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海の世界で呪い解き

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「行くか。」
「そうだね。ユリ、イヴァン、留守番頼んだよ。」

 俺とアマテは、イヴァンとユリを村の臨時の村長とし、村のこどもを救いにでかける。
 さらわれた男の子の父親も不安そうな顔をして見送りに来ている。 
 アマテの力で宙に浮きながら俺は言う。

「行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」と、ユリさんが反応してくれる。

 相手の家の位置は大体わかった。
 俺たちは飛びながら話す。

「ねぇアマテ。」
「なに?」
「エルフに角ってあったっけ?」
「聞いたこともないね。」
「じゃああの子は一体。」
「さぁね、何かの雑種なんじゃない?」
「動物に使う表現じゃね?それ」
「まぁそうかな。じゃあハーフとでも言っておこう」
「まぁそうかもね。てことは鬼とエルフのハーフってことかな。」
「そんなところじゃない?何れにせよ、哀れだよ。」
「境遇が?」
「そう。小さい頃から差別されて来ただろうね。鬼側からもエルフ側からも。必死に生きてきたんだよ。あの子は」
「なんでわかるの?」
「私が似た境遇で育ったからかな。周り見えるようになれば楽になると思うんだけど。」


 そこで会話は終わり、無言で家まで飛んだ。
 

 家につく。そこは、穴が一つあり、その下に巨大な空間があった。地底基地といった様子だ。
 アマテの力がなければ見つけられなかったかもしれないほどに小さい入口だ。

 中に入ると、一つの大きな空間があり、そこにうじゃっと人が居た。
 全員敵とみなして問題ないだろう。

「アマテ、どうする?」
「全員倒す。すぐ終わるから見てて。」

 そう言って、アマテは自分の体を思いっきり発光させた。俺は事前に渡されていたコンタクトレンズのようなものをしているから眩しくなかった。

 発光が終わった次の瞬間。俺とアマテ以外に立っているものは居なかった。
 皆気絶している。

「スゲ。」
「このくらいなら簡単だよ。」
「神様ってこわ。」

 そんな話をしながら、次の部屋へと続く扉を開く。
 すると、そこにはエルフが一人と、その周りを取り囲む色々な種族の家来のような人が、無数にいる。

「イシリオン。来たわ。」

 エルフはそう言って、戦闘の構えを取る。弓を持つ彼女は言う。

「私の役割は時間稼ぎ。でもこれだけは言っておく。死ぬくらいなら逃げなさい。最終的に時間稼ぎのノルマを達成できればいいのです。達成したらすぐに引きます。行きましょう」

 その声掛けに、家来がうなずき、飛びかかってくる。
 動きが綺麗だった。集団戦法が研ぎ澄まされたような集団だった。
 おそらくあのエルフ直属の部隊。

「テンリ、家来は私が相手する。エルフはあなたが相手して。」
「りょーかい!」

 俺はエルフの元へ走り、その道をアマテが作っていく。
 彼女と対面したところで言う。

「戦闘開始。」
「来なさい。」

 彼女のはなった矢と俺の短剣が近づいていく。
 動悸を気合で抑え込み、二酸化炭素を吐き出し、腕に力を込めた。
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