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2章 リリスと闇の侯爵家
84 フルールの迷子探し
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リリスとお買い物を楽しんでいたはずなのに、気づいたらリリスはいなくなっていた。
一体いつの間にはぐれてしまったのだろう、頭の上にいるココは見ていなかったのだろうかと頭の上に向かってフルールは声をあげた。
「ココはいったい何見てたの?
リリスいないじゃない!」
「うるさいにゃ、そんなの知らないにゃ。
むしろ、なんでステラが見てないにゃ?
リリスとデートだから、オレはオマケって話してたにゃ」
「むぅ」
このままだとリリスは土地感のない場所で途方に暮れてしまうとフルールは心配だった。
この手でしっかりリリスの手を握っていたのに人混みの中に紛れてしまったらしい。
そんなに遠くには行ってないはずだとフルールは思い周辺を探すことにした。
あのマントは存在感を薄くさせてしまうから気をつけて探さなくてはいけない。
フルールが付与した魔術式なので、フルールにはそこまで作用することはないけど見落とすことはありえた。
「ココも一緒に探すのよ!
あなたの目でくまなくリリスを見つけてちょうだい。
その高い首輪買ってあげたんだから、協力してよね」
「…分かったにゃ。
この宝石もらったから頑張るにゃ!」
ココは前足で自らの首についている宝石を揺らした。
ココの首にはアレキサンドライトの宝石を使った首輪が巻かれていた。
フルールがココにせがまれて、先程買ったものだ。
アレキサンドライトは変わった特徴をもつ宝石で太陽の下では青緑に人口の光の下では赤色に変わるらしい。
ココの見た目は猫だが、流れる血は間違いなくドラゴンのものらしく宝石がとても好きで集めるのが趣味となっている。
珍しいもの程欲しがるのだ。
まったく金のかかる趣味だとフルールはため息をついた。
「素敵な宝石だにゃ!」
早く探してくれよと呆れた視線を頭の上に投げかけながら、フルールはフォルセの街をリリスを探し歩いた。
空は刻刻と色を変化させていく。
黄昏時になったので、本来ならそろそろ帰らないと行けない時間だ。
そこかしこから夕食の準備をするいい匂いが流れてくる。
その匂いと一緒に小さな隣人達も流れてきた。
人とは違う心地よい音が耳に流れて来る。
歌を歌っているみたいだった。
野原を飛ぶ蝶のような羽が背中にある小さな妖精だ。
周りを見ると同じ種族の妖精達も思い思いの場所で遊んでいる。
「あら、あそこにローズガーデンがあるのね…」
草花が豊富な所に住まう妖精であったので、どこから来たのかと疑問に思えば近くによく手入れの行き届いたローズガーデンがあった。
噴水やガゼボがあり、なかなか広い場所であることが分かる。
街中にこれほどの場所があれば野原の妖精達も住みやすいわねとフルールはほほえましく妖精達を眺めた。
見つめるフルールに気づいた妖精の一人がフルールに近寄ってくる。
「こんばんわ、人間の王様!」
「こんばんわ、親切な隣人さん」
妖精は頭の上のココにも挨拶をしようもと浮遊した。
「こんばんわ、猫さん?」
「猫ドラゴンだにゃー!」
「やーっ、この子怖いわ!」
ココが毛を膨らませて叫ぶせいで近づいてくれた妖精は怯えて隠れてしまった。
妖精から話を聞こうと思っていたのに、話が聞けなくなったら困ってしまう。
「やめなさい、ココ」
「大事なことだにゃ!
舐められちゃおしまいだにゃ」
ここを宥めて妖精が隠れた方へ手を差し出す。
妖精が小さいので正しくは指になる。
「ごめんなさいね。
怖がらたかったわけじゃないのよ?」
「こちらこそ、びっくりしてすいません」
落ち着いたのか植木鉢のところから、先程の妖精が顔を出した。
遠くまで逃げてなかったようで、フルールは安心した。
これで妖精にリリスのことを尋ねることが出来そうだ。
「あの親切な隣人さんに聞きたいことがあるの。
赤いマントを煽った黒髪に赤い瞳の女の子は見てないかしら?
教えてくれたらお礼をするわよ」
「私は分からなけど、みんなにも聞いてくるわ!
人間の王様のためだもの」
隠れていた妖精は勢いよく飛び立つと仲間の元にも同じ質問を投げかけてくれる。
「それなら見たわ!」
「私も見たわ!」
小さな羽を少女妖精達が次々に声をあげる。
「こっちよ!」
「そうそう、こっち!」
「あっち!」
クルクルとその方向へ飛んで教えてくれる。
「ありがとう、親切な隣人さん。
これはお礼よ」
フルールは鞄から小瓶を取り出し、協力してくれた妖精達に金平糖を一粒渡した。
「人間の王様の金平糖だ!
嬉しい」
「こんなに珍しいものありがとう!」
一粒でも大きいようで妖精達は嬉しそうに三人がかりで運んでいる。
金平糖は小さい物だけど、妖精には重いみたいだ。
「いいものくれたから、もっと教えちゃう!」
そう一人の妖精が言うと他の妖精達も追加で話し始めた。
「その子、嫌な気配を纏っている黒髪で黒い瞳の男に追いかけられていたわ」
「禍々しいのよね」
「「ねー」」
「嫌になっちゃう!」
不穏な情報にフルールの顔が曇った。
黒髪の禍々しい雰囲気の男という言葉にフルールは覚えがあった。
黒髪に黒い瞳はオプスキュリテ家の特徴だ。
リリスの兄ダミアンではないかとフルールは思った。
あのリリス大好きなお兄様なら、何かしらの手段でリリスを見つけるかもしれない。
早くリリスの所に行かないといけない。
「親切な隣人さん、みんなありがとう」
早口に妖精達にお礼を告げると、フルールは妖精達が指し示す方角へと慌てて駆け出した。
一体いつの間にはぐれてしまったのだろう、頭の上にいるココは見ていなかったのだろうかと頭の上に向かってフルールは声をあげた。
「ココはいったい何見てたの?
リリスいないじゃない!」
「うるさいにゃ、そんなの知らないにゃ。
むしろ、なんでステラが見てないにゃ?
リリスとデートだから、オレはオマケって話してたにゃ」
「むぅ」
このままだとリリスは土地感のない場所で途方に暮れてしまうとフルールは心配だった。
この手でしっかりリリスの手を握っていたのに人混みの中に紛れてしまったらしい。
そんなに遠くには行ってないはずだとフルールは思い周辺を探すことにした。
あのマントは存在感を薄くさせてしまうから気をつけて探さなくてはいけない。
フルールが付与した魔術式なので、フルールにはそこまで作用することはないけど見落とすことはありえた。
「ココも一緒に探すのよ!
あなたの目でくまなくリリスを見つけてちょうだい。
その高い首輪買ってあげたんだから、協力してよね」
「…分かったにゃ。
この宝石もらったから頑張るにゃ!」
ココは前足で自らの首についている宝石を揺らした。
ココの首にはアレキサンドライトの宝石を使った首輪が巻かれていた。
フルールがココにせがまれて、先程買ったものだ。
アレキサンドライトは変わった特徴をもつ宝石で太陽の下では青緑に人口の光の下では赤色に変わるらしい。
ココの見た目は猫だが、流れる血は間違いなくドラゴンのものらしく宝石がとても好きで集めるのが趣味となっている。
珍しいもの程欲しがるのだ。
まったく金のかかる趣味だとフルールはため息をついた。
「素敵な宝石だにゃ!」
早く探してくれよと呆れた視線を頭の上に投げかけながら、フルールはフォルセの街をリリスを探し歩いた。
空は刻刻と色を変化させていく。
黄昏時になったので、本来ならそろそろ帰らないと行けない時間だ。
そこかしこから夕食の準備をするいい匂いが流れてくる。
その匂いと一緒に小さな隣人達も流れてきた。
人とは違う心地よい音が耳に流れて来る。
歌を歌っているみたいだった。
野原を飛ぶ蝶のような羽が背中にある小さな妖精だ。
周りを見ると同じ種族の妖精達も思い思いの場所で遊んでいる。
「あら、あそこにローズガーデンがあるのね…」
草花が豊富な所に住まう妖精であったので、どこから来たのかと疑問に思えば近くによく手入れの行き届いたローズガーデンがあった。
噴水やガゼボがあり、なかなか広い場所であることが分かる。
街中にこれほどの場所があれば野原の妖精達も住みやすいわねとフルールはほほえましく妖精達を眺めた。
見つめるフルールに気づいた妖精の一人がフルールに近寄ってくる。
「こんばんわ、人間の王様!」
「こんばんわ、親切な隣人さん」
妖精は頭の上のココにも挨拶をしようもと浮遊した。
「こんばんわ、猫さん?」
「猫ドラゴンだにゃー!」
「やーっ、この子怖いわ!」
ココが毛を膨らませて叫ぶせいで近づいてくれた妖精は怯えて隠れてしまった。
妖精から話を聞こうと思っていたのに、話が聞けなくなったら困ってしまう。
「やめなさい、ココ」
「大事なことだにゃ!
舐められちゃおしまいだにゃ」
ここを宥めて妖精が隠れた方へ手を差し出す。
妖精が小さいので正しくは指になる。
「ごめんなさいね。
怖がらたかったわけじゃないのよ?」
「こちらこそ、びっくりしてすいません」
落ち着いたのか植木鉢のところから、先程の妖精が顔を出した。
遠くまで逃げてなかったようで、フルールは安心した。
これで妖精にリリスのことを尋ねることが出来そうだ。
「あの親切な隣人さんに聞きたいことがあるの。
赤いマントを煽った黒髪に赤い瞳の女の子は見てないかしら?
教えてくれたらお礼をするわよ」
「私は分からなけど、みんなにも聞いてくるわ!
人間の王様のためだもの」
隠れていた妖精は勢いよく飛び立つと仲間の元にも同じ質問を投げかけてくれる。
「それなら見たわ!」
「私も見たわ!」
小さな羽を少女妖精達が次々に声をあげる。
「こっちよ!」
「そうそう、こっち!」
「あっち!」
クルクルとその方向へ飛んで教えてくれる。
「ありがとう、親切な隣人さん。
これはお礼よ」
フルールは鞄から小瓶を取り出し、協力してくれた妖精達に金平糖を一粒渡した。
「人間の王様の金平糖だ!
嬉しい」
「こんなに珍しいものありがとう!」
一粒でも大きいようで妖精達は嬉しそうに三人がかりで運んでいる。
金平糖は小さい物だけど、妖精には重いみたいだ。
「いいものくれたから、もっと教えちゃう!」
そう一人の妖精が言うと他の妖精達も追加で話し始めた。
「その子、嫌な気配を纏っている黒髪で黒い瞳の男に追いかけられていたわ」
「禍々しいのよね」
「「ねー」」
「嫌になっちゃう!」
不穏な情報にフルールの顔が曇った。
黒髪の禍々しい雰囲気の男という言葉にフルールは覚えがあった。
黒髪に黒い瞳はオプスキュリテ家の特徴だ。
リリスの兄ダミアンではないかとフルールは思った。
あのリリス大好きなお兄様なら、何かしらの手段でリリスを見つけるかもしれない。
早くリリスの所に行かないといけない。
「親切な隣人さん、みんなありがとう」
早口に妖精達にお礼を告げると、フルールは妖精達が指し示す方角へと慌てて駆け出した。
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