生きるのが下手すぎる僕と電柱

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宅飲み

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学生時代仲の良かった男子の家で飲むことになった。
高校の頃のウブな私とは違うところを一目見せてやろうと思う。

「大丈夫大丈夫、私は可愛い私は可愛い」

鏡を見て唱える。

占い師に見てもらった結果、悪いことは言われなかった。
まぁ、いいことも特には言われなかったけど。

「頑張ればなんとかなる」

そんなニュアンスのことを言われた。
1時間1000円取られたが、自信には繋がるのでいい...でしょう!!
うん、大丈夫大丈夫...。

飲み会当日、高校の頃は出来なかったメイクをし、取っておきのオシャレをしてチャイムを押す。

ピーンポーン

(ドキドキ...)

ガチャ

キタ!!見ろ!!私を!!トキメケ!!

「あぁ、いらっしゃい...入って入って」

なに?その態度?
なんだかイマイチの反応に苛立ちを覚える
...久し振りに会ったから、緊張してるのかな?

「見て~!!買ってきたお肉!!美味しそうでしょ~、高かったんだよ~」

「おお!!美味そ~!!座っといてよ!今お箸洗うわ」

...お箸洗っとけよ。

節々にガサツで抜けてるところもあるが、顔はいいし見方を変えればおちゃめで可愛い。
最初の方こそテンション感に違いはあったが、焼肉を食べつつお酒を飲み進めていくといい感じに盛りあがってきた。

「なぁ、○○今何してるか知ってる?あいつと連絡取れなくてさ~」

「知らないの!?なんか東京の音楽関係の大学行ったらしいよ、ほら、あの人軽音部だったじゃん?ガチでそれでやってくつもりらしいね」

「マジかよ!!言ってくれればいいのにさ~、俺仲良かったのに~ひでぇよ!!」

「あはははは!!まぁなんか言いにくいじゃない?売れるまでは合わす顔がない...とかいいそうじゃん、○○」

「ははは!!真似上手すぎ!!本物かと思ったわ!!」

「ちょっと!!私女だよ!!男の真似して似てるとか言われても嬉しくないよ!!」

「ごめんってごめんって!!ほら、もっと飲めよ!!」

並々注がれるお酒、酔わせたいのだろうか?脈アリ?ならば責めるしかあるまい

「ねぇねぇ、今彼女とかいるの?」

「おうおう、すごい話題振ってきたな」

「こ、恋バナが1番盛り上がると思ってさ!!」

嘘である、内心心臓バクバクだ。

「いないよ...」

きた!!

「そっか~、私もいな~い」

さ、さりげなくアピールできているのだろうか...。

「...ごめん、ベランダでタバコ吸ってくるわ」

彼がタバコをくわえながら窓に手をかける

「え?ちょっ...」

ピシャ!

「...」

私、可愛くなったよね?2人で家で飲むってことは、私に気がある訳じゃないの?

...。

その後の飲み会はテンション感こそ変わらなかったものの、どこかお互いに盛り上がっているのを演じてる感じがしてならなかった。

「お、もうこんな時間か、終電無くなるぞ、送ってやるよ」

...

「と、泊まっていく!!」

このまま何も無く帰るつもりはなかった。

「い、いや、明日俺仕事あるし...、それほら、あれ男だし止めちゃうのはちょっと...」

「分かってて言ってるの!!泊めてよ!!泊めてってば!!」

ダメだ、泣きそうだ、何言ってるんだろう私...。

「お、送るよ、ごめんごめん飲ませすぎちゃったよね」

ダメ、限界

「うわああああああああん!!!!」

「ちょ!!大丈夫かよ!?タクシー呼ぶわ、それ乗って家まで帰りな...」


好きだった、彼が好きだった。
高校の頃から、ずっと...

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