人間不信の異世界転移者

遊暮

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二代目転移者と白亜の遺産

25話 ダンジョンへ行こう

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 今日はダンジョンの護衛依頼の日だ。
 朝早く、俺とクウはギルドへと向かう。

 この依頼当日までの三日間、俺達はレベリングを精力的に行なってきた。
 一日目で殺した冒険者三人、Cランクだったようで経験値が多く貰えたのは嬉しい。
 しかも、ゴブリンを釣る餌にもなったので一石二鳥だ。勿論、巣まで運ばれた弓士の女は犯される前に助けて殺しておいた。
 クウの教育に悪いし、童貞の俺には少し刺激が強いからな……。

 他の二日はそこまで大きな成果は無かったものの、地道にお金も稼いで依頼を受け続けた努力が実ったのか、今回の護衛依頼をクリアすればDランクに上がれるそうだ。

 かなりランクアップは早いらしいが、それもゴブリンの巣を壊滅させたのが大きかったと言えるだろう。
 普通のゴブリン三十二体に上位種のボブゴブリンが八体。それだけの数を報告した。
 本来はもう少しいたのだが、クウが食べてしまったので証拠もなく、報告はできない。

 だが、それからクウには頼んだ部位と魔石は食べずに残すように指示したので、今後はその心配は無い。効率は更に良くなることだろう。
 もう少し早くそのことに気がつけば良かったと後悔もしたが。

 俺はこの三日間の成果を確認すべく、ステータスを見る。

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名前:シン
種族:人族
Lv:75
称号:人間不信 同族殺し 転移者 魔剣士
<パッシブスキル>
身体強化(5) 精神耐性(9) 並列思考(4)
詠唱短縮 魔力感知
<アクティブスキル>
双剣術(5) 風魔法(3) 土魔法(3) 気配察知(6)
家事(3) 鑑定(8) 隠密(4) 威圧(3) 演技(1)
拷問 直感 調教
<ユニークスキル>
武器支配(3) 偽装
----------------------------------------------------------

----------------------------------------------------------
名前:クウ
種族:イノセンススライム
Lv:78
称号:SSSランク魔物 羽吹真夜の従魔
   禁忌を喰らいし者
<パッシブスキル>
物理耐性(7) 全属性吸収 状態異常無効
並列思考(6) 統率
<アクティブスキル>
再生(6) 隠蔽(8) 吸収 突進 形状変化 
<ユニークスキル>
無限分裂 万物融解
----------------------------------------------------------

 俺の名前が【偽装】していない状態でも、シンに変わっている。詳しい理由は分からないが、何人かにそう認識されたからかもしれない。

 レベルが上がり、クウに多少追い付いてきた。【剣術】が【双剣術】に変わっているが、これは剣二本で戦う際に補正がかかるというスキルだ。
 また、【双剣術】は【剣術】も含まれているらしく、剣一本でも問題なく扱うことができた。

 【演技】スキルは冒険者達を騙し討ちした時に習得したものだろう。
 大根役者じゃなかったようで安心した。そういう称号も存在するらしいからな。

 俺もクウも三日間にしてはかなり強くなっただろう。強くなるのと比例してスキルの習得はは難しくなってくるが、それも[転移者]の称号で普通の人間よりはずっと楽だ。

 冒険者ギルドに着いた俺達は、中で待っていたアルノルトと、二人で何か言葉を交わしている探検家のような格好をした男を見つけてそちらへと近づいていく。

 スーツを着た小さいおっさんと、依頼人らしき研究者の男の姿は、ギルド内でも相当浮いている。
 依頼が関係して無ければ、あまり近寄りたくはない部類だ。
 到着した俺達に気が付いたアルノルトは、軽く手を上げて挨拶をすると、早速話し始めた。

「おう! 来たかボウズに嬢ちゃん。この方が、今回の依頼人のダーフィト・パーティツさんだ。ダーフィトさん、この度は済まなかった。だがこいつらの実力はギルドが保証する」

「ふむ……」

 この世界で苗字を持っているということは、それなりの身分を持っているということだ。
 なぜアルノルトが居るのかと気になったが、こういうことだったか。
 初老の男は、俺とクウを品定めするかのように凝視していたが、納得したのか一度頷くと、手を差し出してきた。

「儂は白骨宮殿を研究しているダーフィトという。ギルドが保証するのであれば、儂もそなたたちを信頼しよう。護衛をよろしく頼むぞ」

「……シンです。こっちは従魔のクウ。よろしくお願いします」

 俺も今回の依頼はキッチリとこなすつもりだ。初のダンジョンに報酬のいい護衛依頼。
 この三日で多少は稼いだとはいえ、何が起こるか分からないのがこの世界だ。余裕は常に持っておく必要がある。

 名前を名乗り、握手をした俺を見てアルノルトは軽く驚いていた。
 俺をなんだと思っていたんだこいつ。

「アルノルト殿。黒髪黒目ですが、大丈夫なんじゃろうな?」

「【鑑定】をして調べたので安心してください。それと今あのダンジョンに潜れる実力を持っていて手が空いているのは彼だけです」

「そうじゃな。確か三日前からCランクパーティの《新生の息吹》、じゃったか? そやつらも、行方不明になったと言うし、人手が足りてないのは仕方あるまい」

 まるで仕方なく俺達で妥協してやるといった言い様だが、それよりもこの爺さんが黒髪黒目を気にしていたのが引っかかる。
 話から察するに黒髪黒目というより、転移者であることを気にしているようだが、何故だろう。
 この依頼、何事も無く終わるといいが。





 ――ハッ!





 これがフラグを立てるということか……。
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