92 / 345
褒めて伸ばしてー閑話休題ー 11
しおりを挟む「……………なにしてんすかもうっ!」
敬吾が機嫌の悪い猫のような唸りを上げる。
逸がその腰を掴みずりずりと引き寄せていた。
情け容赦ない力技に、敬吾は指先で裾を下ろしておくことしかできない。
「敬吾さん、──舐めてくれるんでしょう?」
「っ………、」
敬吾の頬がまた、肌が薄くなったようにほわりと赤くなる。
撓るように上体を倒すと、指先からはどうしても力が抜けた。
その唇が逸の先端に触れた瞬間に、思い切りスカートがたくし上げられる。
当然敬吾は腰を上げるがーー骨盤を抑えられていて、ほとんど離れられない。
「あ──やべー……」
「ぅ──………」
「敬吾さん、舐めて?」
逸が僅かに腰を上げ、濡れた鈴口が敬吾の口の端に触れる。
それを敬吾が口に含むと、逸が尻を撫で回した。
羞恥と咥内の圧迫感とで顔を歪ませつつ、纏わりついた精液と溢れ出る先走りを丹念に舐め取る。
顔が傾く度流れ落ちる髪の毛を何度も除けながら、敬吾は頭の端の端で世の女性は大変だなと考えていた。
自分の体の一部ですら、こんなに長いと重いし厄介だ。
ブラジャーは重みなど加わっていないはずなのに肩が凝り始めているしストッキングの圧迫感も不愉快だった。
それどころか本来はこの他にメイクだネイルだアクセサリーだと更に重りは増えるはずで──
──考えるだに鬱陶しい。
弾けるような小さな音を立てて逸のそれを口から出し、また濡れ始める滑らかな亀裂をぼんやりと見つめて──
──裸になってしまいたい。
そう思う。
その束の間の哀愁じみた陶酔は、自分の尻がびくりと引き攣ったことで乱暴に終わった。
「──っな、何、なにっ──」
懸命に振り返るも未だに腰が固定されていて首が動く範囲でしか確認できない。
その限りでは──
そして、感触もそれを裏付けるのだが──
──逸がそこに、顔を埋めていた。
「やっ、やだ馬鹿!やめろっ、て!!」
逸は当然聞きもしない。
ところ構わず食まれ、舐められ擦られして敬吾はもうどうしようもなくなった。
張り詰めさせていた背中は力が枯渇し、軽く立てられている逸の膝に縋るようにしなだれ掛かる。
そうなると逸が一層調子に乗るのだが、やはり脚全体を覆う膜が感覚を篭もらせた。
逸が膨らみを口に含んでも、谷間を舌でなぞってもその奥まで強く踏み入ろうとしてもしなやかに阻んで、鬱陶しくてもどかしくて半端な熱が灯っては燻って消えるばかり。
敬吾の瞼がとろりと落ちる。
内腿を、鼠径部を舐められてもやはり熾火のような焦燥が募るばかりで苦しかった。
物欲しそうに揺らぎ始める腰に、逸が口の端を上げる。
「敬吾さん──」
「へ………」
「どうしたんですか?」
「……………」
「何か、してほしいの?」
「──────」
優しい口調で問われ、敬吾が逸のズボンを握り込む。
意地悪で聞いているのではないようだった、逸には恐らく分からないのだ、このもどかしさが。
いつものようにしているはずの逸の感触が届かない。
もう待ってしまっているそこに、触れそうで触れない。その辛さが。
「敬吾さん?」
優しく腿を撫でられて、敬吾がどうにか口を開く。
「──ちゃ、ちゃんと、触って……ほしい、全然さわって、ない………」
「──────」
逸がぽかりと口を開けた。
冷水でも浴びせられたように強烈に理解する。
この、敬吾の谷間をなだらかにしてしまう布の張力。
それを、逸は紙くずのように引き裂いた。
「えっ────!!?」
そうしてその裂け目ごと下着をずらし。
きっと焦らしに焦らされていたであろう敬吾のそこを、舐め上げた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
98
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる