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3章 リリスと魔族の王子様
95 その恋の始まりは
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女王について知ったのは絵本の中だった。
魔族の国アビスで長く語り継がれる始まり。
黒髪に赤い瞳をもった夜の女王の物語。
紫の花畑に立つ少女と少女を守る影である騎士の物語は幼心に鮮烈に印象に残った。
というのも、祖父である魔族の国アビスの国王がこう言ったのだ。
「この物語にでてくる女王こそ、お前達の運命の人。
伴侶にしたものをこの国の国王とする」
赤い瞳と青い瞳のオッドアイを持つリオンとレウは鏡のような互いをみつめ、まだみる伴侶に想いを馳せた。
繰り返し読む絵本のなかで少女に何度も恋をした。
この運命に感謝した。
夜の女王の魂は巡り肉体は幾度と無く復活を繰り返す。
物語にでてくるそのもの本人に出逢えるのだ。
リオンとレウはその日から王となるため、何事にも真剣に取組んだ。
苦しいことも辛いことも我慢して幼いながら立派な王となる教育を身につけようと努力した。
そして運命の少女が生まれた日、城の宝物庫にある薔薇姫の冠に深紅の薔薇姫が咲いた。
この世に生まれてきたことに自然と涙があふれた。
あふれた涙は雫となりリオンとレウに次代の王の証を与えた。
心の上に薔薇が咲く。
軽い痛みと熱が灯った。
恋焦がれるこの想いを早く伝えたい。
けれども運命られた出会は少女が十八になってから。
時間の経過とともに想いは果てなく広がって、深く深く地底を知らぬ深海の深さへ成長していく。
───さぁ、怖がらないで堕ちてきて。
魔族の国アビスで長く語り継がれる始まり。
黒髪に赤い瞳をもった夜の女王の物語。
紫の花畑に立つ少女と少女を守る影である騎士の物語は幼心に鮮烈に印象に残った。
というのも、祖父である魔族の国アビスの国王がこう言ったのだ。
「この物語にでてくる女王こそ、お前達の運命の人。
伴侶にしたものをこの国の国王とする」
赤い瞳と青い瞳のオッドアイを持つリオンとレウは鏡のような互いをみつめ、まだみる伴侶に想いを馳せた。
繰り返し読む絵本のなかで少女に何度も恋をした。
この運命に感謝した。
夜の女王の魂は巡り肉体は幾度と無く復活を繰り返す。
物語にでてくるそのもの本人に出逢えるのだ。
リオンとレウはその日から王となるため、何事にも真剣に取組んだ。
苦しいことも辛いことも我慢して幼いながら立派な王となる教育を身につけようと努力した。
そして運命の少女が生まれた日、城の宝物庫にある薔薇姫の冠に深紅の薔薇姫が咲いた。
この世に生まれてきたことに自然と涙があふれた。
あふれた涙は雫となりリオンとレウに次代の王の証を与えた。
心の上に薔薇が咲く。
軽い痛みと熱が灯った。
恋焦がれるこの想いを早く伝えたい。
けれども運命られた出会は少女が十八になってから。
時間の経過とともに想いは果てなく広がって、深く深く地底を知らぬ深海の深さへ成長していく。
───さぁ、怖がらないで堕ちてきて。
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