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オルディナ・レイティスト
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それからは話がトントン拍子に進んだ。
王は自国でジークの相手が見つかったことで、早速今後の交易について話し合おうとするし、両親は嫁ぐ娘のためにあれこれと準備を始めた。
ジークはすぐにディアナを連れて帰りたがったけれど、名目は留学生で滞在しているので、その期間は此方に止まるらしい。
ただ学園では常に一緒に過ごし、休みには必ず我が家を訪れた。
婚約を結んだことで、オルディナが二人の席にいる必要が無くなったことが、せめてもの幸いだった。
問題があるとすれば、オルディナが出掛けた先々でジークと出会うことだ。
隣にディアナが居ることもあるし、そうじゃないときもある。
(これが運命の強制力なのかしら……はっきり言って付きまといと思われていないか心配なんだけど……)
嫌な予感とは当たるもので、ある日出掛けた美術館で二人にばったり出会した。
ジークは驚いた表情だったが、ディアナの目は驚愕からすぐに憎悪に変わった。
「お姉さまいい加減にしてください!」
突然のことに言葉を発せないでいると、興奮した妹は更に続けた。
「毎回毎回私たちのこと付け回すのは止めてください!」
さすがにそれは誤解だとすぐに否定したが、妹は止まらなかった。
「毎回出会うなんて運命とでもいうんですか?残念ながら彼の運命の番は私なんです!いい加減にしてください!」
顔を両手で覆って泣き出す妹を、ジークは慰めるように抱き締めた。
こんな人だかりの、それも美術館の中で大声をあげるものだから、周囲の視線が一斉にこちらを向いた。
それは好奇の目であり、蔑視の目であった。
「─っ!」
あまりの展開に足が動けずにいるオルディナにジークが追い討ちをかけてきた。
「すまない……今までも言おうとは思っていたが、彼女の姉と言うことで躊躇してしまった。今後私たちを追い回すのは止めてくれないか?」
(……ちょっと待て)
(こっちには一切そんなつもりはないのに、何その濡れ衣!)
怒りで震える手を見て何を誤解したのか、ジークは哀れむような目でこちらを見てきた。
あまりに悪意ある妹の行動に耐えきれなくなったオルディナは、固まっていた足を何とか動かし、その場を黙って去った。
(きっとあの場で何を言ってもあの子に利用されるだけ……)
悔しくて涙が出そうだったが、部屋に帰るまで必死に我慢した。
そのかわり自室にたどり着くなりベッドに飛び込み、思う存分泣いた。
落ち着いた頃に部屋をノックして入ってきたのは、メイドのカメリアである。
彼女は察したように、なにも言わずに温めたタオルを差し出すとオルディナはそれを目の上にのせた。
タオルが冷めると今度は冷たいタオルを差し出された。
それを交互に続けていくと目の回りがだいぶ落ち着いてきた。
「これなら大丈夫ですね」
「……ありがとう」
カメリアは言葉が少ないが、いつもオルディナを気にかけてくれるので、ほとんどディアナの味方の屋敷内で数少ない彼女の理解者でもあった。
「それでお嬢様……」
言いにくそう言葉を濁すカメリアに、オルディナは状況を察してため息を吐いた。
「……呼び出しね」
「……はい…あの…旦那様と奥様もご一緒でして……これから部屋に来るようにと……」
「…………わかったわ」
後回しにしても状況は変わらないのだからと、オルディナは覚悟を決めて立ち上がった。
◇
「……入れ」
半ば緊張した面持ちで扉をノックすれば、中から不機嫌さを隠そうともしない父の声が返ってきた。
──中に入った瞬間、頬に衝撃が走った。
予期せぬ事態に困惑したが、続いた言葉に母に叩かれたのだと悟った。
「っ貴方は……妹の婚約者を追いかけ回すだなんて……恥を知りなさい!」
今度は反対の頬に衝撃が走った。
「ちが……」
否定の言葉を口にしようとすると、また頬を叩かれた。
「黙りなさい!貴方のせいでどれだけあの子が心を痛めたか……」
母はそのままソファに崩れるように座り、顔を覆って泣き始めた。
「ディアナはあの後心配したジーク殿が自分の家に連れていった。まだ結婚もしていない男女がと思われるかもしれないが、留学期間もすぐに終わる。そしたら結婚だ。だれも文句は言わんだろう……それよりお前だ。お前は我が家に泥を塗ったのだ。荷物をまとめてすぐにここから出ていけ」
母は泣くばかりで、父の決定に異を唱えない。
二人にとって私はディアナの害でしかなかったのだろう。
「……わかりました。今までお世話になりました」
オルディナは一礼すると部屋を後にした。
自室には心配そうな顔をしたカメリアがいた。
「……私この家を追い出されることになったわ」
「っそんな!」
「とりあえず荷物をまとめないと……手伝ってくれる?」
家を出るので、あまり荷物は持っていけない。
その点カメリアの助言はとても助かった。
服は動きやすいものを、靴は歩きやすいもの。宝石類は換金しやすいもの…
すべてが終わると荷物は鞄一つ分だった。
「じゃあ行くわね」
「行く宛はあるのですか?」
「とりあえず今日は宿でも探すわ」
肩をすくめて何でもないように取り繕うが、痛々しく見えたのだろう、カメリアの顔が曇った。
その時、ふとクロイドの顔が一瞬思い浮かんだ。
すぐに頭を振ってかき消したが─・・・
見送りはカメリア一人だけだった。
オルディナはお世話になった使用人にお礼を言いたかったが、こっそり家を出たかったのでそれはカメリアに頼んだ。
「皆には私から言っておきます」
「……ありがとう」
「お嬢様……お体に気を付けて」
泣きながら深くお辞儀をするカメリアに頷くと、夜の闇が広がる裏口の門をくぐった。
「─っクロイド!」
門をくぐった先に立っていた人物に驚いて息を飲んだ。
「……なぜ?」
震える声で尋ねると、目の前の男は優しく微笑んで、オルディナが手に持っていた荷物を取り上げた。
「あっ!」
「大丈夫。後で説明するから……えっと、君もありがとう。出来ればこの事は秘密にしておいて」
状況を理解できていなかったのはカメリアも同じのようで、クロイドの言葉に弾かれたように頷いた。
「ありがとう……じゃあ行こうか」
彼はオルディナの手を取るとスタスタと歩き出した。
「えっ……あ…ちょっ……」
流されるままに歩き出した彼女の背中に、「どうかよろしくお願いします」というカメリアの声が届いた。
振り向けば、深々と頭を下げるカメリアの姿があった。
しばらく歩くと、黒い色で塗られた馬車が停めてあった。
「これは?」
「我が家の馬車だよ。なるべく目立ちたくないからね。これならわかりづらいだろう?」
促されるままに乗った馬車の内装は外観からは想像もできないほど豪華だった。
「あなたやっぱり貴族だったのね……それもかなり高位の」
「それも帰ってからね」
行者に合図を送ると、馬車が走り出した。
どんどん離れていく我が家に、肩の力が抜けていくのがわかった。
「頑張ったね」
隣に腰かけていたクロイドが、オルディナの肩を抱き寄せた。
近すぎる距離に本来なら戸惑うところだが、疲れた彼女の心にはとても安心できる場所だった。
そのまま意識を手放した彼女が次に目を覚ました場所は、豪華な天蓋付きのベッドの上だった──
「ここは……」
「目が覚めたかい?」
クロイドが部屋の隅に置かれた椅子に腰かけていた。
彼は読んでいた本を閉じてテーブルの上に置くと、ベッドの側まで寄ってきた。
「今はまだ朝だよ。気分は?」
そう言われ、昨日の出来事を思い出して、サッと顔色が悪くなるのを感じた。
「大丈夫……もう大丈夫だから」
クロイドはそっとオルディナの手を握りしめて、優しく言い聞かせた。
「ずっと居てくれていたの?」
「心配だったからね」
何でもないように言う彼の優しさが身にしみて涙が出そうになった。
「それじゃあ私の話を聞いてくれるかい?」
クロイドは、彼女が落ち着いたのを確認すると尋ねてきた。
(そう言えば昨日そんなことを言ってたっけ……)
小さく頷くと、彼はにっこりと笑った。
「なら……」
「…………なら?」
「まずは腹ごしらえだね」
面白そうに笑う彼に、私の緊張を返せと言いたいところだが、タイミングよくお腹がなってしまい、顔をうつむかせて「お願いします」としか言えなかった。
王は自国でジークの相手が見つかったことで、早速今後の交易について話し合おうとするし、両親は嫁ぐ娘のためにあれこれと準備を始めた。
ジークはすぐにディアナを連れて帰りたがったけれど、名目は留学生で滞在しているので、その期間は此方に止まるらしい。
ただ学園では常に一緒に過ごし、休みには必ず我が家を訪れた。
婚約を結んだことで、オルディナが二人の席にいる必要が無くなったことが、せめてもの幸いだった。
問題があるとすれば、オルディナが出掛けた先々でジークと出会うことだ。
隣にディアナが居ることもあるし、そうじゃないときもある。
(これが運命の強制力なのかしら……はっきり言って付きまといと思われていないか心配なんだけど……)
嫌な予感とは当たるもので、ある日出掛けた美術館で二人にばったり出会した。
ジークは驚いた表情だったが、ディアナの目は驚愕からすぐに憎悪に変わった。
「お姉さまいい加減にしてください!」
突然のことに言葉を発せないでいると、興奮した妹は更に続けた。
「毎回毎回私たちのこと付け回すのは止めてください!」
さすがにそれは誤解だとすぐに否定したが、妹は止まらなかった。
「毎回出会うなんて運命とでもいうんですか?残念ながら彼の運命の番は私なんです!いい加減にしてください!」
顔を両手で覆って泣き出す妹を、ジークは慰めるように抱き締めた。
こんな人だかりの、それも美術館の中で大声をあげるものだから、周囲の視線が一斉にこちらを向いた。
それは好奇の目であり、蔑視の目であった。
「─っ!」
あまりの展開に足が動けずにいるオルディナにジークが追い討ちをかけてきた。
「すまない……今までも言おうとは思っていたが、彼女の姉と言うことで躊躇してしまった。今後私たちを追い回すのは止めてくれないか?」
(……ちょっと待て)
(こっちには一切そんなつもりはないのに、何その濡れ衣!)
怒りで震える手を見て何を誤解したのか、ジークは哀れむような目でこちらを見てきた。
あまりに悪意ある妹の行動に耐えきれなくなったオルディナは、固まっていた足を何とか動かし、その場を黙って去った。
(きっとあの場で何を言ってもあの子に利用されるだけ……)
悔しくて涙が出そうだったが、部屋に帰るまで必死に我慢した。
そのかわり自室にたどり着くなりベッドに飛び込み、思う存分泣いた。
落ち着いた頃に部屋をノックして入ってきたのは、メイドのカメリアである。
彼女は察したように、なにも言わずに温めたタオルを差し出すとオルディナはそれを目の上にのせた。
タオルが冷めると今度は冷たいタオルを差し出された。
それを交互に続けていくと目の回りがだいぶ落ち着いてきた。
「これなら大丈夫ですね」
「……ありがとう」
カメリアは言葉が少ないが、いつもオルディナを気にかけてくれるので、ほとんどディアナの味方の屋敷内で数少ない彼女の理解者でもあった。
「それでお嬢様……」
言いにくそう言葉を濁すカメリアに、オルディナは状況を察してため息を吐いた。
「……呼び出しね」
「……はい…あの…旦那様と奥様もご一緒でして……これから部屋に来るようにと……」
「…………わかったわ」
後回しにしても状況は変わらないのだからと、オルディナは覚悟を決めて立ち上がった。
◇
「……入れ」
半ば緊張した面持ちで扉をノックすれば、中から不機嫌さを隠そうともしない父の声が返ってきた。
──中に入った瞬間、頬に衝撃が走った。
予期せぬ事態に困惑したが、続いた言葉に母に叩かれたのだと悟った。
「っ貴方は……妹の婚約者を追いかけ回すだなんて……恥を知りなさい!」
今度は反対の頬に衝撃が走った。
「ちが……」
否定の言葉を口にしようとすると、また頬を叩かれた。
「黙りなさい!貴方のせいでどれだけあの子が心を痛めたか……」
母はそのままソファに崩れるように座り、顔を覆って泣き始めた。
「ディアナはあの後心配したジーク殿が自分の家に連れていった。まだ結婚もしていない男女がと思われるかもしれないが、留学期間もすぐに終わる。そしたら結婚だ。だれも文句は言わんだろう……それよりお前だ。お前は我が家に泥を塗ったのだ。荷物をまとめてすぐにここから出ていけ」
母は泣くばかりで、父の決定に異を唱えない。
二人にとって私はディアナの害でしかなかったのだろう。
「……わかりました。今までお世話になりました」
オルディナは一礼すると部屋を後にした。
自室には心配そうな顔をしたカメリアがいた。
「……私この家を追い出されることになったわ」
「っそんな!」
「とりあえず荷物をまとめないと……手伝ってくれる?」
家を出るので、あまり荷物は持っていけない。
その点カメリアの助言はとても助かった。
服は動きやすいものを、靴は歩きやすいもの。宝石類は換金しやすいもの…
すべてが終わると荷物は鞄一つ分だった。
「じゃあ行くわね」
「行く宛はあるのですか?」
「とりあえず今日は宿でも探すわ」
肩をすくめて何でもないように取り繕うが、痛々しく見えたのだろう、カメリアの顔が曇った。
その時、ふとクロイドの顔が一瞬思い浮かんだ。
すぐに頭を振ってかき消したが─・・・
見送りはカメリア一人だけだった。
オルディナはお世話になった使用人にお礼を言いたかったが、こっそり家を出たかったのでそれはカメリアに頼んだ。
「皆には私から言っておきます」
「……ありがとう」
「お嬢様……お体に気を付けて」
泣きながら深くお辞儀をするカメリアに頷くと、夜の闇が広がる裏口の門をくぐった。
「─っクロイド!」
門をくぐった先に立っていた人物に驚いて息を飲んだ。
「……なぜ?」
震える声で尋ねると、目の前の男は優しく微笑んで、オルディナが手に持っていた荷物を取り上げた。
「あっ!」
「大丈夫。後で説明するから……えっと、君もありがとう。出来ればこの事は秘密にしておいて」
状況を理解できていなかったのはカメリアも同じのようで、クロイドの言葉に弾かれたように頷いた。
「ありがとう……じゃあ行こうか」
彼はオルディナの手を取るとスタスタと歩き出した。
「えっ……あ…ちょっ……」
流されるままに歩き出した彼女の背中に、「どうかよろしくお願いします」というカメリアの声が届いた。
振り向けば、深々と頭を下げるカメリアの姿があった。
しばらく歩くと、黒い色で塗られた馬車が停めてあった。
「これは?」
「我が家の馬車だよ。なるべく目立ちたくないからね。これならわかりづらいだろう?」
促されるままに乗った馬車の内装は外観からは想像もできないほど豪華だった。
「あなたやっぱり貴族だったのね……それもかなり高位の」
「それも帰ってからね」
行者に合図を送ると、馬車が走り出した。
どんどん離れていく我が家に、肩の力が抜けていくのがわかった。
「頑張ったね」
隣に腰かけていたクロイドが、オルディナの肩を抱き寄せた。
近すぎる距離に本来なら戸惑うところだが、疲れた彼女の心にはとても安心できる場所だった。
そのまま意識を手放した彼女が次に目を覚ました場所は、豪華な天蓋付きのベッドの上だった──
「ここは……」
「目が覚めたかい?」
クロイドが部屋の隅に置かれた椅子に腰かけていた。
彼は読んでいた本を閉じてテーブルの上に置くと、ベッドの側まで寄ってきた。
「今はまだ朝だよ。気分は?」
そう言われ、昨日の出来事を思い出して、サッと顔色が悪くなるのを感じた。
「大丈夫……もう大丈夫だから」
クロイドはそっとオルディナの手を握りしめて、優しく言い聞かせた。
「ずっと居てくれていたの?」
「心配だったからね」
何でもないように言う彼の優しさが身にしみて涙が出そうになった。
「それじゃあ私の話を聞いてくれるかい?」
クロイドは、彼女が落ち着いたのを確認すると尋ねてきた。
(そう言えば昨日そんなことを言ってたっけ……)
小さく頷くと、彼はにっこりと笑った。
「なら……」
「…………なら?」
「まずは腹ごしらえだね」
面白そうに笑う彼に、私の緊張を返せと言いたいところだが、タイミングよくお腹がなってしまい、顔をうつむかせて「お願いします」としか言えなかった。
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