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本編
新たなメンバー…?
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~ある日の朝~
「ねえねえ川村。今日の任務行きたくないんだけど行かなきゃダメかなー?」
「僕も今日は眠いから行きたくない…。だから蜜柑でも食べて元気出そ!」
「…でも川村の取った蜜柑はまだ緑だよ?」
「…あれれ?」
こんなズレた会話をしているのは僕、川村と牧野二尉。第51戦術偵察飛行隊の一式陸攻のパイロットだ。
僕達は今日はラバウル基地の地形偵察任務と、ついでにラバウル基地への輸送任務がある。偵察飛行隊なのに、上の人は陸攻の積載量をいいことにいっぱい荷物を積むからなぁ…。
「まあ牧野、仕方ないけど行くしかないみたいだね。」
もしここで断ったら僕達は間違いなく首が飛んでしまう。折角のパイロット職を降りるわけにはいかないからね。
「まあ分かったよ…。」
「じゃあラバウルへ行くぞー!」
「お、おー(棒)」
~2時間後~
「Rabaul Tower.This is Lark 02.Request Recon Mission」
Larkは我々第51戦術偵察飛行隊のコールサインだ。まずはラバウル基地上空から偵察だ。と思った瞬間、牧野が気の抜けた声で言った。
「ね、ねえ川村。基地で何かやってない?」
「へ?牧野、ちょっと双眼鏡貸して。」
コックピットから、基地を双眼鏡で覗き込んでみる。すると見えてきたものは…。
「おい、ソニックアローズの人達が多分野球してる。」
「え、なんで?」
「まあ元々そういう人達だからねぇ…。」
就業時間にも関わらず、パイロットと整備士が一緒になって野球をしていた。まあ僕もソニックアローズにいた頃はよく隊でやっていたっけ。
「良いの?川村がいた時もそうだった?」
「まあ大丈夫だと思うよ。」
「ふーん。」
こうしてラバウルの島全体を偵察し終わった後、荷物を届けるためにラバウルに着陸することにした。ソニックアローズのメンバーに会うのは久しぶりだなぁ。
「お届け物でーす。植田二佐にカメラのレンズと、尾島一尉にキツネの餌ですね。」
「川村じゃないか。元気にやってたか?」
牧野の肩に手を掛けながら嬉しそうに、でもどこか気まずそうに僕は言った。
「はい、お陰様で。ここからまさかの偵察に回されるとは思ってませんでしたが…こいつが同時期に同じ51TRSに転属だったのでなんとか上手くやれてます。」
「あんなことしたら2人とも戦闘機から降ろされるわなぁ…。」
そこにキツネの餌を取りに来た尾島が話に入ってきた。
「何しちゃったんですか?」
「それはなぁ…」
プルルルプルルル♪
話始めようとしたその時、植田二佐に電話が掛かってきた。
「運営本部から?珍しいな。ちょっと出てくる。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
~昨晩の運営本部~
「おい、どういうことだ!」
「だから言ってるじゃないですか!アグレッサーパイロットが一斉退職で不足してるんです!」
「なんでだよ!」
運営本部では先ほどから怒声が響き渡っている。どうも、アグレッサーの飛行隊長がパイロット達を毎日のように叱っていたら、メンタルがやられてパイロットが続けていられる状態ではない者が隊の大部分を占めて、ほぼ全員が退職を志望しているそうなのだ。
「仕方がない…。とりあえずアグレッサーの飛行隊長はどうにか処分するとして…。新たな隊員はどうする?」
「全ての隊から2人ずつ抜きましょう。とりあえず新飛行隊長はどうしますか。」
「植田二佐はどうだ?」
「でも彼は今ソニックアローズで総括班長をしています。」
「いい、これを機にソニックアローズも大幅な人員配置換えだ。メンバーが長い間固定だと、人間関係が拗れて事故に繋がった事例まで存在するからな。」
「…分かりました。昔の隊員なども再登板させるなどして対応します」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…今運営本部から電話で重要な内容が伝えられた。川村、牧野、お前達にも関係ある。一緒に来い。おい!飛行要員集合!」
一体ソニックアローズを離れた自分にも関係があるとは何事だろうか。そんなことを思っているうちに、ソニックアローズのパイロットが全員集合した。
「たった今、運営本部から連絡があった。3ヶ月後、ソニックアローズに大幅にメンバーを変えることとなった。後々本部から書式で辞令が下るだろうが、とりあえず連絡が来たことを今から紙に書き出す。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
植田二佐 第202飛行隊(アグレッサー)飛行隊長を任ずる。
坂元一尉 第11戦術戦闘飛行隊付を命じる。
船戸一尉 第201飛行隊総括班長を命じる。
川村一尉 戦闘機資格の再取得後第201飛行隊付を命じる。
牧野二尉 戦闘機資格の再取得後第201飛行隊付を命じる。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「「「「「「「「…え、えええ!?」」」」」」」」
「こういうことだな。驚きも多いだろう。特に川村なんか昔うちにいたからな。まあ、与えられた任務を精一杯こなしてくれ。1ヶ月後には川村と牧野にはソニアロに入ってもらって2か月でOR取得だな。ま、頑張ってくれ。」
こうして、ソニアロは新しい門出を迎えることとなるのであった。
~おまけ~
尾島「なぜ元々2人は戦闘機パイロットだった上に、川村一尉なんてうちのパイロットまで務めたのに、陸攻に回されていたんですか?」
川村&牧野「「あ、ああ…。」」
川村「実は2人でよく一緒に飛行機レースをしていたんですよ。それでいつもギリギリを攻めるせいで、管制塔の窓を何度も風圧割ったり、官舎に擦って色々備品壊しちゃったりしていたら…司令にブチ切れられて2人とも戦闘機を下されちゃいました。」
牧野「それと川村がソニックアローズの隊員から一度転出したのも理由がありまして。こいつ常に芋を持っていって料理して食べてるんですよ。それでファンサービスが始まっているのに、無心になってファンの目の前でポテトサラダを食べていたら当然怒られちゃって…。周りの目に気づいた時にはもう手遅れで、話を聞いた運営本部に外されたみたいです。」
尾島「ねえ、本当に戦闘機に戻ってきて大丈夫???」
川村&牧野「「大丈夫です!(輝いた目)」」
尾島(不安だなぁ…)
「ねえねえ川村。今日の任務行きたくないんだけど行かなきゃダメかなー?」
「僕も今日は眠いから行きたくない…。だから蜜柑でも食べて元気出そ!」
「…でも川村の取った蜜柑はまだ緑だよ?」
「…あれれ?」
こんなズレた会話をしているのは僕、川村と牧野二尉。第51戦術偵察飛行隊の一式陸攻のパイロットだ。
僕達は今日はラバウル基地の地形偵察任務と、ついでにラバウル基地への輸送任務がある。偵察飛行隊なのに、上の人は陸攻の積載量をいいことにいっぱい荷物を積むからなぁ…。
「まあ牧野、仕方ないけど行くしかないみたいだね。」
もしここで断ったら僕達は間違いなく首が飛んでしまう。折角のパイロット職を降りるわけにはいかないからね。
「まあ分かったよ…。」
「じゃあラバウルへ行くぞー!」
「お、おー(棒)」
~2時間後~
「Rabaul Tower.This is Lark 02.Request Recon Mission」
Larkは我々第51戦術偵察飛行隊のコールサインだ。まずはラバウル基地上空から偵察だ。と思った瞬間、牧野が気の抜けた声で言った。
「ね、ねえ川村。基地で何かやってない?」
「へ?牧野、ちょっと双眼鏡貸して。」
コックピットから、基地を双眼鏡で覗き込んでみる。すると見えてきたものは…。
「おい、ソニックアローズの人達が多分野球してる。」
「え、なんで?」
「まあ元々そういう人達だからねぇ…。」
就業時間にも関わらず、パイロットと整備士が一緒になって野球をしていた。まあ僕もソニックアローズにいた頃はよく隊でやっていたっけ。
「良いの?川村がいた時もそうだった?」
「まあ大丈夫だと思うよ。」
「ふーん。」
こうしてラバウルの島全体を偵察し終わった後、荷物を届けるためにラバウルに着陸することにした。ソニックアローズのメンバーに会うのは久しぶりだなぁ。
「お届け物でーす。植田二佐にカメラのレンズと、尾島一尉にキツネの餌ですね。」
「川村じゃないか。元気にやってたか?」
牧野の肩に手を掛けながら嬉しそうに、でもどこか気まずそうに僕は言った。
「はい、お陰様で。ここからまさかの偵察に回されるとは思ってませんでしたが…こいつが同時期に同じ51TRSに転属だったのでなんとか上手くやれてます。」
「あんなことしたら2人とも戦闘機から降ろされるわなぁ…。」
そこにキツネの餌を取りに来た尾島が話に入ってきた。
「何しちゃったんですか?」
「それはなぁ…」
プルルルプルルル♪
話始めようとしたその時、植田二佐に電話が掛かってきた。
「運営本部から?珍しいな。ちょっと出てくる。」
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~昨晩の運営本部~
「おい、どういうことだ!」
「だから言ってるじゃないですか!アグレッサーパイロットが一斉退職で不足してるんです!」
「なんでだよ!」
運営本部では先ほどから怒声が響き渡っている。どうも、アグレッサーの飛行隊長がパイロット達を毎日のように叱っていたら、メンタルがやられてパイロットが続けていられる状態ではない者が隊の大部分を占めて、ほぼ全員が退職を志望しているそうなのだ。
「仕方がない…。とりあえずアグレッサーの飛行隊長はどうにか処分するとして…。新たな隊員はどうする?」
「全ての隊から2人ずつ抜きましょう。とりあえず新飛行隊長はどうしますか。」
「植田二佐はどうだ?」
「でも彼は今ソニックアローズで総括班長をしています。」
「いい、これを機にソニックアローズも大幅な人員配置換えだ。メンバーが長い間固定だと、人間関係が拗れて事故に繋がった事例まで存在するからな。」
「…分かりました。昔の隊員なども再登板させるなどして対応します」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…今運営本部から電話で重要な内容が伝えられた。川村、牧野、お前達にも関係ある。一緒に来い。おい!飛行要員集合!」
一体ソニックアローズを離れた自分にも関係があるとは何事だろうか。そんなことを思っているうちに、ソニックアローズのパイロットが全員集合した。
「たった今、運営本部から連絡があった。3ヶ月後、ソニックアローズに大幅にメンバーを変えることとなった。後々本部から書式で辞令が下るだろうが、とりあえず連絡が来たことを今から紙に書き出す。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
植田二佐 第202飛行隊(アグレッサー)飛行隊長を任ずる。
坂元一尉 第11戦術戦闘飛行隊付を命じる。
船戸一尉 第201飛行隊総括班長を命じる。
川村一尉 戦闘機資格の再取得後第201飛行隊付を命じる。
牧野二尉 戦闘機資格の再取得後第201飛行隊付を命じる。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「「「「「「「「…え、えええ!?」」」」」」」」
「こういうことだな。驚きも多いだろう。特に川村なんか昔うちにいたからな。まあ、与えられた任務を精一杯こなしてくれ。1ヶ月後には川村と牧野にはソニアロに入ってもらって2か月でOR取得だな。ま、頑張ってくれ。」
こうして、ソニアロは新しい門出を迎えることとなるのであった。
~おまけ~
尾島「なぜ元々2人は戦闘機パイロットだった上に、川村一尉なんてうちのパイロットまで務めたのに、陸攻に回されていたんですか?」
川村&牧野「「あ、ああ…。」」
川村「実は2人でよく一緒に飛行機レースをしていたんですよ。それでいつもギリギリを攻めるせいで、管制塔の窓を何度も風圧割ったり、官舎に擦って色々備品壊しちゃったりしていたら…司令にブチ切れられて2人とも戦闘機を下されちゃいました。」
牧野「それと川村がソニックアローズの隊員から一度転出したのも理由がありまして。こいつ常に芋を持っていって料理して食べてるんですよ。それでファンサービスが始まっているのに、無心になってファンの目の前でポテトサラダを食べていたら当然怒られちゃって…。周りの目に気づいた時にはもう手遅れで、話を聞いた運営本部に外されたみたいです。」
尾島「ねえ、本当に戦闘機に戻ってきて大丈夫???」
川村&牧野「「大丈夫です!(輝いた目)」」
尾島(不安だなぁ…)
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