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海の世界で呪い解き
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今までニルゼンが仕掛けてきた攻撃は二種類。
一つ目は光で物を作り出すこと。
光で切れ味の良い刃物を作り出せることに疑問符が浮かぶが、神ならばそれも可能なのかもしれない。
二つ目は作ったものを飛ばすこと。
斬撃や矢を飛ばす遠距離攻撃の手段だ。
俺が打開策を考える間も、ニルゼンとの戦闘は続いている。
「スィン」
綺麗な音とともに俺の頬に横一線の赤い紋様が走る。
「くっ」
「どけ!イザナギテンリ!」
「うっせーよギャーギャーと」
ニルゼンはこの世界で会った時からパニックを起こしたかのように興奮している。
何かあったのだろうか。
俺を草原の世界に招き入れた時の美青年の面影はもはや跡形もなくなっている。
「速い、考える暇がない」
俺のつぶやき一つで俺のやりたい事を察した二匹の神獣は、絶妙なコンビネーションでニルゼンを攻撃し、時間を作る。
「キュいイイ!」
フェニが炎を放出し、ニルゼンにふりかける。
それを光の縦で防ぐニルゼン。
そのやり取りの隙をつき電撃を放つクウリ。
「ありがとう、助かる」
俺はそう言うと思考を再開する。
俺たちの役目は時間稼ぎだ。
相手を倒す必要は無い。
その為にも、相手の弱点が知りたい。
「弱点………弱点……弱点…弱点弱点」
刹那、俺の脳に電撃が走ったかのような感覚に襲われる。
「そうか、わかったぞ弱点。」
先程からニルゼンは幾度となく俺たちに光の矢や、斬撃を繰り出している。
しかし、俺たちはまだ生きている。
つまり命中率が低い、更には、近接戦闘になると、あまり怖さがない。
想定外の事態が起こった時の対処も苦手なようだ。
つまり、ニルゼンの弱点は、実戦経験のなさなのではなかろうか。
そこまで一瞬の間に思考した俺は、ニルゼンの方向にむかって地面を蹴る。
「なっ!イザナギテンリ!」
俺はこれまで、死なないように慎重に行動していた。
そんな俺が、突如として決死の突撃を繰り出した。
予想通り、ニルゼンは動くことができずにいる。
―――行ける、入った。
「スィン」
―――……え?
直後、俺の腕と胴体は、肩あたりで切断され、腕の方はただの有機物に成り下がった。
俺は倒れ込む。
数秒遅れて、痛みと何かほとばしるものが混み上がってくる。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!」
―――痛い、痛い痛いいたいいたいいたいいたい!
ニルゼンは、いきなり冷酷な目をして俺を見下す。
「バカだねぇ、テンリ、大人しくしてれば良かったのに。僕が実戦経験少ないと思ったんでしょ?そんな訳なじゃん」
これらの言葉は、フェニとクウリの必死の攻撃を全て受け流しながら放たれていたものだ。
実力を隠していたのだろうか。
「安心しな、殺さないよ、君にはもっと酷い地獄を見せてあげないといけないからね。それにしても、もうちょい頑張ってくれよテンリ、弱すぎて話にならないねえ」
「クソ……野郎が…紅葉と………アマテが来たらお前なんて……」
何とか言葉を紡ぐ俺に、ニルゼンは罠にかかった獲物を見るかのような目で蔑む。
「人の力を借りないと威嚇や脅しも出来ないなんて、全く情けない。」
「………」
「それに、君の仲間はアイツに勝つので精一杯でここまで来れないさ。僕はやられたアイツを連れて逃げる」
そう言って、ニルゼンはフェニとクウリに一撃を喰らわせ、戦闘不能にしてから下に降りていこうとする。
「ま……まで」
「嫌だね、じゃあさようならテンリ!また逢う日まで」
俺の訴えを無視し、ニルゼンは穴に飛び込む、その景色を最後に、俺の意識は暗闇へと落ちていった
一つ目は光で物を作り出すこと。
光で切れ味の良い刃物を作り出せることに疑問符が浮かぶが、神ならばそれも可能なのかもしれない。
二つ目は作ったものを飛ばすこと。
斬撃や矢を飛ばす遠距離攻撃の手段だ。
俺が打開策を考える間も、ニルゼンとの戦闘は続いている。
「スィン」
綺麗な音とともに俺の頬に横一線の赤い紋様が走る。
「くっ」
「どけ!イザナギテンリ!」
「うっせーよギャーギャーと」
ニルゼンはこの世界で会った時からパニックを起こしたかのように興奮している。
何かあったのだろうか。
俺を草原の世界に招き入れた時の美青年の面影はもはや跡形もなくなっている。
「速い、考える暇がない」
俺のつぶやき一つで俺のやりたい事を察した二匹の神獣は、絶妙なコンビネーションでニルゼンを攻撃し、時間を作る。
「キュいイイ!」
フェニが炎を放出し、ニルゼンにふりかける。
それを光の縦で防ぐニルゼン。
そのやり取りの隙をつき電撃を放つクウリ。
「ありがとう、助かる」
俺はそう言うと思考を再開する。
俺たちの役目は時間稼ぎだ。
相手を倒す必要は無い。
その為にも、相手の弱点が知りたい。
「弱点………弱点……弱点…弱点弱点」
刹那、俺の脳に電撃が走ったかのような感覚に襲われる。
「そうか、わかったぞ弱点。」
先程からニルゼンは幾度となく俺たちに光の矢や、斬撃を繰り出している。
しかし、俺たちはまだ生きている。
つまり命中率が低い、更には、近接戦闘になると、あまり怖さがない。
想定外の事態が起こった時の対処も苦手なようだ。
つまり、ニルゼンの弱点は、実戦経験のなさなのではなかろうか。
そこまで一瞬の間に思考した俺は、ニルゼンの方向にむかって地面を蹴る。
「なっ!イザナギテンリ!」
俺はこれまで、死なないように慎重に行動していた。
そんな俺が、突如として決死の突撃を繰り出した。
予想通り、ニルゼンは動くことができずにいる。
―――行ける、入った。
「スィン」
―――……え?
直後、俺の腕と胴体は、肩あたりで切断され、腕の方はただの有機物に成り下がった。
俺は倒れ込む。
数秒遅れて、痛みと何かほとばしるものが混み上がってくる。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!」
―――痛い、痛い痛いいたいいたいいたいいたい!
ニルゼンは、いきなり冷酷な目をして俺を見下す。
「バカだねぇ、テンリ、大人しくしてれば良かったのに。僕が実戦経験少ないと思ったんでしょ?そんな訳なじゃん」
これらの言葉は、フェニとクウリの必死の攻撃を全て受け流しながら放たれていたものだ。
実力を隠していたのだろうか。
「安心しな、殺さないよ、君にはもっと酷い地獄を見せてあげないといけないからね。それにしても、もうちょい頑張ってくれよテンリ、弱すぎて話にならないねえ」
「クソ……野郎が…紅葉と………アマテが来たらお前なんて……」
何とか言葉を紡ぐ俺に、ニルゼンは罠にかかった獲物を見るかのような目で蔑む。
「人の力を借りないと威嚇や脅しも出来ないなんて、全く情けない。」
「………」
「それに、君の仲間はアイツに勝つので精一杯でここまで来れないさ。僕はやられたアイツを連れて逃げる」
そう言って、ニルゼンはフェニとクウリに一撃を喰らわせ、戦闘不能にしてから下に降りていこうとする。
「ま……まで」
「嫌だね、じゃあさようならテンリ!また逢う日まで」
俺の訴えを無視し、ニルゼンは穴に飛び込む、その景色を最後に、俺の意識は暗闇へと落ちていった
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