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3話

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コンコン…と扉がノックされた。
「入っていいぞ」
「失礼します…魔王様」
「おう…適当に座ってくれ」
と俺はターメリに言うと“はい”とターメリは答えたソファーに座った。
「それで魔王様、用とは何でありましょうか?」
「それはな…継承式をするためだ」
「継承式をですか?アレには時間がかかると聞きましたが…」
とターメリは言った。
「準備は終わっている、早くやるぞ」
と俺は言ってターメリを隣の部屋に手招きして継承式を始めた。初めにターメリを魔法陣の真ん中に立たせ自分の魔力を流し、長い書を読み自分も魔法陣の中に入りこう言う。
「“我…汝にこの称号を授与する…ターメリ今からお前が魔王だ”」
と…するとターメリの身体が光り輝きだした。
「これで今からお前が魔王だ!頑張れよ!」
とターメリの肩を掴んでそう笑顔で俺は言う。
「えっ!?ほんとに魔王の座を僕が?!」
とターメリは混乱している。気にせずに
“それじゃぁ頑張れよ!”と言って俺は窓から飛び下りた。
えええーーー!!!!と聞こえてきたが無視をする事にした。








~~~~~平和な日常
森の奥深くに魔王はやって来た。ふぅ~やっと肩の荷が降りたぜ…これでのんびり生きれる。おっとっ…人間に化けとかねぇとな。すると魔王の身体が光ると角と羽が無くなり人間になった。
「うっし…まずはギルドに行くか…最近行っていなかったしな」
と言い森の奥深くからギルドまで歩いていった。
モンスター倒しながら行くのも良いが…面倒だな~と思っていると森の出口が見えた。
「やっと森を抜けれたぜ…」
と一人で呟いた。少し休憩した後ギルドがある街までまた歩きだした。








~~~~~街の入り口とギルド
「よっ!久しぶりだな」
と街の門番に声をかけた。
「カイ久しぶりだな!お前どこ行ってたんだよ?」
と門番も魔王(元魔王だが)に親しそうに話しかけた。因みに人間の姿の時はカイと名乗っている、本名はカイヴァ・グラン・デビルレイズ、デビルレイズは国の名前だ。魔王になった者は最後に国の名前がつく風習があるのだ。
「いや~ふらふらと旅をしていたんだ」
と言うと、そうか!と言って門を通してくれた。



「あっ!カイさんではないですか!一体どこに行ってたんですか?!」
とギルドに入るなり受付嬢がそう言いながら早歩きでこちらに向かってきた。
「やぁ~リズ、一ヶ月ぶりだな」
と返事を返しておく。目の前までリズは来てギルマスが呼んでます!とだけ言って職場に戻っていった。



コンコン…
「入るぞ?」
と言ってギルマスの部屋の扉をノックした後開けて入った。
「今までどこに行っていたんだい?君一応Aランクなんだよ?ねぇ分かってる?指名依頼がいっぱい来てたんだよ?それを断ったり依頼をこなしたりしたの僕なんだよ?誰かさんのお陰でね…」
と目が笑っていない笑みを浮かべギルマスはそう言った。
「いやぁ…悪かったって…ふらふらと旅をしていたんだ…ほんとに悪かったって…」
と両手を前で合わせてギルマスに謝る。まぁ~今から~働いてもらうけどね~とギルマスはこの一ヶ月の鬱憤を晴らすために俺をこき使おうとしている。
「分かったよ…で、何からすれば宜しいのでしょうか?ギルマス様」
とさっきまでとは違う口調でギルマスに聞いた。
「その喋り方止めてくれる…鳥肌たったよ…まずはこれね…Aランク指定の魔物討伐」
と言って腕を摩りながら数枚の紙の束を渡してきた。それに俺は少しムカついた。
「分かった…すぐ終わらせてくる」
と紙の束を受け取り討伐依頼が出ている魔物を狩りに行くのだった。
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