三分で読める一話完結型ショートホラー小説

最近の食品

最近、個人の企業が独自に品種改良を行い、その生物の肉を売りに出すことが流行っている。これによって食品の幅が一気に拡がった。今までは肉といえば、鳥、牛、豚がオーソドックスだったが、鳥と牛が融合した生物の肉、牛鳥肉や、カエルと豚が融合した豚ガエル肉などのゲテモノ系まで様々な食品が誕生した。
かくゆう俺も食品会社に務めており、日々様々な新しい食品を考えている。最近は逆に奇をてらった食品がウケる傾向にあり、うちの会社も次に出す食品は一風変わったものを出そうとしている。
そこで考えた、人間と牛の融合肉等はどうだろう？最近までは倫理的または道徳的理由から、人間の肉は食べられてこなかったが、最近の食品が倫理的かと言われると、そうではないだろう。
私の推測だが、人類は食事に飽きたのでは無いだろうか？
今の時代、食べたいものがあればすぐに食べることができる。きっと人類は、今ある食品に食べ飽きてしまったのだろう。人間の欲望に果てはない、ましては食欲は3大欲求の一つだ、その欲求は枯れることはない。もう人類に残された手は、食べたことの無い食品を、自らの手で生み出すしかないのだ。
そんな欲求不満の状態の世間が、人間の肉と牛の融合肉が出来たと知ればどう思うだろう？きっと食に対する欲求や今まで禁止されていたものを食べられるという背徳感からバカ売れするに違いない。
早速社長に相談してみると、人の肉がメインならダメだが、牛の肉がメインで人の肉がアクセントとしても入っているのなら問題ないと言ってくれた。牛の肉がメインか...一様人としての倫理感や道徳観は多少は残っているようだ。まぁそんなことは関係ない、俺の出した案が採用されたのだ、これは昇進は間違いないだろう。俺が勝手に喜び、浮かれている中、社長がこういった。

「その人肉第1号は君だね」