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1章 リリスのグリモワールの修復師
30 道具屋
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「少しその飲み物飲んでいいかい?」
落ち着きを取り戻したのがメルヒが話しかけてくる。
「えっ、はい。
どうぞ」
ストローは二本刺さっているので、もともと二人で飲むもののようだ。
私はメルヒにベリージュースを差し出した。
「うん、さっぱりしてていいね」
なんだか、少しメルヒの顔が赤い気がするけれど…。
そわそわするのは落ち着いたようだ。
周りの建物が暖色なので赤く見えるのは反射光のせいかもしれない。
私はこんな美味しいものをありがとうございますという気持ちでメルヒに微笑みをかえした。
飲み物を飲み終わったので、メルヒと目的のお店に向かう。
街中は人通りが多く賑やかで歩きにくかった。
メルヒとはぐれてしまいそう。
フードを被っているせいか前が良く見えず私は何人かの腕にぶつかる。
そちらに気を取られて後ろを向いている間にバフッと音を立てて、頭が柔らかいものにぶっかった。
「…!」
「あらぁ、赤フードの子大丈夫?
あたしの胸で窒息してないかしら?」
顔を上げると褐色の肌を持つ豊満な胸の妖艶なエルフのお姉さんが心配そうにこちらを見ている。
体のラインにピッタリとした紫色のドレスが謎めいた雰囲気をより引き立たせていた。
「す、すいません」
私はあわてて謝る。
「いいのよ、気をつけて歩いてね」
エルフのお姉さんは私の視線の高さまで屈んでフードの中を覗く。
視線が合ってしまった。
お姉さんは微かに目を細めて自らの唇を舌で舐めた。
「リリス?どこにいるの?」
そこでメルヒが私を呼ぶ声が聞こえる。
「あっ、ここにいます!」
慌ててそちらの方に小走りで向う。
「すいませんでした」
去り際にお姉さんにぺこりと頭を下げた。
「……」
お姉さんの口か微かに動いたが、私には聞こえなかった。
「よかった、近くにいたんだ。
リリス、はぐれないようにねぇ。
ここ歩きずらかったかな…」
そう言ってメルヒは私に手を差し出す。
「またはぐれないように手をかして」
人が多いからかはぐれないように手を繋いでくれるみたいだ。
私はそれに手を重ねる。
安心して心が温かくなった。
メルヒといるとそういう気持ちになることが多い。
しばらく歩くと、目的のお店に着いたようだった。
看板には『道具屋 』と書かれいた。
ショーウィンドウには、金属で出来た特殊な道具が並んでいる。
あの門みたいに模様が彫られていて魔術が編み込まれてるようだった。
メルヒの工房で見た本を挟むプレス機もあった。
本と一緒に飾られている。
ドアを開くとカランと来店を知らせるベルが鳴る。
奥から、片眼鏡をかけた作業用エプロン姿のドワーフのおじさんがやってきた。
「いらっしゃいませ、メルヒ様」
物腰がとても丁寧だが、手をすりすりと合わせている。
「こんにちは、ルドルフさん」
「メルヒ様は今日は何をお求めで?」
「新しく仕事を手伝ってくれる子ができてねぇ。
この子用の魔術書修復道具が欲しい」
そう言ってメルヒの背後にいた私を前に押した。
「はじめまして…」
「おや、お連れの方がいらっしゃったのですね!
わたくし、見えてませんでした」
私はメルヒに促され、フードを脱ぐ。
「リリスと申します」
「おやまぁ、わたくし驚きです!
メルヒ様が女性を連れているだけても驚きなのに、この方仕事もするのですか!
良かったですね。
メルヒ様はずっと一人でやるもんだと思っておりました!」
「リリスはいい目を持ってるからねぇ」
それを聞いてルドルフは私の目を見る。
とっさに目を閉じた。
「見られるのは嫌なようですな」
ハッハッハと笑いかけられる。
そっと目を開けるとルドルフはメルヒの方に顔を向けていた。
「今回はリリス様用の修復道具を揃えればいいですかな」
「頼んだよ」
「かしこまりました」
ルドルフはこちらにやって来る。
「リリス様、わたくしに手を見せてください」
そう言われたので両手を出す。
「この手に合う道具を一緒に見ましょう。
必要なものは筆、金属定規、スパチュラ、ヘラ、ハサミ、ナイフ、重石、針、目打ち、アイロン」
そう呟きながら奥へとルドルフは道具を取りに行く。
結構必要なものは多そうだ。
私が手伝うって言ったけれど、こんなに買っていいのだろうか。
この投資額分は頑張らないといけない。
待っているとルドルフが箱を持ってきた。
「まずは筆を選びましょう」
「いろんな形があるのですね…」
「面相筆に平筆…用途によって使うものは異なりますが、書物の修復ならば糊を塗るのとボンドを塗るくらいでしょう。
平筆が良さそうかと思います」
そう言って大きい平筆と小さい平筆を選んでいく。
筆の毛だけでもいろんな種類があるようで私は何を選んだらいいか分からなかったがルドルフが選んでくれる。
「糊が伸ばしやすいものがいいですよね、こちらの人工毛の平筆で良いかと」
手渡された平筆を握る。
絵の具ではなく糊を塗るために使う筆。
そんな用途で使ったことないがこれでいいらしい。
「次は金属定規ですね。
短いものと長めのもの両方必要でしょう。
ナイフは紙が切りやすいように魔術刻印を刻みましょうか?
面倒な研ぎの作業がいらなくなりますよ」
メルヒがそれに答える。
「ナイフとハサミに願いするよ」
「かしこまりました」
「リリス様はナイフ、ハサミ、目打ちを好きなの選んでください」
そいって、目の前に道具がたくさん並べられていく。
シンプルな物から豪華な飾りのものまで大きさもざまざまだ。
「細かい作業するものだから、刃先が扱いやすいのを選んでねぇ。
うーん、僕も見るか…」
店内を見ていたメルヒがこちらにやって来た、後ろか覆いかぶさるように商品を見る。
「リリスにはこれかな…」
メルヒは赤い石がはめ込まれた柄に薔薇の模様が焼印されたナイフと薔薇の茨がくるりと巻いたデザインの目打ちと同じシリーズなのか薔薇の装飾のあるハサミを手に取る。
ハサミにも赤い石がはめ込まれていた。
「赤薔薇シリーズの修復道具でございます」
ルドルフはすりすりと手を擦り合わせる。
この仕草は癖なのだろうか、気になる。
「装飾が多いのは使いにくいんじゃ…」
私はもう少しシンプルなので良い。
「すごくリリスぽいと思うけど嫌?
この赤石も薔薇の茨もぴったりだと思うよ。
道具の相性もよさそうなのに…」
「…相性ですか?」
そう言われたので、ナイフを手に取る。
持った瞬間、道具からキラキラした物が溢れ出した。
メルヒの工房で見たものに似ているが黄金色に輝いている。
手に持った感じもしっくりとしていた。
「ほら、ピッタリだ
これに決まりだねぇ」
「このキラキラしてるのが見えると良いものなのですか?」
私は首を傾げる。
「そのナイフ僕が持ってみようか」
メルヒの手にナイフを乗せる。
「何も起きませんね…」
キラキラしたものがなくなってしまった。
「ねぇ、全然違うでしょう。
その道具とリリスの魔力がピッタリだから光るんだよ。
このナイフは僕には持ちにくいねぇ。
相性のいいもので直せば、よりいい仕事ができるよ」
「分かりました。
こちらの薔薇のシリーズにします」
メルヒがそう言うのなら、このシリーズで合わせて選ぼう。
「かしこまりました」
こうやって、他の道具も選んでいった。
柔らかい皮で覆われた重石に布でできた重石。
金属で出来たスパチュラに竹で出来たヘラ。
おおきな動物の骨で作られたヘラもあった。
一通りの物を見て選び終えると、結構な荷物になった。
持って帰るのだろうか重そうだ。
一区切りついたのかメルヒが店の出入口に歩いていく。
「リリス、僕は少し用事があるからお店を出るけどここにいてねぇ。
ルドルフ引き続き道具を頼んだよ」
「もちろんですとも」
メルヒは店の外に出ていってしまった。
何の用事だろう、一人だと不安になる。
「リリス様、最後に道具入れを選びましょう。
どの柄になさいます?」
色とりどりの布と紐が並べられる。
「こちらは持ち主の好みですので、好きなものをお選びください。
当店のサービスになりますのでお代はタダです」
好きなものを選んでいいみたいだ。
「すごい種類ですね。
私は赤色がいいです。
その色だけ見せてください」
「赤色ですね、少々お待ちを」
ルドルフに赤色の布だけを広げてもらう、いろんな素材の赤い布が並ぶ。
どれにするか悩んでしまう。
赤と言っても朱色から臙脂色まで様々だ。
私はこの中からベルベットで出来た暗めの赤い布を選ぶ。
「こちらのボルドー色のベルベットですね」
「これにゴールドのタッセルを付けてください」
この入れ物にあの道具たちが収まるのかと思うとわくわくする。
見た目だけですでに可愛い道具ばかりだ。
「後日出来上がったものをお届け致します」
「楽しみにしてます」
出来上がるのが楽しみだ。
のんびり布を選んでいたらカランとドアのベルが鳴った。
どうやらメルヒが帰ってきたみたいだ。
「おかえりなさい」
「おまたせ、リリス。
道具入れの布は選べた?」
メルヒはこちらに歩いてくる。
「色はボルドーでベルベットの布か。
リリスらしい色だねぇ」
メルヒの言葉に私は、はにかむ。
「さてと、ここでの買い物は終わりだねぇ。
ルドルフ、荷物はいつものところに届けてねぇ。
代金もそこで受け取って」
あの荷物は届けて貰えるみたいだ。
金属とか重石で重いものね。
「かしこまりました。
いつもお買い上げありがとうございます」
ルドルフはお辞儀をしてドアを開ける。
メルヒと一緒に店の外に出た。
落ち着きを取り戻したのがメルヒが話しかけてくる。
「えっ、はい。
どうぞ」
ストローは二本刺さっているので、もともと二人で飲むもののようだ。
私はメルヒにベリージュースを差し出した。
「うん、さっぱりしてていいね」
なんだか、少しメルヒの顔が赤い気がするけれど…。
そわそわするのは落ち着いたようだ。
周りの建物が暖色なので赤く見えるのは反射光のせいかもしれない。
私はこんな美味しいものをありがとうございますという気持ちでメルヒに微笑みをかえした。
飲み物を飲み終わったので、メルヒと目的のお店に向かう。
街中は人通りが多く賑やかで歩きにくかった。
メルヒとはぐれてしまいそう。
フードを被っているせいか前が良く見えず私は何人かの腕にぶつかる。
そちらに気を取られて後ろを向いている間にバフッと音を立てて、頭が柔らかいものにぶっかった。
「…!」
「あらぁ、赤フードの子大丈夫?
あたしの胸で窒息してないかしら?」
顔を上げると褐色の肌を持つ豊満な胸の妖艶なエルフのお姉さんが心配そうにこちらを見ている。
体のラインにピッタリとした紫色のドレスが謎めいた雰囲気をより引き立たせていた。
「す、すいません」
私はあわてて謝る。
「いいのよ、気をつけて歩いてね」
エルフのお姉さんは私の視線の高さまで屈んでフードの中を覗く。
視線が合ってしまった。
お姉さんは微かに目を細めて自らの唇を舌で舐めた。
「リリス?どこにいるの?」
そこでメルヒが私を呼ぶ声が聞こえる。
「あっ、ここにいます!」
慌ててそちらの方に小走りで向う。
「すいませんでした」
去り際にお姉さんにぺこりと頭を下げた。
「……」
お姉さんの口か微かに動いたが、私には聞こえなかった。
「よかった、近くにいたんだ。
リリス、はぐれないようにねぇ。
ここ歩きずらかったかな…」
そう言ってメルヒは私に手を差し出す。
「またはぐれないように手をかして」
人が多いからかはぐれないように手を繋いでくれるみたいだ。
私はそれに手を重ねる。
安心して心が温かくなった。
メルヒといるとそういう気持ちになることが多い。
しばらく歩くと、目的のお店に着いたようだった。
看板には『道具屋 』と書かれいた。
ショーウィンドウには、金属で出来た特殊な道具が並んでいる。
あの門みたいに模様が彫られていて魔術が編み込まれてるようだった。
メルヒの工房で見た本を挟むプレス機もあった。
本と一緒に飾られている。
ドアを開くとカランと来店を知らせるベルが鳴る。
奥から、片眼鏡をかけた作業用エプロン姿のドワーフのおじさんがやってきた。
「いらっしゃいませ、メルヒ様」
物腰がとても丁寧だが、手をすりすりと合わせている。
「こんにちは、ルドルフさん」
「メルヒ様は今日は何をお求めで?」
「新しく仕事を手伝ってくれる子ができてねぇ。
この子用の魔術書修復道具が欲しい」
そう言ってメルヒの背後にいた私を前に押した。
「はじめまして…」
「おや、お連れの方がいらっしゃったのですね!
わたくし、見えてませんでした」
私はメルヒに促され、フードを脱ぐ。
「リリスと申します」
「おやまぁ、わたくし驚きです!
メルヒ様が女性を連れているだけても驚きなのに、この方仕事もするのですか!
良かったですね。
メルヒ様はずっと一人でやるもんだと思っておりました!」
「リリスはいい目を持ってるからねぇ」
それを聞いてルドルフは私の目を見る。
とっさに目を閉じた。
「見られるのは嫌なようですな」
ハッハッハと笑いかけられる。
そっと目を開けるとルドルフはメルヒの方に顔を向けていた。
「今回はリリス様用の修復道具を揃えればいいですかな」
「頼んだよ」
「かしこまりました」
ルドルフはこちらにやって来る。
「リリス様、わたくしに手を見せてください」
そう言われたので両手を出す。
「この手に合う道具を一緒に見ましょう。
必要なものは筆、金属定規、スパチュラ、ヘラ、ハサミ、ナイフ、重石、針、目打ち、アイロン」
そう呟きながら奥へとルドルフは道具を取りに行く。
結構必要なものは多そうだ。
私が手伝うって言ったけれど、こんなに買っていいのだろうか。
この投資額分は頑張らないといけない。
待っているとルドルフが箱を持ってきた。
「まずは筆を選びましょう」
「いろんな形があるのですね…」
「面相筆に平筆…用途によって使うものは異なりますが、書物の修復ならば糊を塗るのとボンドを塗るくらいでしょう。
平筆が良さそうかと思います」
そう言って大きい平筆と小さい平筆を選んでいく。
筆の毛だけでもいろんな種類があるようで私は何を選んだらいいか分からなかったがルドルフが選んでくれる。
「糊が伸ばしやすいものがいいですよね、こちらの人工毛の平筆で良いかと」
手渡された平筆を握る。
絵の具ではなく糊を塗るために使う筆。
そんな用途で使ったことないがこれでいいらしい。
「次は金属定規ですね。
短いものと長めのもの両方必要でしょう。
ナイフは紙が切りやすいように魔術刻印を刻みましょうか?
面倒な研ぎの作業がいらなくなりますよ」
メルヒがそれに答える。
「ナイフとハサミに願いするよ」
「かしこまりました」
「リリス様はナイフ、ハサミ、目打ちを好きなの選んでください」
そいって、目の前に道具がたくさん並べられていく。
シンプルな物から豪華な飾りのものまで大きさもざまざまだ。
「細かい作業するものだから、刃先が扱いやすいのを選んでねぇ。
うーん、僕も見るか…」
店内を見ていたメルヒがこちらにやって来た、後ろか覆いかぶさるように商品を見る。
「リリスにはこれかな…」
メルヒは赤い石がはめ込まれた柄に薔薇の模様が焼印されたナイフと薔薇の茨がくるりと巻いたデザインの目打ちと同じシリーズなのか薔薇の装飾のあるハサミを手に取る。
ハサミにも赤い石がはめ込まれていた。
「赤薔薇シリーズの修復道具でございます」
ルドルフはすりすりと手を擦り合わせる。
この仕草は癖なのだろうか、気になる。
「装飾が多いのは使いにくいんじゃ…」
私はもう少しシンプルなので良い。
「すごくリリスぽいと思うけど嫌?
この赤石も薔薇の茨もぴったりだと思うよ。
道具の相性もよさそうなのに…」
「…相性ですか?」
そう言われたので、ナイフを手に取る。
持った瞬間、道具からキラキラした物が溢れ出した。
メルヒの工房で見たものに似ているが黄金色に輝いている。
手に持った感じもしっくりとしていた。
「ほら、ピッタリだ
これに決まりだねぇ」
「このキラキラしてるのが見えると良いものなのですか?」
私は首を傾げる。
「そのナイフ僕が持ってみようか」
メルヒの手にナイフを乗せる。
「何も起きませんね…」
キラキラしたものがなくなってしまった。
「ねぇ、全然違うでしょう。
その道具とリリスの魔力がピッタリだから光るんだよ。
このナイフは僕には持ちにくいねぇ。
相性のいいもので直せば、よりいい仕事ができるよ」
「分かりました。
こちらの薔薇のシリーズにします」
メルヒがそう言うのなら、このシリーズで合わせて選ぼう。
「かしこまりました」
こうやって、他の道具も選んでいった。
柔らかい皮で覆われた重石に布でできた重石。
金属で出来たスパチュラに竹で出来たヘラ。
おおきな動物の骨で作られたヘラもあった。
一通りの物を見て選び終えると、結構な荷物になった。
持って帰るのだろうか重そうだ。
一区切りついたのかメルヒが店の出入口に歩いていく。
「リリス、僕は少し用事があるからお店を出るけどここにいてねぇ。
ルドルフ引き続き道具を頼んだよ」
「もちろんですとも」
メルヒは店の外に出ていってしまった。
何の用事だろう、一人だと不安になる。
「リリス様、最後に道具入れを選びましょう。
どの柄になさいます?」
色とりどりの布と紐が並べられる。
「こちらは持ち主の好みですので、好きなものをお選びください。
当店のサービスになりますのでお代はタダです」
好きなものを選んでいいみたいだ。
「すごい種類ですね。
私は赤色がいいです。
その色だけ見せてください」
「赤色ですね、少々お待ちを」
ルドルフに赤色の布だけを広げてもらう、いろんな素材の赤い布が並ぶ。
どれにするか悩んでしまう。
赤と言っても朱色から臙脂色まで様々だ。
私はこの中からベルベットで出来た暗めの赤い布を選ぶ。
「こちらのボルドー色のベルベットですね」
「これにゴールドのタッセルを付けてください」
この入れ物にあの道具たちが収まるのかと思うとわくわくする。
見た目だけですでに可愛い道具ばかりだ。
「後日出来上がったものをお届け致します」
「楽しみにしてます」
出来上がるのが楽しみだ。
のんびり布を選んでいたらカランとドアのベルが鳴った。
どうやらメルヒが帰ってきたみたいだ。
「おかえりなさい」
「おまたせ、リリス。
道具入れの布は選べた?」
メルヒはこちらに歩いてくる。
「色はボルドーでベルベットの布か。
リリスらしい色だねぇ」
メルヒの言葉に私は、はにかむ。
「さてと、ここでの買い物は終わりだねぇ。
ルドルフ、荷物はいつものところに届けてねぇ。
代金もそこで受け取って」
あの荷物は届けて貰えるみたいだ。
金属とか重石で重いものね。
「かしこまりました。
いつもお買い上げありがとうございます」
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メルヒと一緒に店の外に出た。
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