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二章 二度目の人生
61【フィペリオン公爵家からの招待①】
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お兄様の誕生日パーティーから三日後、さっそくフィペリオン公爵家から招待状が届いた。
公爵家からの招待が決まった後、その場を見ていた他の貴族からもお茶会へ招待したいと言われて大変だった。
今まで誰も私に無関心だったから以前の私なら喜んでいたかもしれないけれど、今の私はそう思うことはできなかった。
その人たちは、お父様と近付きたいけどできないから私を誘えばいいと思っただけだから。
私が返事をするより早くお父様が全て断っていたけれど……。
お父様からフィペリオン公爵家の招待状を直接手渡されたけれど、その時の表情はとても機嫌が悪そうに見えた。
「あの……行かない方がいいですか……?」
「いや、そういうわけではないから好きにしなさい」
「いいのですか!?」
「あぁ」
「ありがとうございます、嬉しいです」
私が招待状をきゅっと握って喜ぶと、心なしかお父様の表情も少しだけ緩んだように見えた。
招待状を見てみると、二週間後になっていた。
◆◆◆
私は公爵家へ行くその日をとても楽しみにしていた。
けれど――。
「お嬢様! アメリアが定期報告でこちらへ戻ってくるそうですよ!」
いつもは絶対しないけれど、今日はリリーがドアを勢いよく開けたため、少し驚いた。
「え、本当に?」
「あっ、申し訳ありません! ノックもせずに……! 急いでお伝えしないとと思って……」
「大丈夫だよ。それよりもいつ……?」
「はい、二週間後だそうです」
「に、二週間……? それって何日……?」
リリーに日にちを確認したところ、公爵家の招待の日と同じだった。
「そんな……」
「お、お嬢様? どうされました!?」
ショックを受けて項垂れている私に、リリーがオロオロと心配そうにしている。
「ロゼリア様とのお茶会に招待された日が、アメリアが戻ってくる日とかぶってしまったの……」
「それは……どうにもならなさそうですね……」
「そうよね……」
アメリアは今、領地にある本邸にいる。
定期報告のために数ヶ月に一度だけここ、王都にある別邸へと来ることになっている。
私たちはずっとここで暮らしているから、どちらが本邸で別邸なのかわからなくなってしまう時がある。
アメリアが未だにこちらへ戻ってくる目処がたっていない理由は人手不足のためだ。
お兄様が使用人の雇用をかなり厳しくしたため、王都の屋敷も領地の本邸も以前より圧倒的に使用人が少ない。
その為アメリアがいまだにこちらへ戻って来られずにいる。
お兄様が使用人の件を担ってくれたおかげで以前のようなひどい使用人は入ってきていないから私にとっても、侯爵家にとってもいいことなのだけれど――、
「ねぇ、リリー」
「はい、なんでしょう?」
「使用人って増えないかな」
お兄様の誕生日パーティーも終わってしまったし、すぐに増えることはないだろうとわかってはいるけれど、なんとなくポツリとリリーに聞いてみる。
「新たに募集をするみたいですよ」
「そうよね……って、え? 本当?」
「はい、やはり公子様のお誕生日パーティーが大変だったようで本格的に使用人を増やすそうです。これからはお嬢様のパーティーもありますしね!」
そうなんだ、よかった。
「それならアメリアもずっとここにいられるようになるよね?」
「そのはずですよ、もともとアメリアはお嬢様の専属なんですから」
◆◆◆
そしてあっという間に二週間が経った。
今日はフィペリオン公爵家へ行く日であり、アメリアが戻ってくる日だ。
「リリー、アメリアはまだ来てないよね?」
「はい、残念ながらまだのようです。戻ったらすぐにサラが教えてくれることになっておりますよ」
もう時間だ。アメリアには会えそうにない。
「さぁ、お嬢様」
「うん……」
部屋を出たところでルカお兄様がなぜかそこにいた。
いつもならこんなところで会うはずのないお兄様に驚くところだけれど、今の私は気持ちがどこかにいってしまっている。
ロゼリア様とのお茶会への緊張とアメリアに会えないことへの寂しさから。
「おかしな行動だけはするなよ」
「はい、お兄様……いってまいります……」
「あ、あぁ……?」
私はとぼとぼ歩きながら玄関ホールへと向かった。
「お、おい」
すると、なぜか後ろからお兄様が一緒に着いてきてリリーを呼び止めた。
「はい、公子様」
「あいつはどうしたんだ? あんなに楽しみにしていただろう」
「あ、え、っと……専属メイドのアメリアという者が今日定期報告でここへ戻って来るのですが、お嬢様は会えないのが寂しいそうで……」
「なんだ、そんなことか?」
「はい」
「もう行っていい」
「はい、公子様。失礼します」
リリーとお兄様の会話が少し聞こえてしまったけれど、"そんなこと"だなんて、ひどいと思う。
◆◆◆
フィペリオン公爵家は想像以上の広さだった。
横も前も先が見えない。え、ここであってるんだよね?
壁がずっと続いている……。
まさか初めての招待が公爵家で、護衛までつくとは思わなかった。前は護衛なんてつけてもらえなかったもの。
もしあの時護衛が一人でもいてくれたら――。
「お嬢様、す、すごい広さですね……」
「そうだよね? どうしよう、すごく緊張してきた……」
公爵家までの付き添いとして一緒に来たのはサラだ。
リリーは残念ながらお父様から外出許可が下りないためサラが付き添ってくれた。
「シアお嬢様なら大丈夫ですよ。残念ながら私は中まではご一緒できませんが……」
「ありがとう、失敗しないよう頑張るね」
サラも護衛も中まで付き添うことはできない。
信頼していますよ、という意味もあるけれど相手は公爵家だ。私の身の回りのことも護衛も心配する必要はないから。
「お付きの方と護衛のみなさんはこちらへどうぞ」
珍しい茶菓子を用意してくれたということで、サラの目の色が変わった。さすがメイド歴が長いだけあって、顔には出していない。
これがリリーだったら――、と想像して笑ってしまう。
「じゃぁね、サラ。またあとで」
そうして公爵家の屋敷の中へと入る。
すぐにロゼリア様が出迎えてくれた。
「シア様! お待ちしておりましたわ。お越しいただきありがとうございます」
ロゼリア様は今日もとても綺麗だった。
「ロゼリア様、こちらこそ招待してくださりありがとうございます。王都はとても広いのですね、こんなに長く馬車に乗ったのは初めてです」
公爵家と侯爵家は同じ王都にあるけれど、とても歩いて行ける距離ではなかった。
そして、小さな体で長い時間馬車に揺られたせいか体が痛い……。恥ずかしいので顔に出さないように我慢。
「ふふ、お体は大丈夫でしたか? さぁ、こちらへどうぞ。今日はとても陽ざしが気持ちいいのでお庭でお茶をと思って準備しました」
庭へと行くまでに、私はきょろきょろと辺りを気にしてしまっていた。もしかしたらあの男の子に会えるかもしれないと思って。
それに気が付いたのか、ロゼリア様がふふ、と笑った。
「弟にはシア様が来る時間を遅く伝えたんです。私がシア様と二人で過ごす時間も欲しかったので」
「えっ、あの……」
「離れで授業中なんです。きっと弟もあなたに会いたくて、早く終わらないかとソワソワしていると思いますよ。そこがまたかわいいんですけれど。シア様も、弟と会えることを楽しみにしてくれていたみたいで嬉しいですわ」
私もどこか落ち着かないでいたのを、ロゼリア様にはばっちり気付かれていたらしい。
きっと今、私の顔は真っ赤になっているのかと想像しただけで恥ずかしくなってしまった。
公爵家からの招待が決まった後、その場を見ていた他の貴族からもお茶会へ招待したいと言われて大変だった。
今まで誰も私に無関心だったから以前の私なら喜んでいたかもしれないけれど、今の私はそう思うことはできなかった。
その人たちは、お父様と近付きたいけどできないから私を誘えばいいと思っただけだから。
私が返事をするより早くお父様が全て断っていたけれど……。
お父様からフィペリオン公爵家の招待状を直接手渡されたけれど、その時の表情はとても機嫌が悪そうに見えた。
「あの……行かない方がいいですか……?」
「いや、そういうわけではないから好きにしなさい」
「いいのですか!?」
「あぁ」
「ありがとうございます、嬉しいです」
私が招待状をきゅっと握って喜ぶと、心なしかお父様の表情も少しだけ緩んだように見えた。
招待状を見てみると、二週間後になっていた。
◆◆◆
私は公爵家へ行くその日をとても楽しみにしていた。
けれど――。
「お嬢様! アメリアが定期報告でこちらへ戻ってくるそうですよ!」
いつもは絶対しないけれど、今日はリリーがドアを勢いよく開けたため、少し驚いた。
「え、本当に?」
「あっ、申し訳ありません! ノックもせずに……! 急いでお伝えしないとと思って……」
「大丈夫だよ。それよりもいつ……?」
「はい、二週間後だそうです」
「に、二週間……? それって何日……?」
リリーに日にちを確認したところ、公爵家の招待の日と同じだった。
「そんな……」
「お、お嬢様? どうされました!?」
ショックを受けて項垂れている私に、リリーがオロオロと心配そうにしている。
「ロゼリア様とのお茶会に招待された日が、アメリアが戻ってくる日とかぶってしまったの……」
「それは……どうにもならなさそうですね……」
「そうよね……」
アメリアは今、領地にある本邸にいる。
定期報告のために数ヶ月に一度だけここ、王都にある別邸へと来ることになっている。
私たちはずっとここで暮らしているから、どちらが本邸で別邸なのかわからなくなってしまう時がある。
アメリアが未だにこちらへ戻ってくる目処がたっていない理由は人手不足のためだ。
お兄様が使用人の雇用をかなり厳しくしたため、王都の屋敷も領地の本邸も以前より圧倒的に使用人が少ない。
その為アメリアがいまだにこちらへ戻って来られずにいる。
お兄様が使用人の件を担ってくれたおかげで以前のようなひどい使用人は入ってきていないから私にとっても、侯爵家にとってもいいことなのだけれど――、
「ねぇ、リリー」
「はい、なんでしょう?」
「使用人って増えないかな」
お兄様の誕生日パーティーも終わってしまったし、すぐに増えることはないだろうとわかってはいるけれど、なんとなくポツリとリリーに聞いてみる。
「新たに募集をするみたいですよ」
「そうよね……って、え? 本当?」
「はい、やはり公子様のお誕生日パーティーが大変だったようで本格的に使用人を増やすそうです。これからはお嬢様のパーティーもありますしね!」
そうなんだ、よかった。
「それならアメリアもずっとここにいられるようになるよね?」
「そのはずですよ、もともとアメリアはお嬢様の専属なんですから」
◆◆◆
そしてあっという間に二週間が経った。
今日はフィペリオン公爵家へ行く日であり、アメリアが戻ってくる日だ。
「リリー、アメリアはまだ来てないよね?」
「はい、残念ながらまだのようです。戻ったらすぐにサラが教えてくれることになっておりますよ」
もう時間だ。アメリアには会えそうにない。
「さぁ、お嬢様」
「うん……」
部屋を出たところでルカお兄様がなぜかそこにいた。
いつもならこんなところで会うはずのないお兄様に驚くところだけれど、今の私は気持ちがどこかにいってしまっている。
ロゼリア様とのお茶会への緊張とアメリアに会えないことへの寂しさから。
「おかしな行動だけはするなよ」
「はい、お兄様……いってまいります……」
「あ、あぁ……?」
私はとぼとぼ歩きながら玄関ホールへと向かった。
「お、おい」
すると、なぜか後ろからお兄様が一緒に着いてきてリリーを呼び止めた。
「はい、公子様」
「あいつはどうしたんだ? あんなに楽しみにしていただろう」
「あ、え、っと……専属メイドのアメリアという者が今日定期報告でここへ戻って来るのですが、お嬢様は会えないのが寂しいそうで……」
「なんだ、そんなことか?」
「はい」
「もう行っていい」
「はい、公子様。失礼します」
リリーとお兄様の会話が少し聞こえてしまったけれど、"そんなこと"だなんて、ひどいと思う。
◆◆◆
フィペリオン公爵家は想像以上の広さだった。
横も前も先が見えない。え、ここであってるんだよね?
壁がずっと続いている……。
まさか初めての招待が公爵家で、護衛までつくとは思わなかった。前は護衛なんてつけてもらえなかったもの。
もしあの時護衛が一人でもいてくれたら――。
「お嬢様、す、すごい広さですね……」
「そうだよね? どうしよう、すごく緊張してきた……」
公爵家までの付き添いとして一緒に来たのはサラだ。
リリーは残念ながらお父様から外出許可が下りないためサラが付き添ってくれた。
「シアお嬢様なら大丈夫ですよ。残念ながら私は中まではご一緒できませんが……」
「ありがとう、失敗しないよう頑張るね」
サラも護衛も中まで付き添うことはできない。
信頼していますよ、という意味もあるけれど相手は公爵家だ。私の身の回りのことも護衛も心配する必要はないから。
「お付きの方と護衛のみなさんはこちらへどうぞ」
珍しい茶菓子を用意してくれたということで、サラの目の色が変わった。さすがメイド歴が長いだけあって、顔には出していない。
これがリリーだったら――、と想像して笑ってしまう。
「じゃぁね、サラ。またあとで」
そうして公爵家の屋敷の中へと入る。
すぐにロゼリア様が出迎えてくれた。
「シア様! お待ちしておりましたわ。お越しいただきありがとうございます」
ロゼリア様は今日もとても綺麗だった。
「ロゼリア様、こちらこそ招待してくださりありがとうございます。王都はとても広いのですね、こんなに長く馬車に乗ったのは初めてです」
公爵家と侯爵家は同じ王都にあるけれど、とても歩いて行ける距離ではなかった。
そして、小さな体で長い時間馬車に揺られたせいか体が痛い……。恥ずかしいので顔に出さないように我慢。
「ふふ、お体は大丈夫でしたか? さぁ、こちらへどうぞ。今日はとても陽ざしが気持ちいいのでお庭でお茶をと思って準備しました」
庭へと行くまでに、私はきょろきょろと辺りを気にしてしまっていた。もしかしたらあの男の子に会えるかもしれないと思って。
それに気が付いたのか、ロゼリア様がふふ、と笑った。
「弟にはシア様が来る時間を遅く伝えたんです。私がシア様と二人で過ごす時間も欲しかったので」
「えっ、あの……」
「離れで授業中なんです。きっと弟もあなたに会いたくて、早く終わらないかとソワソワしていると思いますよ。そこがまたかわいいんですけれど。シア様も、弟と会えることを楽しみにしてくれていたみたいで嬉しいですわ」
私もどこか落ち着かないでいたのを、ロゼリア様にはばっちり気付かれていたらしい。
きっと今、私の顔は真っ赤になっているのかと想像しただけで恥ずかしくなってしまった。
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