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アクティブ・レスト 15

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自分の腰に巻き付いたまま、まだ開かない目を顰めている逸の頭を撫でると敬吾は携帯を置く。

「八幡さんて、篤さんかよ……」
「……?したのなまえしりません」
「おまえの携帯に電話来てたの、間違って取った………。どっかで取り違えたって言い訳したから俺の携帯から掛けてくれ。……起きるか?コーヒー淹れてくる……」

逸が間違えないよう自分の携帯を側においてやり敬吾が立ち上がろうとすると、逸の腕は解けるどころかより強く巻き付いた。

「誰ですかーーーー」
「普通に昔のバイト仲間だ、アホ!」
「へえ……」

悪びれるわけでもなく腕を解いただけの逸の頭を軽く叩き、「連絡しとけよ」と言い置いて敬吾はベッドを降りる。

そうしてドアを開けるか開けないかのところで、しまったコーヒーより先にシャワーだった──と逸の方を振り返ると、既に電話が繋がっているらしい。
敬吾が浴室を指差すと察したらしく目で頷き、空いた手で敬吾の指を握った。

(いや、一緒に入ろうっつってるわけじゃねえよ)

黙って浴びてしまえば良かった……と思いながら指を抜こうとすると、今度は腕を掴まれる。
抗議しようとすると逸は少々楽しげに立ち上がって敬吾を後ろから抱き込んだ。
こう電話口に近くなってしまうと、下手に文句も言えない──。

「はい、了解です──それじゃあ。はい──」
「っん…………!」

まだ通話の切れないうちに、逸は肩から手を下ろし敬吾の胸から腹へ撫で下ろしていた。
自分でも驚くほどの過敏さに、敬吾は必死で声を殺していた。
いかにも意地悪そうに笑いながら逸は携帯をベッドへ放り出す。

「……なんだよっ!アホなことすんな──」
「まだ時間ありますね」
「…………はぁ?」
「昨夜、敬吾さんぜんぜん足りなかったでしょ?……」
「…………!」
「……あれ、俺すごい申し訳なくて──」
「っも……申し訳ないってお前……」

まるで報酬を目的にしているような言い方を──

「ぁ……おいっ!」
「敬吾さん……」

優しく言い含めるような呼び方が、赤くなった敬吾の目元をふと細める。

逸としては、もっと率直に感謝を述べ、謝罪もしたかった。
だがそれではあまりにも足りない。
何を言っても報いられない。

「敬吾さん………」
「っなんだよもう……!」
「好きです」
「………………っ!」

今度は敬吾をゆったりと抱き寄せ、逸はその肩に顔を埋めた。

「昨日は俺、わがまま言いまくっちゃったんで……」

──そのまま逸は敬吾の首筋に口付け始める。
二の句を継ぐ気はないらしい。

「っ、なんだよ…………っ」
「ん………」

また意地悪げに口の端を上げ、逸は敬吾の耳に唇を這わせる。



「…………言わせたいですか?」
「…………………っ」







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