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草原の世界での暁闇
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「フェニクロウ」
「ひどい名前」
「えー、いいと思ったんだけどなー」
「アルテがこんなに名前つけるの下手とは·····」
「そう言うテンリはなにかいい名前思いつくの?」
「……」
「ほらね、この世の中にネーミングセンスのある人なんていないの!」
「暴論すぎる!」
先程から走る馬車の中でフェニックスの名前を考えているのだが、二人して一向にいい名前が出てこない。
「うーん。なんだかフェニクロウ気に入っちゃった」
「まじ?」
「うん。いい響きじゃない?」
「そうかなぁ。やめた方が──」
「名前を決める権利は飼い主にあるの」
「それはそうだけど。まぁいいか、フェニクロウ自身が嫌じゃなければな」
「ピィ!ピィ!」
フェニクロウが激しく鳴く。鳴き声は普通の小鳥と変わらないようだ。大人になったら声が変わるのだろうか。
「アルテ、嫌がってない?」
「違うよ、喜んでるんだよ」
「ピィ!ピィ!ピィ!ピィ!ピィ!ピィ!」
『··········』
かくしてフェニックスの名前はフェニクロウに決まった。
「サンバードルトルネード!」
「ちょっと何言ってるか分からない」
「かっこよくない?」
「よく分からないけど。」
「サンダーバードの名前」
「テンリが、こんなに名前つけるの下手なんて·····」
「そういうアルテはなんかいいの思いつくのか?」
「·····」
「ほらね、この世の中にネーミングセンスのある人なんていないんだよ!」
「凄い暴論!」
先程と似たようなくだらない会話が続く。
「うーむ。名前を考えるのは案外ハードルが高いな………」
「テンリが下手すぎるんだよ!?」
「あーあ。いっそ人間風にしちゃうか」
「テンリとかってこと?」
「そそ、カイリとか、クウリとか?」
「それ以外にバリエーションないの?!」
俺の恐るべきバリエーションの少なさに驚くアルテ。
「思いつかない·····」
「ふーん。じゃあそのカイリとクウリのどっちかから決めない?」
「ダサくない?」
「私はかっこいいと思うよその名前」
「ならいいや、アルテどっちがいいと思う?」
不覚にも、自分の名前がかっこいいと言われたかのように、ドキっとしてしまった。
「うーん··········私はクウリの方が好きかなー」
「よし、じゃあクウリにする」
「ピー!」
「鳴き声同じじゃん!聞き分けつかない·····今ないないたのどっち?」
「テンリ、わかんないの?フェニクロウはピの後に小さいィが入ってる感じ、クウリは入ってない」
「聞き分けられるなんて凄いな」
「ピーピー」
かくしてサンダーバードの名前はクウリに決まった。
不意に運転手が
「さぁお客さん!サンダーバード引取り主の変態!着きましたよ」
「いい加減髪引っこ抜きますよ!?」
「もう抜くもんがねぇよ!」
「あっ…………」
僅かな悲しみの間を置いて、馬車が止める。
「アルテ、ところでアルテはどこに向かってたの?」
「ええ?テンリそれ知らないで馬車乗り込んだの?!」
「うん。それでここどこなの?」
「·····ここはルゲド、。1ヶ月前から象に襲われてるの、それが国を上げて戦っても勝てなくて、国は他の国からも人を呼んで戦うことにしたの。私はその討伐隊に入るためにここに来たんだよ」
「え?象?国を挙げても倒せない象って·····」
「テンリ、象を見たことないの?」
あるに決まっている、アフリカとかインドとかそこら辺にいるあの生物のことだろう。
「あるよ、あのデカイやつでしょ?」
「そう、今回は特に大きくて、運転手さんのソウルでも生み出せないくらいだって。」
「運転手さんのソウル?」
「言ってなかったっけ、馬車の運転手さんは一つだけものを具現化している事ができるソウルなんだよ」
「馬車が木でできてたでしょ?高価な木をあんなに沢山使うことなんて出来ない。だからソウルで作るんだよ」
確かに、ニルゼンがこの世界はほとんどが草原だと語っていた。
「ほえー」
「それでその運転手さん馬車を1回壊せばなにか作れるようになるんだけど、その限界値が縦横百メートルらしくて、それより大きいんだって」
「え?」
縦横百メートル以上の象?大きいってレベルじゃないぞこれは
「テンリも一緒に戦わない?ここまで来ちゃったわけだし」
「え?」
―――これは·····死ぬか?俺…
「ひどい名前」
「えー、いいと思ったんだけどなー」
「アルテがこんなに名前つけるの下手とは·····」
「そう言うテンリはなにかいい名前思いつくの?」
「……」
「ほらね、この世の中にネーミングセンスのある人なんていないの!」
「暴論すぎる!」
先程から走る馬車の中でフェニックスの名前を考えているのだが、二人して一向にいい名前が出てこない。
「うーん。なんだかフェニクロウ気に入っちゃった」
「まじ?」
「うん。いい響きじゃない?」
「そうかなぁ。やめた方が──」
「名前を決める権利は飼い主にあるの」
「それはそうだけど。まぁいいか、フェニクロウ自身が嫌じゃなければな」
「ピィ!ピィ!」
フェニクロウが激しく鳴く。鳴き声は普通の小鳥と変わらないようだ。大人になったら声が変わるのだろうか。
「アルテ、嫌がってない?」
「違うよ、喜んでるんだよ」
「ピィ!ピィ!ピィ!ピィ!ピィ!ピィ!」
『··········』
かくしてフェニックスの名前はフェニクロウに決まった。
「サンバードルトルネード!」
「ちょっと何言ってるか分からない」
「かっこよくない?」
「よく分からないけど。」
「サンダーバードの名前」
「テンリが、こんなに名前つけるの下手なんて·····」
「そういうアルテはなんかいいの思いつくのか?」
「·····」
「ほらね、この世の中にネーミングセンスのある人なんていないんだよ!」
「凄い暴論!」
先程と似たようなくだらない会話が続く。
「うーむ。名前を考えるのは案外ハードルが高いな………」
「テンリが下手すぎるんだよ!?」
「あーあ。いっそ人間風にしちゃうか」
「テンリとかってこと?」
「そそ、カイリとか、クウリとか?」
「それ以外にバリエーションないの?!」
俺の恐るべきバリエーションの少なさに驚くアルテ。
「思いつかない·····」
「ふーん。じゃあそのカイリとクウリのどっちかから決めない?」
「ダサくない?」
「私はかっこいいと思うよその名前」
「ならいいや、アルテどっちがいいと思う?」
不覚にも、自分の名前がかっこいいと言われたかのように、ドキっとしてしまった。
「うーん··········私はクウリの方が好きかなー」
「よし、じゃあクウリにする」
「ピー!」
「鳴き声同じじゃん!聞き分けつかない·····今ないないたのどっち?」
「テンリ、わかんないの?フェニクロウはピの後に小さいィが入ってる感じ、クウリは入ってない」
「聞き分けられるなんて凄いな」
「ピーピー」
かくしてサンダーバードの名前はクウリに決まった。
不意に運転手が
「さぁお客さん!サンダーバード引取り主の変態!着きましたよ」
「いい加減髪引っこ抜きますよ!?」
「もう抜くもんがねぇよ!」
「あっ…………」
僅かな悲しみの間を置いて、馬車が止める。
「アルテ、ところでアルテはどこに向かってたの?」
「ええ?テンリそれ知らないで馬車乗り込んだの?!」
「うん。それでここどこなの?」
「·····ここはルゲド、。1ヶ月前から象に襲われてるの、それが国を上げて戦っても勝てなくて、国は他の国からも人を呼んで戦うことにしたの。私はその討伐隊に入るためにここに来たんだよ」
「え?象?国を挙げても倒せない象って·····」
「テンリ、象を見たことないの?」
あるに決まっている、アフリカとかインドとかそこら辺にいるあの生物のことだろう。
「あるよ、あのデカイやつでしょ?」
「そう、今回は特に大きくて、運転手さんのソウルでも生み出せないくらいだって。」
「運転手さんのソウル?」
「言ってなかったっけ、馬車の運転手さんは一つだけものを具現化している事ができるソウルなんだよ」
「馬車が木でできてたでしょ?高価な木をあんなに沢山使うことなんて出来ない。だからソウルで作るんだよ」
確かに、ニルゼンがこの世界はほとんどが草原だと語っていた。
「ほえー」
「それでその運転手さん馬車を1回壊せばなにか作れるようになるんだけど、その限界値が縦横百メートルらしくて、それより大きいんだって」
「え?」
縦横百メートル以上の象?大きいってレベルじゃないぞこれは
「テンリも一緒に戦わない?ここまで来ちゃったわけだし」
「え?」
―――これは·····死ぬか?俺…
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