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2章 リリスと闇の侯爵家
43 魔族の女
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ルーナ王国の隣国に接した辺境の地に、オプスキュリテ侯爵家の屋敷がある。
女はそこを目指すため、深く生い茂る杉の森を歩いていた。
杉は粉砂糖をふりかけたように白い化粧をしている。
褐色の肌に赤紫の瞳、艶やかな白ぽい灰色の髪からは先のとがった耳がでている。
「なんで、あたしがこんなとこに来なきゃならないかしらぁ、さむっ!」
寒さにぼやきながらも女は歩く。
女の服は薄く紫色のドレスだ。
豊満な胸が服におさまらず揺れている。
「殿下達がすぐに帰ってくれば、様子を見てこいなんて言われなかったのに…」
不満そうにしながらも、歩みは早く進んでいく。
森を抜けた先に、オプスキュリテ家の屋敷と薄く揺らめく塔が見えた。
視覚を狂わす術式を感じたが、この家の者が造った術式など、古くから親交のある魔族には無いも同然だ。
「まったく、花嫁を迎えに行くだけで、どんだけ時間かかってるのかしら?
せっかくだし、あたしもここで遊ぶのもいいわぁね」
赤紫色瞳が怪しく細まる。
腰に巻いている、巾着袋にそっとふれた。
じゃらじゃらと複数の硬い何かがぶつかる音が、静かな空気を震わせる。
怪しげな微笑みを浮かべながら、門番に身分を告げ、女はオプスキュリテ家の正門をくぐった…。
女はそこを目指すため、深く生い茂る杉の森を歩いていた。
杉は粉砂糖をふりかけたように白い化粧をしている。
褐色の肌に赤紫の瞳、艶やかな白ぽい灰色の髪からは先のとがった耳がでている。
「なんで、あたしがこんなとこに来なきゃならないかしらぁ、さむっ!」
寒さにぼやきながらも女は歩く。
女の服は薄く紫色のドレスだ。
豊満な胸が服におさまらず揺れている。
「殿下達がすぐに帰ってくれば、様子を見てこいなんて言われなかったのに…」
不満そうにしながらも、歩みは早く進んでいく。
森を抜けた先に、オプスキュリテ家の屋敷と薄く揺らめく塔が見えた。
視覚を狂わす術式を感じたが、この家の者が造った術式など、古くから親交のある魔族には無いも同然だ。
「まったく、花嫁を迎えに行くだけで、どんだけ時間かかってるのかしら?
せっかくだし、あたしもここで遊ぶのもいいわぁね」
赤紫色瞳が怪しく細まる。
腰に巻いている、巾着袋にそっとふれた。
じゃらじゃらと複数の硬い何かがぶつかる音が、静かな空気を震わせる。
怪しげな微笑みを浮かべながら、門番に身分を告げ、女はオプスキュリテ家の正門をくぐった…。
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