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憎悪と嫉妬の武闘祭(予選)
66話 祭りをリリーと・前編(一日目)
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「今日だけは、邪魔が入ることはないでしょう……」
リリーは目をゆっくりと見開くと、口角を釣り上げる。
その姿にいつもの子供らしさは見当たらず、どこか淫靡でさえもあった。
「今こそ、私の魅力でシン様を篭絡し、手中に収める時!」
彼女は誰もいない部屋で一人、グッ、と拳を握り気合を入れる。
「――楽しい祭りの、始まりですっ!」
「おぉ……!」
帝国祭一日目、朝早く宿を出た俺は、帝都全体を包む熱気に、思わず息を漏らした。
この都市に来た時も活気の良さに驚いたが、今はそれ以上だ。
どこもかしこも人で溢れ、賑わいを見せていた。
宿の人から聞いた話によると、大陸中から人々が集まるこの祭りには、他の地域の特産品や、冒険者の持ち込むダンジョン産の珍品なんかも売り買いされているとのこと。見て回るだけでも十分に楽しめそうだ。
「さて……」
俺は歩き出す。今日は祭り初日、そう、リリーとデート? の日である。
なぜこうなったのかは今でもよく分からないが、まあここは素直に祭りを楽しむことにしよう。
よって今は一人。クウを真白に任せ、二人には自由行動を言い渡している。
リリーとの待ち合わせ場所に向かう。
宿が一緒のはずのリリーとわざわざ待ち合わせるのは、リリーがそうしたいと言い出したからだ。
まあ……背伸びしたい年頃なんだろう。
指定していた噴水の近くにいるリリーを遠目に確認、どうやら誰かと話しているようだ。
近づいていくと、話が耳に入ってきた。
「だから、私は迷子なんかじゃないです!」
「はいはい、分かったからね。……じゃ、あっちに行って親御さんを待ちましょうねー」
「だから……」
そこでリリーは歩いてきた俺に気付く。
彼女が何かを言おうとする前に、俺は極めて自然な笑顔で彼女の肩に手を置き、目の前の衛兵らしき女に言った。
「どうも、迷子の保護者です……ぷっ」
最初からどうにも締まらない。
「う、うううう……」
こみ上げる笑いを堪える俺と、悔しそうに唇を噛んで呻くリリー。
……十歳にも満たない少女がこんな人の多い中で一人だったら、どう見ても迷子にしか見えないから仕方がない。
それから衛兵の人にお礼を言って別れ、俺はリリーと二人並んで祭りの中を歩く。
喧騒に掻き消えそうな声で、リリーがポツリと呟いた。
「私、大きくなるです」
「……頑張れよ」
なったら殺すけどな。
それから俺達は、大通りをゆっくり歩きながら構えられた出店を見ていく。
よく元の世界でも見た、見覚えのある出し物から、それらを魔法や魔道具をアレンジして使った、異世界仕様になっているものまであって面白そうだ。
「リリー、どこか行きたい場所はあるか?」
隣を歩くリリーなそう問いかけると、彼女はどこからか取り出したパンフレットのようなものを広げた。
用意がいい。
「えっと……ここに行きたいです!」
「分かった、じゃあ行くか」
指差された場所はここから少し歩いた場所にあるようだ。
……なるほど、これは興味あるな。
「あっ……し、シン様っ」
早速、パンフレットに従いそこへ向かおうとした俺を、リリーが呼び止めた。
「どうした?」
リリーはほんのりと頬を赤らめながら、小さな手を差し出す。
「あの……手を……繋いで欲しい、です」
恥ずかしそうに俯くリリーだったが、差し出した手だけはしっかりと俺へと伸びていた。
「……いいぞ」
そう短く返して、リリーの手を握った。
柔らかくて温もりのある手は、決して離すまいと握り返してくる。
……別に俺はロリコンではない。だが、成長すれば間違いなく美人になると確信できるくらいに容姿端麗な彼女にドキッとさせられたのは、仕方のないことだ。
それだけの威力が、今の彼女にはあった。
だからうん、今のは仕方がない。
心の動揺を隠すように、繋がれた手をしっかりと握って歩き始める。
「行くぞ」
「はいですっ!」
着いた場所は、他の場所とは少し違った盛り上がりを見せていた。
威勢のいい太い声とは違った、幼さを感じる高い声がそこら中から聞こえてくる。
「いらっしゃいませぇー、全部私達の手作りです。お一ついかがですかー!?」
「「「いかがですかぁー?」」」
姉のような少女の声の後、その少女よりも幼い何人もの子供達が客引きをしている。
「おらおらー! 来いよ客ども! 安くするぜぇー!」
「コラ! ちゃんと丁寧に!」
やんちゃそうな少年が叫び、隣にいた少女が注意したことで周囲からは笑いが起こる。
「ここは帝都の孤児院が出店しているエリアです。子供が多いここなら、シン様も楽しめると思うのです」
そう説明したリリーが、どうですかと少し胸を張って期待の目で俺を見る。
子供好き、というよりは大人が嫌いな俺に配慮してここに連れてきてくれたようだ。この気遣いは、素直に嬉しいものだ。
……だが、俺はその光景を見て思わず顔を引き攣らせていた。
別に店に問題がある訳ではない。
子供は勿論好きだし、これが身寄りのない子供達がこれから先、生きていくための勉強になるし、稼いだ金は孤児院の経営資金になるのだろう。一石二鳥で素晴らしいアイデアと思うのだ……が。
問題は、客の方にあった。
「ハァ……ハァ、生意気なショタも……イイッ!」
「デュフッ……夢にまで見た幼女の楽園が目の前に……」
息を荒げて涎を垂らすいい年した女性に、怪しい目つきで笑う肥満体型の男。……そんないかにもヤバそうな者達がこの場所には何人もうろついていた。
そこら中から、寒気のするような不気味な笑いや荒い息遣いなんかが聞こえてくる。
なんだこの変態の巣窟は。
「……楽しめる気がしないんだが」
「あっ、この前のお姉さんです! シン様、ちょっとポーチのお礼を言ってくるので待っててです!」
俺の視線を無視して、リリーはわざとらしく駆け出そうとする。
だが甘い。手は俺がしっかりと――って力強っ!
「すぐに戻ってくるですー」
手を繋ぎたがったのはリリーなんだが……あっさり振りほどきやがって。というか、こんなところで獣人の力を発揮しないでほしい。地味にプライドが傷つくのだ。
リリーが向かった先には、確かに一人の女性がいた。話に聞いていた通り、シスター服を着た優しそうな人だ。まあ、内心はどんな性格か分かったもんじゃないが。
「さて……」
少し、寂しくなった手を感じながら、俺は何か店でも見ようと辺りを見渡した。極力、変態共は視界に入らないようにする。
「そこの男よ」
次から次へと……無視だ無視。俺は純粋に祭りを楽しみたいんだ。
だから知らない。やけに派手派手しい服を着た不審者なんて見ていないし関係ない。たとえ、目の前に立たれてまっすぐ見つめられていようとも。
「そこのケモミミロリっ娘という恋人を持ちながら他の幼子を物色し始めている最低のペド野郎よ」
「人聞き悪すぎるだろ!」
今の言葉を聞きつけた周囲の人間の視線が俺に集中した。思わず殺気をぶつけて視線を散らす。どこからか「いいなぁ」なんて聞こえたのは気のせいだと思いたい。全部デタラメだぞ。
ため息を吐きたくなる気持ちを堪えて原因となった男を睨む。
「おお~、怖いねぇ。これだから変態は」
「いや、どう見ても変態はお前だから」
色とりどりの布切れが何枚も体を覆い尽くし、それが服なのかも判別がつかない。そして顔には上半分を隠す銀のマスク。これで変態でなかったらなんなのかという風貌の男は、俺の言葉を聞いて愉快そうに笑った。
「……で、何の用だ?」
「一応世話になってるから用心棒としての仕事は果たさないといけなくてね。ただ注意しに来ただけだよ~。ここの子供達に変な気を起こさないように、ってね」
「いや、起こさないから」
失礼すぎるだろ。というか、こいつは客じゃなくて用心棒だったのか。
俺の返答にまたしても笑った。何がそんなに可笑しいのか。
「ならいいさ。いやぁ、他の客ならともかく、君の相手は骨が折れそうだからねぇ~。僕、戦闘は苦手なんだよ」
別にその言葉に驚きはしない。予想はついていた。
ある程度力を持った者は、他の者の実力をスキルに頼らずともある程度把握が可能だ。近くにいたのが真白とクウだけだったので、あまりの実力差にそれが分かるのに時間がかかってしまったが最近、ようやくそれが分かってきた。
感覚によると、目の前のこいつもかなりの強者だと分かる。かといって、特にトラブルを起こすつもりもないのだが。
「じゃ、お祭り楽しんでねぇ~。あー、あと……ガンバッテ」
「あ、ああ」
手を振って変なポーズをしながら男は去って行った。どこかその様子はピエロのようだ。
最後に言い残した言葉に違和感を感じたのが気に掛かるが――
「シン様これもらってきたですよ! 一緒に食べるですー! 今なら私特製の美味しくなるソース付きです!」
帰ってきたリリーを見て、すぐにその理由が分かってしまったのだった。
これ、どう考えてもテンプレ展開じゃねえか!
リリーは目をゆっくりと見開くと、口角を釣り上げる。
その姿にいつもの子供らしさは見当たらず、どこか淫靡でさえもあった。
「今こそ、私の魅力でシン様を篭絡し、手中に収める時!」
彼女は誰もいない部屋で一人、グッ、と拳を握り気合を入れる。
「――楽しい祭りの、始まりですっ!」
「おぉ……!」
帝国祭一日目、朝早く宿を出た俺は、帝都全体を包む熱気に、思わず息を漏らした。
この都市に来た時も活気の良さに驚いたが、今はそれ以上だ。
どこもかしこも人で溢れ、賑わいを見せていた。
宿の人から聞いた話によると、大陸中から人々が集まるこの祭りには、他の地域の特産品や、冒険者の持ち込むダンジョン産の珍品なんかも売り買いされているとのこと。見て回るだけでも十分に楽しめそうだ。
「さて……」
俺は歩き出す。今日は祭り初日、そう、リリーとデート? の日である。
なぜこうなったのかは今でもよく分からないが、まあここは素直に祭りを楽しむことにしよう。
よって今は一人。クウを真白に任せ、二人には自由行動を言い渡している。
リリーとの待ち合わせ場所に向かう。
宿が一緒のはずのリリーとわざわざ待ち合わせるのは、リリーがそうしたいと言い出したからだ。
まあ……背伸びしたい年頃なんだろう。
指定していた噴水の近くにいるリリーを遠目に確認、どうやら誰かと話しているようだ。
近づいていくと、話が耳に入ってきた。
「だから、私は迷子なんかじゃないです!」
「はいはい、分かったからね。……じゃ、あっちに行って親御さんを待ちましょうねー」
「だから……」
そこでリリーは歩いてきた俺に気付く。
彼女が何かを言おうとする前に、俺は極めて自然な笑顔で彼女の肩に手を置き、目の前の衛兵らしき女に言った。
「どうも、迷子の保護者です……ぷっ」
最初からどうにも締まらない。
「う、うううう……」
こみ上げる笑いを堪える俺と、悔しそうに唇を噛んで呻くリリー。
……十歳にも満たない少女がこんな人の多い中で一人だったら、どう見ても迷子にしか見えないから仕方がない。
それから衛兵の人にお礼を言って別れ、俺はリリーと二人並んで祭りの中を歩く。
喧騒に掻き消えそうな声で、リリーがポツリと呟いた。
「私、大きくなるです」
「……頑張れよ」
なったら殺すけどな。
それから俺達は、大通りをゆっくり歩きながら構えられた出店を見ていく。
よく元の世界でも見た、見覚えのある出し物から、それらを魔法や魔道具をアレンジして使った、異世界仕様になっているものまであって面白そうだ。
「リリー、どこか行きたい場所はあるか?」
隣を歩くリリーなそう問いかけると、彼女はどこからか取り出したパンフレットのようなものを広げた。
用意がいい。
「えっと……ここに行きたいです!」
「分かった、じゃあ行くか」
指差された場所はここから少し歩いた場所にあるようだ。
……なるほど、これは興味あるな。
「あっ……し、シン様っ」
早速、パンフレットに従いそこへ向かおうとした俺を、リリーが呼び止めた。
「どうした?」
リリーはほんのりと頬を赤らめながら、小さな手を差し出す。
「あの……手を……繋いで欲しい、です」
恥ずかしそうに俯くリリーだったが、差し出した手だけはしっかりと俺へと伸びていた。
「……いいぞ」
そう短く返して、リリーの手を握った。
柔らかくて温もりのある手は、決して離すまいと握り返してくる。
……別に俺はロリコンではない。だが、成長すれば間違いなく美人になると確信できるくらいに容姿端麗な彼女にドキッとさせられたのは、仕方のないことだ。
それだけの威力が、今の彼女にはあった。
だからうん、今のは仕方がない。
心の動揺を隠すように、繋がれた手をしっかりと握って歩き始める。
「行くぞ」
「はいですっ!」
着いた場所は、他の場所とは少し違った盛り上がりを見せていた。
威勢のいい太い声とは違った、幼さを感じる高い声がそこら中から聞こえてくる。
「いらっしゃいませぇー、全部私達の手作りです。お一ついかがですかー!?」
「「「いかがですかぁー?」」」
姉のような少女の声の後、その少女よりも幼い何人もの子供達が客引きをしている。
「おらおらー! 来いよ客ども! 安くするぜぇー!」
「コラ! ちゃんと丁寧に!」
やんちゃそうな少年が叫び、隣にいた少女が注意したことで周囲からは笑いが起こる。
「ここは帝都の孤児院が出店しているエリアです。子供が多いここなら、シン様も楽しめると思うのです」
そう説明したリリーが、どうですかと少し胸を張って期待の目で俺を見る。
子供好き、というよりは大人が嫌いな俺に配慮してここに連れてきてくれたようだ。この気遣いは、素直に嬉しいものだ。
……だが、俺はその光景を見て思わず顔を引き攣らせていた。
別に店に問題がある訳ではない。
子供は勿論好きだし、これが身寄りのない子供達がこれから先、生きていくための勉強になるし、稼いだ金は孤児院の経営資金になるのだろう。一石二鳥で素晴らしいアイデアと思うのだ……が。
問題は、客の方にあった。
「ハァ……ハァ、生意気なショタも……イイッ!」
「デュフッ……夢にまで見た幼女の楽園が目の前に……」
息を荒げて涎を垂らすいい年した女性に、怪しい目つきで笑う肥満体型の男。……そんないかにもヤバそうな者達がこの場所には何人もうろついていた。
そこら中から、寒気のするような不気味な笑いや荒い息遣いなんかが聞こえてくる。
なんだこの変態の巣窟は。
「……楽しめる気がしないんだが」
「あっ、この前のお姉さんです! シン様、ちょっとポーチのお礼を言ってくるので待っててです!」
俺の視線を無視して、リリーはわざとらしく駆け出そうとする。
だが甘い。手は俺がしっかりと――って力強っ!
「すぐに戻ってくるですー」
手を繋ぎたがったのはリリーなんだが……あっさり振りほどきやがって。というか、こんなところで獣人の力を発揮しないでほしい。地味にプライドが傷つくのだ。
リリーが向かった先には、確かに一人の女性がいた。話に聞いていた通り、シスター服を着た優しそうな人だ。まあ、内心はどんな性格か分かったもんじゃないが。
「さて……」
少し、寂しくなった手を感じながら、俺は何か店でも見ようと辺りを見渡した。極力、変態共は視界に入らないようにする。
「そこの男よ」
次から次へと……無視だ無視。俺は純粋に祭りを楽しみたいんだ。
だから知らない。やけに派手派手しい服を着た不審者なんて見ていないし関係ない。たとえ、目の前に立たれてまっすぐ見つめられていようとも。
「そこのケモミミロリっ娘という恋人を持ちながら他の幼子を物色し始めている最低のペド野郎よ」
「人聞き悪すぎるだろ!」
今の言葉を聞きつけた周囲の人間の視線が俺に集中した。思わず殺気をぶつけて視線を散らす。どこからか「いいなぁ」なんて聞こえたのは気のせいだと思いたい。全部デタラメだぞ。
ため息を吐きたくなる気持ちを堪えて原因となった男を睨む。
「おお~、怖いねぇ。これだから変態は」
「いや、どう見ても変態はお前だから」
色とりどりの布切れが何枚も体を覆い尽くし、それが服なのかも判別がつかない。そして顔には上半分を隠す銀のマスク。これで変態でなかったらなんなのかという風貌の男は、俺の言葉を聞いて愉快そうに笑った。
「……で、何の用だ?」
「一応世話になってるから用心棒としての仕事は果たさないといけなくてね。ただ注意しに来ただけだよ~。ここの子供達に変な気を起こさないように、ってね」
「いや、起こさないから」
失礼すぎるだろ。というか、こいつは客じゃなくて用心棒だったのか。
俺の返答にまたしても笑った。何がそんなに可笑しいのか。
「ならいいさ。いやぁ、他の客ならともかく、君の相手は骨が折れそうだからねぇ~。僕、戦闘は苦手なんだよ」
別にその言葉に驚きはしない。予想はついていた。
ある程度力を持った者は、他の者の実力をスキルに頼らずともある程度把握が可能だ。近くにいたのが真白とクウだけだったので、あまりの実力差にそれが分かるのに時間がかかってしまったが最近、ようやくそれが分かってきた。
感覚によると、目の前のこいつもかなりの強者だと分かる。かといって、特にトラブルを起こすつもりもないのだが。
「じゃ、お祭り楽しんでねぇ~。あー、あと……ガンバッテ」
「あ、ああ」
手を振って変なポーズをしながら男は去って行った。どこかその様子はピエロのようだ。
最後に言い残した言葉に違和感を感じたのが気に掛かるが――
「シン様これもらってきたですよ! 一緒に食べるですー! 今なら私特製の美味しくなるソース付きです!」
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