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海の世界で呪い解き
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俺は刀身を出し、一直線に屋根の上で唯一孤立している背の低い人物に走り寄る。
なんだかんだ言って初めて戦闘を行うことになった。
剣術なんて全く知らないので、俺の能力、すばしっこさをフルに生かした戦わなければ。
短剣は当たるだけでも打撲ぐらいにはなるだろうし、殺すつもりはないから案外剣を使ったことがないのはいいことかもしれない。
俺は自分の間合いに入ったところで、思いっきり短剣を振る。
二本ある短剣が両サイドから相手を圧迫する。
刹那、相手は俺の攻撃を読んでいたかのように飛び上がる。
それだけではなかった。数メートル飛び上がった相手は何もない空間、強いて言うなら空気だけが存在するその空間を蹴ったのだ。その勢いで、がら空きの俺の背中に攻撃を仕掛けてくる。
俺はとっさに身を捩って避け、苦し紛れに短剣をふる。
「ザッ」
その音と共に、相手のフードが破け、顔が露出する。
「チッ!」と、相手が声を上げる。
その相手はエルフの青年女子だった。
真っ白な肌にきれいな瞳、そして何より長い耳、尖った犬歯が見え隠れする。
頭には小さな角が二本。そして美しい顔を持っている。
先程の声も舌打ちだったにも関わらず、美しく、引き寄せられる感覚に陥った。
俺は知らず知らずのうちに呟いていた。
「エルフ?……」
「あ?文句あっかよ!」
「あ、いや別に。」
そう言った直後、相手は俺に向かって走ってきた。
再び武器と武器が交差し、ガキィィ。と不快な金属音を立てる。
相手の武器は、きれいな模様の入ったシミターだった。
「か弱い女の子が一人でいるところを襲うなんて!酷い男もいるもんだな!」
「お前のどこがか弱いんだよ!!」
「この華奢な体を見ろ!か弱くなくして何になる?」
「華奢な割には力が強いんですけど!?」
その後俺とエルフは瞬き一つの間をおいて間合いを取る。
―――やべぇ!案外戦えてる!スピード瞬発力が目と脳にも反映されててよかった!相手の攻撃見えるし頭の回転早いから回避できる!
再び地面をけろうとしたその時、
「ピィィィィィィィィィ!!!」
その鳴き声が聞こえる。
空からだった。
空を飛ぶクウリとフェニが鳴いているのだった。
エルフの顔色が変わる。驚いたような表情だ。
「動きが止まった。」と言うイヴァンが視界に入る、ユリさんとアルテも共に怪我はなさそうだ。
「あんたら、いきなり襲ってすまなかった。」
と、一番最初に襲ってきた男がフードを脱ぎ、渋めで、しかし若々しく、きれいな顔をのぞかせる。
エルフだった。
「なんでいきなり襲ってきたんだい?」
と、アマテが聞く。俺もそう思っていた。
「指令でね、俺たちの主の。悪人かと思っていた。」
「……だとしてもいきなり切りつけます?」
「そうしろと習った。」
いきなり許す気にもなれず、静かに彼らを攻める俺のせいで、冷たい空気が漂う。
これ以上争っても分が悪い。
今和平に持ち込めそうでいいチャンスなのはわかっているが、殺されかけてすぐ許すのも違う気がしてならない。
「え、えと。そ、それはいいとして。なんで僕たちが悪人じゃないと?」とイヴァンが彼らに聞く。
「あの神獣のおかげだ。」
「ああ。」
「あいつらは心が清い人間にしか懐かない。フェニックスなんて特にな。」
なるほど、ちょっとわかった。
アルテの心が清さはフェニックスが認めるレベルで、俺はその加護をおすそ分けしてもらえたんだ。
そのおかげで今フェニたちと暮らせているんだろう。
「奴らは心が黒いものは認知しない、認知されてるやつは白い。」
あらまぁ。一瞬で俺の仮説が。。。それにしても俺の心なんて真っ黒かと思ってたけど。
「用が済んだなら引き取ってもらえるかい?」と、アマテが神のオーラを出しながら言う。
奴らは「そうさせてもらおう」と言って、次々といかだから去っていく。
が、一人だけ去っていかない存在が。
先程俺と戦ったエルフだった。
「私の顔を見たことがあるのは家族だけだ。てめぇは私の顔を見たな?」
「うん。見たよ」
「……そうか。なにか、思わないか?」
「別に何も」
「は?」
「え?」
「ほんとに何も思わないのか?」
「うん。なんかおかしいところでもあった?」
「いや、だって私。ああああああ!もう!死ね!この変態スピード野郎!」
「どっかの老人と同じ呼び方をするな!」
そのツッコミを最後に、彼女もいかだを去った。
彼らが去ったあとのいかだで俺は漠然と思った。
―――あれ?エルフって角あったっけ?
なんだかんだ言って初めて戦闘を行うことになった。
剣術なんて全く知らないので、俺の能力、すばしっこさをフルに生かした戦わなければ。
短剣は当たるだけでも打撲ぐらいにはなるだろうし、殺すつもりはないから案外剣を使ったことがないのはいいことかもしれない。
俺は自分の間合いに入ったところで、思いっきり短剣を振る。
二本ある短剣が両サイドから相手を圧迫する。
刹那、相手は俺の攻撃を読んでいたかのように飛び上がる。
それだけではなかった。数メートル飛び上がった相手は何もない空間、強いて言うなら空気だけが存在するその空間を蹴ったのだ。その勢いで、がら空きの俺の背中に攻撃を仕掛けてくる。
俺はとっさに身を捩って避け、苦し紛れに短剣をふる。
「ザッ」
その音と共に、相手のフードが破け、顔が露出する。
「チッ!」と、相手が声を上げる。
その相手はエルフの青年女子だった。
真っ白な肌にきれいな瞳、そして何より長い耳、尖った犬歯が見え隠れする。
頭には小さな角が二本。そして美しい顔を持っている。
先程の声も舌打ちだったにも関わらず、美しく、引き寄せられる感覚に陥った。
俺は知らず知らずのうちに呟いていた。
「エルフ?……」
「あ?文句あっかよ!」
「あ、いや別に。」
そう言った直後、相手は俺に向かって走ってきた。
再び武器と武器が交差し、ガキィィ。と不快な金属音を立てる。
相手の武器は、きれいな模様の入ったシミターだった。
「か弱い女の子が一人でいるところを襲うなんて!酷い男もいるもんだな!」
「お前のどこがか弱いんだよ!!」
「この華奢な体を見ろ!か弱くなくして何になる?」
「華奢な割には力が強いんですけど!?」
その後俺とエルフは瞬き一つの間をおいて間合いを取る。
―――やべぇ!案外戦えてる!スピード瞬発力が目と脳にも反映されててよかった!相手の攻撃見えるし頭の回転早いから回避できる!
再び地面をけろうとしたその時、
「ピィィィィィィィィィ!!!」
その鳴き声が聞こえる。
空からだった。
空を飛ぶクウリとフェニが鳴いているのだった。
エルフの顔色が変わる。驚いたような表情だ。
「動きが止まった。」と言うイヴァンが視界に入る、ユリさんとアルテも共に怪我はなさそうだ。
「あんたら、いきなり襲ってすまなかった。」
と、一番最初に襲ってきた男がフードを脱ぎ、渋めで、しかし若々しく、きれいな顔をのぞかせる。
エルフだった。
「なんでいきなり襲ってきたんだい?」
と、アマテが聞く。俺もそう思っていた。
「指令でね、俺たちの主の。悪人かと思っていた。」
「……だとしてもいきなり切りつけます?」
「そうしろと習った。」
いきなり許す気にもなれず、静かに彼らを攻める俺のせいで、冷たい空気が漂う。
これ以上争っても分が悪い。
今和平に持ち込めそうでいいチャンスなのはわかっているが、殺されかけてすぐ許すのも違う気がしてならない。
「え、えと。そ、それはいいとして。なんで僕たちが悪人じゃないと?」とイヴァンが彼らに聞く。
「あの神獣のおかげだ。」
「ああ。」
「あいつらは心が清い人間にしか懐かない。フェニックスなんて特にな。」
なるほど、ちょっとわかった。
アルテの心が清さはフェニックスが認めるレベルで、俺はその加護をおすそ分けしてもらえたんだ。
そのおかげで今フェニたちと暮らせているんだろう。
「奴らは心が黒いものは認知しない、認知されてるやつは白い。」
あらまぁ。一瞬で俺の仮説が。。。それにしても俺の心なんて真っ黒かと思ってたけど。
「用が済んだなら引き取ってもらえるかい?」と、アマテが神のオーラを出しながら言う。
奴らは「そうさせてもらおう」と言って、次々といかだから去っていく。
が、一人だけ去っていかない存在が。
先程俺と戦ったエルフだった。
「私の顔を見たことがあるのは家族だけだ。てめぇは私の顔を見たな?」
「うん。見たよ」
「……そうか。なにか、思わないか?」
「別に何も」
「は?」
「え?」
「ほんとに何も思わないのか?」
「うん。なんかおかしいところでもあった?」
「いや、だって私。ああああああ!もう!死ね!この変態スピード野郎!」
「どっかの老人と同じ呼び方をするな!」
そのツッコミを最後に、彼女もいかだを去った。
彼らが去ったあとのいかだで俺は漠然と思った。
―――あれ?エルフって角あったっけ?
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