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1章 リリスのグリモワールの修復師
28 メルヒの内心
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リリスから行き倒れていた事情を聞いた。
リリスは薔薇姫という魔族の王へ嫁ぐべき存在で生まれた時から薔薇姫の塔と呼ばれる塔の中だけが彼女の世界であったという。
ただの貴族の家出少女と思っていたが、不自由な彼女に私は同情した。
貴族の令嬢なんてものは、家の事情で勝手に婚約者が決まるものだか彼女のように魔族へ嫁ぐことはまずない。
逃げ出さないように塔の中だけで生活をさけるのもおかしなことだ。
彼女は生まれた時から誰の目にも触れぬよう塔の中で育ったという。
完全に生贄としての役割で生まれた存在だった。
彼女が一人この国から居なくなろうとも、その貴族しか知りえない。
生まれた子は国に申請するものとこの国ではなっているが、特徴的な黒い髪と赤い瞳はこの国では珍しいのに城で調べたところ国民のデータにはそのような人物はいなかった。
逃げ出す彼女を誰が咎められると言うのだろう。
少なくとも僕はそんなリリスを助けたいと思った。
ここに辿り着いてくれてよかった。
リリスの荷物に入っていたあのコンパスがなければここへは辿り着いていない。
花屋の少女が何者か知らないがここに案内してくれてよかった。
この場所を知っているなんて、依頼人だろうか。
この屋敷がある場所はとても特殊な場所にある。
ここは妖精の結界とカラスの使い魔達が常に世界から隠してくれている。
この場所はルーナ王国ではあるが妖精国でもあるのだ。
きっとリリスを守ってくれる場所になる。
月影の王メルヒ・ソルシエール・ルーナがこの身をもって保護しよう。
リリスの日々が穏やかであるように。
目を開けると朝になっていた。
寝ていたつもりだったけど、長い思考をしていたようだ。
もう一度目を閉じると、リリスの姿が浮かんでくる。
自然と口の口角が上がる。
黒い髪と赤い瞳が綺麗な少女だ。
令嬢らしく、大人しく静かに過ごすのが好きかと思ったがリリスは違うようだった。
カラス達と工房を見に来た時は何もかも楽しそうに作業を見ていた。
リリスの赤い瞳は魔素の粒子を捉えることができる良い特技をもっていた。
この世界では赤色に色が近いほど魔素を見る素質が高くなる、リリスの瞳はとても貴重な存在だ。
魔術書修復のお手伝いをしたいと言ってくれた。
なんだか弟子が出来たようで嬉しい。
今までは一人で修復作業をしていたから。
今日はリリスが私と一緒に働けるように道具を買いに行く日。
彼女を何処へ連れていこうか。
綺麗な景色を見せてあげたい。
美味しいものも食べさせてあげたい。
カラスたちと出かける時とは何か違うわくわく感があった。
さて、出かける準備をしよう。
リリスは薔薇姫という魔族の王へ嫁ぐべき存在で生まれた時から薔薇姫の塔と呼ばれる塔の中だけが彼女の世界であったという。
ただの貴族の家出少女と思っていたが、不自由な彼女に私は同情した。
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彼女は生まれた時から誰の目にも触れぬよう塔の中で育ったという。
完全に生贄としての役割で生まれた存在だった。
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生まれた子は国に申請するものとこの国ではなっているが、特徴的な黒い髪と赤い瞳はこの国では珍しいのに城で調べたところ国民のデータにはそのような人物はいなかった。
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少なくとも僕はそんなリリスを助けたいと思った。
ここに辿り着いてくれてよかった。
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この場所を知っているなんて、依頼人だろうか。
この屋敷がある場所はとても特殊な場所にある。
ここは妖精の結界とカラスの使い魔達が常に世界から隠してくれている。
この場所はルーナ王国ではあるが妖精国でもあるのだ。
きっとリリスを守ってくれる場所になる。
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リリスの日々が穏やかであるように。
目を開けると朝になっていた。
寝ていたつもりだったけど、長い思考をしていたようだ。
もう一度目を閉じると、リリスの姿が浮かんでくる。
自然と口の口角が上がる。
黒い髪と赤い瞳が綺麗な少女だ。
令嬢らしく、大人しく静かに過ごすのが好きかと思ったがリリスは違うようだった。
カラス達と工房を見に来た時は何もかも楽しそうに作業を見ていた。
リリスの赤い瞳は魔素の粒子を捉えることができる良い特技をもっていた。
この世界では赤色に色が近いほど魔素を見る素質が高くなる、リリスの瞳はとても貴重な存在だ。
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なんだか弟子が出来たようで嬉しい。
今までは一人で修復作業をしていたから。
今日はリリスが私と一緒に働けるように道具を買いに行く日。
彼女を何処へ連れていこうか。
綺麗な景色を見せてあげたい。
美味しいものも食べさせてあげたい。
カラスたちと出かける時とは何か違うわくわく感があった。
さて、出かける準備をしよう。
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