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二代目転移者と白亜の遺産
15話 クウの進化とステータス
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「うーん……」
チクチクとした藁の不快な感触で、意識が覚醒する。窓から指す朝日が眩しい。
昨夜の疲れは既になく、新しい始まりには絶好のコンディションだ。
「ごしゅじんさま、おはよー!」
「――誰だっ!」
舌っ足らずの幼い子供の声がして、俺は飛び起きた。
この小屋には俺以外居なかった筈だ。警戒して体を起こすと、声のした方に目を向けた。
声は俺の腰辺りから。
何か柔らかいものが俺に触れている感触があるのを感じそちらを見ると、空色の髪をした全裸の幼女の姿が。
「…………よし、寝るか」
これはあれだ。きっとラノベとかの読み過ぎだな。
「ごしゅじんさまー?」
再度聞こえる声を無視して、俺は体を倒して目を閉じる。
ここで昨日のことを思い出してみよう。
昨夜、無事にシオン王国の城を脱出した俺は、気が付くと夜の森にいた。転移石は無事に発動したようだった。
そこで【気配察知】が、すぐ近くに人がいることを教えてくれたので、疲労で今にも倒れそうな体でそこに向かったんだ。
すると丁度いい小屋があったので、中のおっさんを排除して眠ったんだったな。
うん、どれも女の子がいるような場面はないな。
ということはこれは夢か。幾ら何でも目覚めたら全裸の幼女がいたなんて展開は異世界であろうとある訳がない。
……これが夢ってことは俺の願望なのか? 全裸の幼女に起こされることが?
俺はロリコンだったのかと、衝撃の事実に頭を悩ましていると、お腹に強い衝撃が走る。
「――ぐふっ!」
「もー、あさだよっ!」
腹に重みを感じながら、俺は閉じていた目を開ける。開けた目の先で、空色の瞳と目が合う。
彼女は目が合ったことが分かると、天使のような笑顔を見せた。
……どうやら夢ではないようだ。
「それではっ! 昨日の成果を発表するっ!」
「お~!」
嬉しそうに拍手する幼女――クウは、クリクリとした目を瞬かせてはしゃぐ。
そう、クウである。あの超絶可愛いスライムだったクウちゃんだ。
どうやら俺が寝ている間に進化したらしい。
俺のロリコン疑惑が解決できて本当によかった。
今は裸ではなく、全身を覆うフード付きの黄色いレインコートの様なものを着ている。
空色の髪と瞳に合っていてとても可愛らしい。袖が余っているのも可愛い。とにかく可愛い。
彼女は自分の服なら作り出せるようだ。いや、正確には自分の体の一部を変化させているらしいから、考え方によってはまだ裸かもしれないけど。
クウだと分かれば、確認は簡単だった。意識してみれば、彼女と繋がっているパスも感じられるし、信じることができる。
まあ、子供は好きなので、いきなり殺しにかかることは無いけど。
「?」
チラリと見てみれば、不思議そうに首を傾げながらも満開の笑みを返してくれる。可愛い。
さっきから語彙力が低下している気がするが、進化してこうなったことは全く悪いことではない。
基本的に【調教】によってテイムされた魔物は、主を裏切ることは無い。パスを通じてお互いのことは何となく分かるし、主に絶対服従だ。
会話できることによってコミュニケーションも取りやすくなるし、俺の癒しがパワーアップしたと考えればいいだろう。
唯一のデメリットは、俺がこの六歳くらいの女の子を【調教】して、言うことを何でも聞かせられるという犯罪臭漂う事実なんだが……、他に人型の魔物もいない訳では無いので大丈夫だと思いたい。
「クウ、【鑑定】していいか?」
「うんっ! いいよ!」
許可も貰ったので、早速【鑑定】してみる。
----------------------------------------------------------
名前:クウ
種族:イノセンススライム
Lv:70
称号:SSSランク魔物 羽吹真夜の従魔
禁忌を喰らいし者
<パッシブスキル>
物理耐性(7) 全属性吸収 状態異常無効
並列思考(4) 統率
<アクティブスキル>
再生(6) 吸収 突進 形状変化
<ユニークスキル>
無限分裂 万物融解
----------------------------------------------------------
「………………なあ、クウさんよ」
「なあに?」
「最近何か、変わったものを食べたりしてないかい?」
「んーと……、あっ! そういえばきのうたべた金ピカのりんごおいしかったよ!」
「……」
絶対原因それじゃねーか! 何だよ[禁忌を喰らいし者]って! どう考えてもヤバイ代物を食べたとしか思えない。
スキルの数は俺よりも少ないが、いずれもかなり上位のスキルのようだ。
それと称号欄にある[SSSランク魔物]。
魔物にはそれぞれ、ランクというものが存在する。
一番下のFから上がってE、D、C、B、A、S、SS、SSS、の九段階。
[Sランク魔物]ともなれば、一つの村や街などは簡単に落ちる。[SSランク魔物]だと国の危機にもなり、[SSSランク魔物]だと、大陸、ひいては世界の危機と判断される。
そして、クウのステータスに輝いたように見える[SSSランク魔物]の文字。
まさかここまで早くチート化するとは思わなかったよ……。
それにしても、クウが食べたという黄金の林檎が気になる。心当たりはあるが、一応聞いてみよう。
「ところでクウ。その金ピカの林檎はどこで手に入れたか覚えてるかな?」
「うんっ! きのうのよるにいったおしろのなかの……、んーと、だいのうえ!」
どうやらクウは、幻想級アイテムを食べてしまったらしい。本人に自覚はなく、今も嬉しそうに味について語っているが。
これは嬉しい誤算だが、俺はこのままでは不味いことに気が付く。
そう、街に入れないのだ。万が一、クウを鑑定された日には、騒ぎになってしまう。
俺の持つスキル、【偽装】は、自分にしか使えない。これは早急に対策を立てないといけないようだ。
とりあえず今は、昨日の成果を見ていこう。
俺は自分のステータスを開く。
----------------------------------------------------------
名前:羽吹真夜
種族:人族
Lv:63
称号:人間不信 同族殺し 転移者 魔剣士
<パッシブスキル>
身体強化(5) 精神耐性(9) 並列思考(1)
詠唱短縮 魔力感知
<アクティブスキル>
剣術(4) 風魔法(2) 土魔法(3) 気配察知(6)
家事(3) 鑑定(7) 隠密(4) 拷問 直感 調教
<ユニークスキル>
武器支配(3) 偽装
----------------------------------------------------------
クウのステータスを見た後だとどうしても弱く見えてしまうが、俺もかなり強くなったと思う。
まず、称号の[親殺し]が[同族殺し]へと変わっている。効果はイマイチ分かっていないが、強化されたと見ていいだろう。
レベルは六十三にまで上がり、さっきから体が嘘のように軽い。一晩で一気に上がったお陰だ。
新しくスキルは【魔力感知】と【並列思考】を覚えている。
【魔力感知】は、その名の通り魔力を感知することができるスキルだ。今も周りから、大きさに違いはあれど、沢山の魔力を感じている。
昨日、扉の向こうのデュランダルを見つけられたのも、このスキルがあったからだ。
【並列思考】は、物事を同時に考えることができるスキルだ。自分の思考が、二人分になったように感じる。
これなら、スキルレベルの上がった【武器支配】も、使いこなすことができるだろう。
【武器支配】だけでなく、他のスキルも軒並みスキルレベルが上がっている。
それだけ、あの宝物庫を守っていた兵士が強かったということだろう。
そして気になっていたクウのスキルだが、幾つかどんなものか聞くことができた。
【無限分裂】は、クウが【消化】して【吸収】したものを溜め込み、その分だけ分体を作り出せるスキルだった。
分体に意思はないが、クウによって操ることができ、本体と同じスキルを使えるらしい。
【万物融解】は、単純でかなり恐ろしいスキルだ。それが例え世界で最も硬い物であろうと、実体のない幽霊みたいなものであろうと、全ての物を溶かすことができるスキルだ。それもかなりの早さで。
つまりクウは、【全属性吸収】によって全ての属性攻撃、魔法が効かず、【状態異常無効】であらゆる毒物も無効化。食えば食うだけ分裂して増殖し、あらゆる物を溶かしていく。
唯一聞くであろう物理攻撃も、【物理耐性】によってほとんど効くことはない。
こういった生物の弱点である核は、常に体内で移動しており、欠けても【再生】する。倒すには、強力な物理攻撃の一撃で核を跡形もなく消し飛ばす必要がある、と。
……何この最強生物。
もうクウだけで世界を支配できそうなんだけど。
俺は目の前で笑う可愛い少女の力に、唖然とするばかりだった。
チクチクとした藁の不快な感触で、意識が覚醒する。窓から指す朝日が眩しい。
昨夜の疲れは既になく、新しい始まりには絶好のコンディションだ。
「ごしゅじんさま、おはよー!」
「――誰だっ!」
舌っ足らずの幼い子供の声がして、俺は飛び起きた。
この小屋には俺以外居なかった筈だ。警戒して体を起こすと、声のした方に目を向けた。
声は俺の腰辺りから。
何か柔らかいものが俺に触れている感触があるのを感じそちらを見ると、空色の髪をした全裸の幼女の姿が。
「…………よし、寝るか」
これはあれだ。きっとラノベとかの読み過ぎだな。
「ごしゅじんさまー?」
再度聞こえる声を無視して、俺は体を倒して目を閉じる。
ここで昨日のことを思い出してみよう。
昨夜、無事にシオン王国の城を脱出した俺は、気が付くと夜の森にいた。転移石は無事に発動したようだった。
そこで【気配察知】が、すぐ近くに人がいることを教えてくれたので、疲労で今にも倒れそうな体でそこに向かったんだ。
すると丁度いい小屋があったので、中のおっさんを排除して眠ったんだったな。
うん、どれも女の子がいるような場面はないな。
ということはこれは夢か。幾ら何でも目覚めたら全裸の幼女がいたなんて展開は異世界であろうとある訳がない。
……これが夢ってことは俺の願望なのか? 全裸の幼女に起こされることが?
俺はロリコンだったのかと、衝撃の事実に頭を悩ましていると、お腹に強い衝撃が走る。
「――ぐふっ!」
「もー、あさだよっ!」
腹に重みを感じながら、俺は閉じていた目を開ける。開けた目の先で、空色の瞳と目が合う。
彼女は目が合ったことが分かると、天使のような笑顔を見せた。
……どうやら夢ではないようだ。
「それではっ! 昨日の成果を発表するっ!」
「お~!」
嬉しそうに拍手する幼女――クウは、クリクリとした目を瞬かせてはしゃぐ。
そう、クウである。あの超絶可愛いスライムだったクウちゃんだ。
どうやら俺が寝ている間に進化したらしい。
俺のロリコン疑惑が解決できて本当によかった。
今は裸ではなく、全身を覆うフード付きの黄色いレインコートの様なものを着ている。
空色の髪と瞳に合っていてとても可愛らしい。袖が余っているのも可愛い。とにかく可愛い。
彼女は自分の服なら作り出せるようだ。いや、正確には自分の体の一部を変化させているらしいから、考え方によってはまだ裸かもしれないけど。
クウだと分かれば、確認は簡単だった。意識してみれば、彼女と繋がっているパスも感じられるし、信じることができる。
まあ、子供は好きなので、いきなり殺しにかかることは無いけど。
「?」
チラリと見てみれば、不思議そうに首を傾げながらも満開の笑みを返してくれる。可愛い。
さっきから語彙力が低下している気がするが、進化してこうなったことは全く悪いことではない。
基本的に【調教】によってテイムされた魔物は、主を裏切ることは無い。パスを通じてお互いのことは何となく分かるし、主に絶対服従だ。
会話できることによってコミュニケーションも取りやすくなるし、俺の癒しがパワーアップしたと考えればいいだろう。
唯一のデメリットは、俺がこの六歳くらいの女の子を【調教】して、言うことを何でも聞かせられるという犯罪臭漂う事実なんだが……、他に人型の魔物もいない訳では無いので大丈夫だと思いたい。
「クウ、【鑑定】していいか?」
「うんっ! いいよ!」
許可も貰ったので、早速【鑑定】してみる。
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名前:クウ
種族:イノセンススライム
Lv:70
称号:SSSランク魔物 羽吹真夜の従魔
禁忌を喰らいし者
<パッシブスキル>
物理耐性(7) 全属性吸収 状態異常無効
並列思考(4) 統率
<アクティブスキル>
再生(6) 吸収 突進 形状変化
<ユニークスキル>
無限分裂 万物融解
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「………………なあ、クウさんよ」
「なあに?」
「最近何か、変わったものを食べたりしてないかい?」
「んーと……、あっ! そういえばきのうたべた金ピカのりんごおいしかったよ!」
「……」
絶対原因それじゃねーか! 何だよ[禁忌を喰らいし者]って! どう考えてもヤバイ代物を食べたとしか思えない。
スキルの数は俺よりも少ないが、いずれもかなり上位のスキルのようだ。
それと称号欄にある[SSSランク魔物]。
魔物にはそれぞれ、ランクというものが存在する。
一番下のFから上がってE、D、C、B、A、S、SS、SSS、の九段階。
[Sランク魔物]ともなれば、一つの村や街などは簡単に落ちる。[SSランク魔物]だと国の危機にもなり、[SSSランク魔物]だと、大陸、ひいては世界の危機と判断される。
そして、クウのステータスに輝いたように見える[SSSランク魔物]の文字。
まさかここまで早くチート化するとは思わなかったよ……。
それにしても、クウが食べたという黄金の林檎が気になる。心当たりはあるが、一応聞いてみよう。
「ところでクウ。その金ピカの林檎はどこで手に入れたか覚えてるかな?」
「うんっ! きのうのよるにいったおしろのなかの……、んーと、だいのうえ!」
どうやらクウは、幻想級アイテムを食べてしまったらしい。本人に自覚はなく、今も嬉しそうに味について語っているが。
これは嬉しい誤算だが、俺はこのままでは不味いことに気が付く。
そう、街に入れないのだ。万が一、クウを鑑定された日には、騒ぎになってしまう。
俺の持つスキル、【偽装】は、自分にしか使えない。これは早急に対策を立てないといけないようだ。
とりあえず今は、昨日の成果を見ていこう。
俺は自分のステータスを開く。
----------------------------------------------------------
名前:羽吹真夜
種族:人族
Lv:63
称号:人間不信 同族殺し 転移者 魔剣士
<パッシブスキル>
身体強化(5) 精神耐性(9) 並列思考(1)
詠唱短縮 魔力感知
<アクティブスキル>
剣術(4) 風魔法(2) 土魔法(3) 気配察知(6)
家事(3) 鑑定(7) 隠密(4) 拷問 直感 調教
<ユニークスキル>
武器支配(3) 偽装
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クウのステータスを見た後だとどうしても弱く見えてしまうが、俺もかなり強くなったと思う。
まず、称号の[親殺し]が[同族殺し]へと変わっている。効果はイマイチ分かっていないが、強化されたと見ていいだろう。
レベルは六十三にまで上がり、さっきから体が嘘のように軽い。一晩で一気に上がったお陰だ。
新しくスキルは【魔力感知】と【並列思考】を覚えている。
【魔力感知】は、その名の通り魔力を感知することができるスキルだ。今も周りから、大きさに違いはあれど、沢山の魔力を感じている。
昨日、扉の向こうのデュランダルを見つけられたのも、このスキルがあったからだ。
【並列思考】は、物事を同時に考えることができるスキルだ。自分の思考が、二人分になったように感じる。
これなら、スキルレベルの上がった【武器支配】も、使いこなすことができるだろう。
【武器支配】だけでなく、他のスキルも軒並みスキルレベルが上がっている。
それだけ、あの宝物庫を守っていた兵士が強かったということだろう。
そして気になっていたクウのスキルだが、幾つかどんなものか聞くことができた。
【無限分裂】は、クウが【消化】して【吸収】したものを溜め込み、その分だけ分体を作り出せるスキルだった。
分体に意思はないが、クウによって操ることができ、本体と同じスキルを使えるらしい。
【万物融解】は、単純でかなり恐ろしいスキルだ。それが例え世界で最も硬い物であろうと、実体のない幽霊みたいなものであろうと、全ての物を溶かすことができるスキルだ。それもかなりの早さで。
つまりクウは、【全属性吸収】によって全ての属性攻撃、魔法が効かず、【状態異常無効】であらゆる毒物も無効化。食えば食うだけ分裂して増殖し、あらゆる物を溶かしていく。
唯一聞くであろう物理攻撃も、【物理耐性】によってほとんど効くことはない。
こういった生物の弱点である核は、常に体内で移動しており、欠けても【再生】する。倒すには、強力な物理攻撃の一撃で核を跡形もなく消し飛ばす必要がある、と。
……何この最強生物。
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