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草原の世界での暁闇

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 俺は内ポケットから取り出した毛布にくるまり、床に寝転んでいた。
 自分が床で寝るから。と言うアルテを押し切って自分が床に寝転んだ。
 俺はよく耐えていると思う。欲望を抑え込み。男友達と一緒の部屋にいるときと同じメンタルを作っている。

「ねぇテンリ。」

 いきなりアルテの声がする。

「ん?」
「話しておきたいことがあってさ」
「……うん」

 アルテが、真剣な声でいった。

「私、王族なんだ。」
「え?王族……」

 素の反応だった。王族とはなんだろうか。王族だとなにか不自由があるのだろうか。

「そうだよ、それでね、この世界では王族って男だったら王族として扱われるけど。女だったらそうは扱われない。だからこその男装だよ」

 なるほどと納得した反面、俺はあまりにも抵抗なく放たれた言葉に気がつく。


「……この世界?…………」


「……あ…あのえっとね。私は――」
「もしかしてアルテも、転移してきたのか?」
「……私は転移してない。でも、存在は知ってるしテンリがそれだっていうのも知ってる」

 俺は耳を疑っていた。
 どうして知っているのだろうか。
 王族ならなぜこんなところに?

「……どうやって知ったの?」
「テンリのおかげだよ。」
「え?」
「私が前世で一番大切だった人」
「俺が。アルテの?」

 俺はいつの間にか上体を起こしていた。アルテもそれに釣られるように上体を起こす。

「私ね。妹みたいに思ってる子がいるんだ。その子は私以外に心を開かなくて。だからテンリに頼みたいの」
「何を?」
「その子のこと、よろしくね」

 いきなり変わった話題と頼みに脳が追いつかない。

「えっと」
「いきなりごめんね、けど、これだけは伝えておきたかった」
「何言って……」
「お願い」

「わかった。」と返事をした次の瞬間。激しい衝撃と共に、鼓膜がつんざけるような爆音が飛んでくる。

「うあ!なんだ!?」
「とりあえず外に出てみよう」

 アルテが力強く言う。
 俺とアルテは、外に出ることにした。そして、アルテは俺の数m先を走る。

「象だ!!象が来たぞ!!」

 宿主の声が聞こえる。
 この声で察した。この衝撃と音は紛れもなく、アルテがこの街に来た理由である象の仕業だということを。
 階段を降り、玄関に向かう。短剣を抜き、刀身を出そうとするが、やはりまだできない。
 次の瞬間、俺より先を走っていたアルテが玄関の扉を開け外に出る。

 
 ―――ズドォォォォォォォォォ!!

 
 直後、先程の数倍とも思えるほどの衝撃と音が俺を襲った。
 衝撃が収まったところで、俺も玄関の外に出る。

 ―――え?………

 俺は信じられないものをみた。






「アルテぇぇぇぇぇぇ!!」
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