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TrashWorks 14
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「いっ、ア………!!逸、逸ぃ……──」
「…………………」
気でも触れたように敬吾が声を上げ、逸を呼んでも逸はただの一言も返事をしなかった。
それどころか顔を上げることも目線を合わせることもせず、ただ乱暴に単調に、だが熱っぽく敬吾を突き上げる。
「やっ、逸……いち、い……あ…………!!」
──それがようやく、僅かでも緩やかになって逸が敬吾の顔を見たのは、敬吾が激しく昇り詰めてからやっとのこと。
それでも十分激しい律動に、敬吾は痛々しく眉根を寄せて懇願する。
「逸、……逸──………」
「……敬吾さんが悪い」
「ふ……、っ………?」
不思議そうな、とろりとした敬吾の視線を、逃がすかとでも言いたげに正面から強く受け止めたまま一層強く突き上げ、逸もその奥深くに熱を吐き出す。
それでもさして失われないその質量をゆるゆると蠢かせながら逸は不機嫌そうに敬吾を見下ろした。
「ああ……敬吾さんがいくとこ見んの忘れた……」
「………………?」
「敬吾さん、もっかいね」
「………………………!!!????」
「ぇ……や、やだ、むり」
「無理って?」
「もうむり、できない」
「………………」
目の前の白むような、長い長い時間を掛けて施された愛撫に植え付けられた熱はその解放にあまりに激しい快感を伴った。
未だに浮遊感を覚えるほどの、絶望したくなるような、降伏する外無い圧倒的なそれは未だ体を現から遠ざけている。
──このままもう一度、だなんて。
「……む、無理、へんになる……」
「………………」
逸の酌量を期待した敬吾の懇願はその役目を果たせずに、それどころか逸を笑わせた。
卑しいその笑顔を、敬吾の意識は願望から優しいものと歪んだ認知をする。
「そうですか……」
「う、うん無理」
「じゃあそれも見せてもらわなきゃな」
「────?」
別段非道なことをしているつもりは毛頭無く、ごく当然のような素振りで逸は敬吾の頬を撫でた。
この意思の疎通の不十分さを敬吾が理解できないうち、そしてやっと理解して抗議しようと思い立った頃、逸はとっくに柔らかいキスでその口を塞いでいた。
乱暴な狼藉ならともかくも、慰められるような宥められるような感触に敬吾は抵抗の機を失う。
滔々と絡められる舌の感触に浸りきった頃、自然と抜けていった逸のそれは熱を取り戻し始めて敬吾のものにゆっくりと擦りつけられていた。
否が応にも呼吸が上がり、理性が遠のく。
だが同時に焦燥を生んだ。
「んんっ!んー……!」
「……敬吾さん?」
僅かに離れた唇の合間、腹だ腿だと撫でられながら敬吾は必死に「だめ」を繰り返す。
「……何がだめ?」
「うー……」
とっくに言葉を忘れている敬吾が愛しく、逸はその唇を撫でて重ねた。
「……これ?」
「ぅ………」
腰と腹をそっと撫でる。
「それともこれ?」
「ん……………っ」
鼠径部にそっと指を滑らせた。
「これ?」
「んん………っ、」
逸がくすくすと笑う。
「もー……何がダメなの」
「………………っは、……」
「……敬吾さん?」
優しく含めるような声音、まるで甘い褒美のようになった自らの名に、敬吾は一もニもなく目の前の首に抱きついた。
駄目と宣っておいてそれも無い──などと思える理性も当然無かった。
「敬吾さん………」
深く目を瞑って嘆息を漏らし、逸は敬吾の髪を撫でた。
言葉とは裏腹に、快感に従順な敬吾の態度は逸の食欲に似た欲求を満足させた。
その余裕の為なのか、逸は不必要な嗜虐心を露呈させずにいる。
──ある程度は。
ただ敬吾を引きずり落としたいがため逸が注ぐ熱情は、望み通り敬吾を狂わせた。
意地の悪い問答も欲求もなく、欲しいところに触れられて、焦らすようなこともなく深く繋がったそこは熱く擦り上げられる。
ぞくぞくと迫り上がる歓喜に似た快感は、更に肌の感覚を鋭敏にした。
空気の流れどころか──期待と記憶だけでひりついてしまうほどに。
──それが敬吾を苛んだ。
小さく抑えて、だが堪えられない喘ぎの合間敬吾は文字通り没頭している逸を見る。
熱を込めて激しく、甘く敬吾を穿つ逸の両手は自らの体重と敬吾の腰を支えることで塞がっている。
「…………、…………い、ち」
返ってくるのは激しい呼吸音ばかり。
「…………いち……!」
「ん、うん?」
やっと顔を上げた逸は不思議そうに首を傾げる。
溶け合うそこから腹、胸、顔へと走った視線ですら質量を伴っているかのようだった。
また虚構の愛撫に敬吾の肌が震える。
もはや恥も外聞もあったものではなかった。
「んっ……!」
「敬吾、さん?」
「さわって、っ逸、………!」
「────」
──────触れ?
一瞬意味を測りかね、逸は命乞いさながら懇願する敬吾の顔を呆然と見下ろした。
その肌、蠢く胸や腹を、手がかりを探すように。
──そうして、小さくも主張するようなその胸の先が、これ以上無いほど固く膨れているのを目に止める。
「ああ……」
「ん………っ、」
──とは言え。
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