説

不法投棄

俺の仕事は違法なゴミを違法な場所に不法投棄するゴミ処理人だ。
法的にアウトな所を除けば意外と楽で稼げる仕事だ。まぁ法的にアウトな所に問題がありすぎるのだが。
毎回依頼を受ける人は違っていて依頼されるゴミも様々だ、基本的に中は見れないように袋に入れられているため、何を運ばされているのかは分からない。
たまに中でもぞもぞと蠢いているでかい袋を渡されることもある。
別に中を覗こうと思えば覗ける、最終的にゴミを捨て、この世からそのゴミをなかったことにすれば依頼は完了だからだ。実際、俺の同僚に中を覗いたヤツがいる。少し間が抜けてるところもあったが、話も合うし、明るくひょうきんな奴だった。しかし袋の中を覗いてから彼は変わってしまった。かつての笑顔は一切なくなり、すごい勢いで痩せていった。しばらくして、彼の姿を見掛けることはなくなった。そんな彼を見ておいて、中を覗こうとするバカはいないだろう。
俺らはただ依頼された物を何も考えずに指定された場所に捨てるだけでいいのだ。それ以上でも、それ以下でもない、ただ依頼されたことをこなしていればいい、それが一番幸せだ。
世の中には、知らない方がいいことが、たくさんあるのだから。