桜の花びら舞う夜に(毎週火・木・土20時頃更新予定)

夕凪ゆな@コミカライズ連載中

文字の大きさ
上 下
50 / 158
五◆京の都

しおりを挟む

 京の都は、千早の想像していた通り賑やかなものだった。

 道の左右には店舗兼住宅の町屋まちやがずらりと軒を連ね、さまざまな商いが営まれている。酒屋に米屋に八百屋に呉服屋、それに家具や陶磁器、刃物の店、それからお茶屋に和菓子屋等、未来では殆ど消えてしまった京都の古き良き街並みが、この時代にはそっくりそのまま残っていた。
 道は石畳で舗装され、歩くのに不便は感じない。行きかう人も多く、本当に治安が悪いのか疑問に思うほどだ。

 千早はそんな街並みを見渡しながら、日向と共に二十人程の隊の一番後ろについて歩いていた。
 巡察は基本的に二つの隊の合同で行うらしく、この隊は沖田率いる一番隊と、斎藤率いる三番隊で編成されている。先頭を斎藤、その後ろに平隊士たち、そして殿しんがりの沖田の後ろに、千早と日向が続く。

 ちなみにこの隊の今日の見回り範囲は、四条烏丸しじょうからすまから河原町丸太町かわらまちまるたまちまでらしい。
 少々詳しく言えば、新選組の屯所である前川邸からすぐの四条通を東に入り、南北に伸びる河原町を京都御所方面へ上ってから、御所前の丸太町通で西に入って、烏丸通にぶつかったら南に下る経路だ。
 つまり今千早たちは四条通を東に進んでいるということになる。何事もなければ徒歩約三時間の道のりだ。

 ちなみに四条通と言えば、未来では京都最大の繁華街だ。祇園から四条烏丸まで、四条河原町交差点を中心に巨大な街を形成しており、度々交通渋滞が発生する地域でもある。
 千早は未来の四条通の様子を思い浮かべながら、百五十年でこうも街の風景は変わるのだなと驚いていた。なぜって、未来にはこの時代の面影が全くないものだから。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

処理中です...