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2話

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一ヶ月、魔王はセバーヌにバレないように継承式の準備を一人でコソコソとしていた。そして遂に継承式を行えるようにまで準備を終わらせることが出来た。後は後継者を呼んできて魔王の座を渡すだけだ。やっとやっとこの時が来た!これで俺は自由に慣れる!
と一人で浮かれていると扉がノックされているのに気づき入れと答えた。
「魔王様本日の予定ですが会議が二つと魔王候補のターメリ様とのお食事です。後この書類にサインをお願いします…」
と書類を置きながらセバーヌは言って出ていった。
チャンスだ!魔王候補と話が出来る!今日決行しよう…と魔王は笑みを浮かべていた。


~~~~~会議
「魔王様、戦争の状況の報告をさせていただきます…西の人間の国に進行中の闇の部隊はダークサイドによって着々と人間どもを制圧しています…しかし東側、南側は人間どもに押されています。北は変わりありません」
と軍隊の総隊長並びに幹部の一人のガラージュがそう言った。
「西側、北側はそのまま進行を進めよ、東側と南側は後3000人ほど兵士を送れ、物資も一緒に送れ」
と指示を魔王はだす。
「次は私です…戦争の影響で税金があまり集まらず、食糧不足も問題です。」
と国の経済担当の幹部の一人リリィが言った。
「税金を少し下げて、飢えている国民に城にある食料を少し分けてあげろ」
とまたも魔王は的確に指示を出す。
「最後に魔王候補についてです…ターメリ様は非常に優秀な人材です。まだ子供であるのに経済、政治に興味を持たれ家庭教師にそれも教わっています。この碌でもない魔王様とは大違いです…まったく…」
とセバーヌは最後に愚痴を零しながら言った。
「セバーヌ酷いぞ!碌でも無くないだろう!」
と俺は少しイラッとしたので反発した。
「どこがです?碌でもないじゃないですか、何回会議ほっぽり出したり、仕事放棄していますか?」
と笑ってセバーヌは言った。しかし目が笑っていないものすごく怖い…
「そうですね…碌でもないですね魔王様は」
とリリィもセバーヌに同意らしい。
「俺もセバーヌに一票!」
とガラージュもセバーヌに同意のようだ。
「お前ら嫌いだー!俺の味方は居ないのか!?」
と全員がセバーヌに同意なので魔王は涙目でそう言った。
だってねぇ~事実だしといった顔をみんなしている。みんな酷い!俺一応魔王なんだよ…
まぁ良い…どうせもう辞めるし
「これで会議は終わりだな?セバーヌ」
「はい、終わりです…この後はターメリ様とお食事です。」
と言ってセバーヌはどこかに消えた。







~~~~~お食事
「初めまして魔王様…この度はお食事を共に出来て光栄です。」
と魔王候補のターメリが大人びた雰囲気を醸しながら礼をしてそう言った。
「よろしくな…」
と魔王もそれに応える。
食事が始まると食器がなる音だけが聞こえる。気まず!なんか喋れよ!ターメリ!と俺は心の中でそう思った。仕方ない…俺から話を振るうか…
「ターメリ、お前は魔王に早くなりたいか?」
「はい、しかしまだまだ未熟者です。魔王になるなんて…」
とターメリは俺の質問に答える。
「そうか…」
と俺も返す。食事も終わり、帰ろうとしているターメリに俺は耳元で明日俺の部屋に夜9時に来いとだけ言って去った。
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