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襲来、そして 13

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「────っぃち………っ!もう……!むり!!………」
「ん……、はい、……っごめんなさい……」

深く激しく穿たれ続けて、敬吾は涙を振り払うように頭を振りながら懇願した。

強すぎる快感だけならともかく逸はやはりとにかく甘かった。
甘えるわ、甘えさせるわ、囁くわ微笑むわで敬吾の許容量はもうとっくに溢れかえっている。

一度などあまりに「好きだ」と言われすぎて、「俺だって好きなんだよ少し黙れバカ」などと罵倒とも睦言とも付かない戯言を口走ってしまった。
逸の反応はと言うとこれでもかと頬を緩ませて腰は更に気合いが入ってしまったから目も当てられない。
輪をかけて快感は加速するわ気持ちは暴走するわで、自分でも手に負えなくなってしまった。

好意と快楽が溶け合いながら滞留しきり、そのまま濃くなり続けて──最後の最後、あと少しのところを身を任せてしまうのが、少し恐い。

「逸………っ待て、…………っあ、たのむ……からっ」
「……敬吾さん?」
「んんっ!まって、ってば──……!」

淫らに溶けた泣き顔を更に悲痛に歪め、敬吾は懇願した。
逸も気遣わしげにその顔を見下ろすものの、もう自分で身体を制御することも出来なくなっている。

「敬吾さん?……痛い?」
「んっ、あっぁ……っ」

──違うようだ。
実際敬吾の表情はこれまでにないほど深く乱れていて、逸はよくこれでそんなことを言えるものだと驚いてすらいた。
可愛らしすぎていやらしすぎて、痛いのでもなければ何と言われてもやめられる気がしない。

「……気持ちは、いいでしょう?……こんな溶けて、……かわいい、……っ」
「あ…………っばか!!………」

また大きく身体を撓らせ、敬吾は深く逸の肩に爪を立てた。
逸はもうただ我を忘れたようにその奥だけを強く突き上げる。
敬吾が悲鳴のような喘ぎを上げた。

「っだめ──……っだって!あ……っ!いち!もぉ………!」
「………どう、したの?敬吾さん……」
「ん──……っ!あっんぅっ、んっんっ……!」
「めちゃくちゃ……感じて、るのに」

逸の声はもう獣そのものだった。
自らも限界が近い。

「──ちから抜いて……」

目元を小さく舐められ、小さく叫んでまた敬吾の身体は跳ねる。
──もう堪えられそうにない。

「……ね、いっぱい、いけそ……でしょ?……」
「………っん!それがっ………!!」
「ん──……?」

今度は耳を舐められて、敬吾の身体はもう痙攣を始めていた。
精神だけがごくわずか現にしがみついているだけのように。

「やだぁ!こわい………っ!」
「ん………、」

最後の理性で、逸は敬吾に向き合った。
すっかり泣き崩れてしまっている顔に微笑んでやり、額を付けて髪を撫でる。

「大丈夫、こわくないですよ……ちから抜いて?」
「やだ!……やだ………っ」

逸の声からもぞくぞくと震えが走り、敬吾は更に逸の背中に縋り付いた。

「いちっ、やめ……」
「敬吾さん……」

──そうできるなら、してやりたいほど敬吾は張り詰めているが。
逸ももう引き返せないところに来ているし、なにより──

「……っでも敬吾さん、半分いってる……でしょ、?」
「────!」
「これ……このままには、できませんよ、」

優しくそう言われ、また涙が溢れ出す。
逸は無理にでも解き放ってやろうと、それでも進んで身を任せて欲しいと、また違うところを抉った。

「俺がちゃんといます、から……ちから抜いて?」
「……………ふ……っ、」
「敬吾さん………」
「ん…………っ!!!」

逸の優しい声が、呼び水のようだった。
怒涛のような快感が溢れて、敬吾は激しく昇り詰める。
局部的ではない、全身に波及する突き抜けるような快感が、いつまでも身体を震わせた。
今にも叫び出しそうな喉を必死で締め付けるせいで、快感はいつまでも抜けていかない。
それに加え、逸が熱を吐き出しながらも打ち付け続けるから尚の事だった。


しばらくは、濡れた音と悲痛な喘ぎ、互いの名前だけが部屋に満ちていた。





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