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1章 リリスのグリモワールの修復師
27 準備
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「「おはようございます」」
目を開けるとルビーとサファイアがベッドの左右に立っていた。
左右からの音がぴったりとあっている。
「おはよう、二人とも」
体がだるかったが、私はむくりと起きる。
「リリス。
今日は主様とお買い物です」
そうだ、今日はメルヒと出かけることになっていた。
ルビーがリリスって呼んでくれていて嬉しくなる。
「そうね、準備しなくちゃ」
私は部屋にある浴室に向かい、顔を洗う。
出てくる頃にはサファイアが服を用意してくれていた。
「預かっていた服も修理完了しました」
「これは…」
私は身に覚えのある赤色の服に手を伸ばす。
「私の服だわ。
すごい、全部綺麗になってる…」
険しい山道を歩いたから所々に穴も空いて、泥で汚れていたはずなのに綺麗になっていた。
「ありがとう。
こんなにきれいにしてくれたのね」
「クリーニングはボクたちがしましたが、繕いはメルヒ様ですよ」
「お召かえのお手伝いいたしますわ」
サファイアの後ろからルビーが現れる。
「二人ともありがとう」
二人と一緒にドレッサールームに向かう。
ルビーとサファイアにも手伝ってもらい服を着た。
背中の部分が編み上げのコルセットになっているのでルビーに引っ張ってもらった。
強すぎても辛いし、ゆるくても綺麗にならない。
ちょうど良い設定にしてもらう、これなら今度からは一人で着替えが出来そうだ。
腰のリボンを後ろで結べば出来上がり。
鏡には黒く長い髪の赤い瞳の少女の姿が写る。
ドレス姿を見て、家にいたことを少し思い出したがもう関係ないことだ。
新しい生活が始まる。
***
服を着替えたので食堂に向かった。
今日も美味しそうな食事が用意されていた。
妖精さん、毎日ありがとう。
「私の達の分しかないみたいだけど、いいの?」
「大丈夫ですよ。
メルヒ様はエメラルドと部屋で食べてるみたいなので」
用意をしてくれる者への感謝の祈りを捧げて朝食をいただく。
焼いたパンにサラダにベーコン、卵だけで出来たオムレツだ。
今日も、美味しい。
食後の紅茶を飲んでいると、メルヒとエメラルドがやってきた。
「おはよう、リリス」
「…」
小さくお辞儀をするエメラルド。
すでに出かける支度を終えたメルヒ。
「おはようございます。
もう、出かけます?
部屋に荷物とってきますね」
「そうだね、もう少ししたら行こうか。
外は寒いから暖かくして来てね」
私が立ち上がると、メルヒは目を細めた。
「服、元通りになったみたいでよかったよ」
「綺麗にしてもらって、ありがとうございます」
私はにこやかにメルヒにお礼を言う。
何から何まで本当に親切な人だ。
フルールが言うようにここに辿り着いてよかった。
「着ていた赤いマントと服に目立たなくする術式付与してるから、余程のことがない限りお出かけしても大丈夫だと思うよ」
フルールの着ていた服と同じような効果だろうか。
そうだとしたら安心できる。
「そうだったのですね!
ありがとうございます。
これで安心して人がいるところも歩けます」
私は食堂から部屋に戻り、自分の荷物を探す。
こっちもクリーニングしてくれたみたいで、汚れが無くなっていた。
鞄の中には空の水筒と保存用の焼き菓子が数個入っている。
「今日は、飲み物だけで大丈夫かな…
買ったものが、入れられるように軽くして行かないと」
鞄に必要なものだけをつめる。
鞄の中にはフルールからもらったコンパスのネックレスが入っていた。
「ここに、あったのね」
手に取って眺める。
丸いガラス玉の中にクルクルと針が悩むように回っていた。
「目的地についたら、こうなってしまうのかしら?」
私はコンパスのネックレスをまたつけることにした。
ドレッサールームに置いてある、赤いマントをはおる。
「リリス、そろそろ行くってメルヒ様が言ってる」
部屋に迎えにきたサファイアに促され玄関に向かった。
目を開けるとルビーとサファイアがベッドの左右に立っていた。
左右からの音がぴったりとあっている。
「おはよう、二人とも」
体がだるかったが、私はむくりと起きる。
「リリス。
今日は主様とお買い物です」
そうだ、今日はメルヒと出かけることになっていた。
ルビーがリリスって呼んでくれていて嬉しくなる。
「そうね、準備しなくちゃ」
私は部屋にある浴室に向かい、顔を洗う。
出てくる頃にはサファイアが服を用意してくれていた。
「預かっていた服も修理完了しました」
「これは…」
私は身に覚えのある赤色の服に手を伸ばす。
「私の服だわ。
すごい、全部綺麗になってる…」
険しい山道を歩いたから所々に穴も空いて、泥で汚れていたはずなのに綺麗になっていた。
「ありがとう。
こんなにきれいにしてくれたのね」
「クリーニングはボクたちがしましたが、繕いはメルヒ様ですよ」
「お召かえのお手伝いいたしますわ」
サファイアの後ろからルビーが現れる。
「二人ともありがとう」
二人と一緒にドレッサールームに向かう。
ルビーとサファイアにも手伝ってもらい服を着た。
背中の部分が編み上げのコルセットになっているのでルビーに引っ張ってもらった。
強すぎても辛いし、ゆるくても綺麗にならない。
ちょうど良い設定にしてもらう、これなら今度からは一人で着替えが出来そうだ。
腰のリボンを後ろで結べば出来上がり。
鏡には黒く長い髪の赤い瞳の少女の姿が写る。
ドレス姿を見て、家にいたことを少し思い出したがもう関係ないことだ。
新しい生活が始まる。
***
服を着替えたので食堂に向かった。
今日も美味しそうな食事が用意されていた。
妖精さん、毎日ありがとう。
「私の達の分しかないみたいだけど、いいの?」
「大丈夫ですよ。
メルヒ様はエメラルドと部屋で食べてるみたいなので」
用意をしてくれる者への感謝の祈りを捧げて朝食をいただく。
焼いたパンにサラダにベーコン、卵だけで出来たオムレツだ。
今日も、美味しい。
食後の紅茶を飲んでいると、メルヒとエメラルドがやってきた。
「おはよう、リリス」
「…」
小さくお辞儀をするエメラルド。
すでに出かける支度を終えたメルヒ。
「おはようございます。
もう、出かけます?
部屋に荷物とってきますね」
「そうだね、もう少ししたら行こうか。
外は寒いから暖かくして来てね」
私が立ち上がると、メルヒは目を細めた。
「服、元通りになったみたいでよかったよ」
「綺麗にしてもらって、ありがとうございます」
私はにこやかにメルヒにお礼を言う。
何から何まで本当に親切な人だ。
フルールが言うようにここに辿り着いてよかった。
「着ていた赤いマントと服に目立たなくする術式付与してるから、余程のことがない限りお出かけしても大丈夫だと思うよ」
フルールの着ていた服と同じような効果だろうか。
そうだとしたら安心できる。
「そうだったのですね!
ありがとうございます。
これで安心して人がいるところも歩けます」
私は食堂から部屋に戻り、自分の荷物を探す。
こっちもクリーニングしてくれたみたいで、汚れが無くなっていた。
鞄の中には空の水筒と保存用の焼き菓子が数個入っている。
「今日は、飲み物だけで大丈夫かな…
買ったものが、入れられるように軽くして行かないと」
鞄に必要なものだけをつめる。
鞄の中にはフルールからもらったコンパスのネックレスが入っていた。
「ここに、あったのね」
手に取って眺める。
丸いガラス玉の中にクルクルと針が悩むように回っていた。
「目的地についたら、こうなってしまうのかしら?」
私はコンパスのネックレスをまたつけることにした。
ドレッサールームに置いてある、赤いマントをはおる。
「リリス、そろそろ行くってメルヒ様が言ってる」
部屋に迎えにきたサファイアに促され玄関に向かった。
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