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二章 二度目の人生
54【サラへの聴き取り④】
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サラは戻ってきてくれた。私のところへ。
「シアお嬢様、お待たせしました。こちらです」
サラが持ってきた薬は私が飲んでいたものと見た目はそっくりだった。一見ただの白い粉だから見分けがつかないだけかもしれないけれど。
いや、もしかして。
サラが言うには私に飲ませていたものは少しだけ魔力を抑えるもの。そしてサラの子供が服用しているものは魔力の暴走を抑えるもの。
「もしかするとこれ、魔力を抑えるものとしては同じかもしれないわ。あ、全く同じもの、ということではないんだけれど」
「「え!?」」
二人とも驚いている。
「お嬢様、同じものとはどういうことでしょうか? 私の子が飲んでいたのは魔力の暴走を抑えるための薬なので効果も強いのですが……」
「魔力を抑えるため、という目的は一緒だもの」
事情を知らないサラには分からないだろう。
「私が実際に飲んでいたものは魔力をただ少し抑えるだけでなく、魔力の流れを完全に止めてしまうものなの。魔力のない人が飲めばただの栄養薬かもしれないけれど……」
サラは私の話を青ざめた表情で聞いている。
「だから、魔力のある人がこれを飲み続けると魔法が使えなくなってしまうの」
サラは子供の魔力のことを誰にも知られたくないと思っている。もしかすると、魔力なんて無い方がいいとさえ思っているかもしれない。
サラの子供にとって良い薬になっても、私にはただの悪い毒だ。
「そ、それでは、お嬢様にこれを飲ませていた理由はずっと魔法を使わせないようにするため……?」
「うん、そうよ。これを飲み続ければ私は魔法を一切使えないし、侯爵家の癒しの力も発現しない……大人になってもずっとね」
「そ、んな……それだとお嬢様は……」
サラは自分が何を飲ませていたのか改めて知り、益々顔が真っ青になる。侯爵家の生まれである私が魔法を使えなくなることが何を意味するのか分かったのだろう。
「どうしよう、私……取り返しのつかないことを……! だって、ほんの少し……魔力の……」
「サラ、大丈夫よ。時間が経てば自然と解毒されるかもしれないし、何か良い方法が見つかるかも」
「お嬢様……」
大丈夫、まだ数年しか飲んでいない。それに時間が遡る前に私は発現しそうになったことがあるとあの人が言っていた。
この薬では私の魔力量を抑えられなくなっていたのかもしれない。
「さっきも言ったけれど、私の魔力を抑え続けることが目的ならサラはこれを私に飲ませ続けていると、その男に思わせないといけないわ」
「は、はい……」
「ねぇサラ、入れているフリがしやすいように小麦粉と入れ替えちゃえば?」
リリーが急に、"いいこと閃いた!"といった表情をした。
「そうね、リリーの言う通り何かと入れ替えれば……。でも小麦粉はちょっと、混ざらないんじゃないかな?」
「あぁ、たしかに……でも他も似たようなものですよね……」
「サラ、頑張って混ぜてね」
「お、お嬢様……」
サラが私たちの冗談におろおろしている。当たり前だけれど今のサラには冗談は通じないようだ。
先ほどまでの暗い雰囲気が少しよくなりホッとした。
「とりあえず、これからはもうこれを飲まなくていいからよかった……」
いつ解毒されるか分からないけれど、これで一つ不安なことはなくなった。できれば早めに魔力を取り戻したいから何か良い方法がないものか。
サラに毒を渡している人物を特定したいと思ったけれど、迂闊なことはできない。子供のことをどこまで信じていいのかもあれだけれど、どこで誰に監視されているのかも分からないから。
「「絶対にダメです!」」
それに、さすがに二人とも反対のようだ。
「お嬢様、私でさえ会うことがないのですよ」
「お嬢様にはまだ護衛がいないのですから絶対にダメです! 侯爵家の護衛に頼むことだってできないんですよ? どうやって身の安全の保証をされるおつもりですか!? 外で襲われたら!? 誘拐されたら!? もう、心配です!」
リリーはもはや怒っている。
「リリー、お嬢様が驚いているわ」
サラがリリーを落ち着かせようとしている。
「もちろん本気じゃないよ、二人ともごめんね」
少しだけ、いつもの日常に戻れた気がした。
「シアお嬢様、お待たせしました。こちらです」
サラが持ってきた薬は私が飲んでいたものと見た目はそっくりだった。一見ただの白い粉だから見分けがつかないだけかもしれないけれど。
いや、もしかして。
サラが言うには私に飲ませていたものは少しだけ魔力を抑えるもの。そしてサラの子供が服用しているものは魔力の暴走を抑えるもの。
「もしかするとこれ、魔力を抑えるものとしては同じかもしれないわ。あ、全く同じもの、ということではないんだけれど」
「「え!?」」
二人とも驚いている。
「お嬢様、同じものとはどういうことでしょうか? 私の子が飲んでいたのは魔力の暴走を抑えるための薬なので効果も強いのですが……」
「魔力を抑えるため、という目的は一緒だもの」
事情を知らないサラには分からないだろう。
「私が実際に飲んでいたものは魔力をただ少し抑えるだけでなく、魔力の流れを完全に止めてしまうものなの。魔力のない人が飲めばただの栄養薬かもしれないけれど……」
サラは私の話を青ざめた表情で聞いている。
「だから、魔力のある人がこれを飲み続けると魔法が使えなくなってしまうの」
サラは子供の魔力のことを誰にも知られたくないと思っている。もしかすると、魔力なんて無い方がいいとさえ思っているかもしれない。
サラの子供にとって良い薬になっても、私にはただの悪い毒だ。
「そ、それでは、お嬢様にこれを飲ませていた理由はずっと魔法を使わせないようにするため……?」
「うん、そうよ。これを飲み続ければ私は魔法を一切使えないし、侯爵家の癒しの力も発現しない……大人になってもずっとね」
「そ、んな……それだとお嬢様は……」
サラは自分が何を飲ませていたのか改めて知り、益々顔が真っ青になる。侯爵家の生まれである私が魔法を使えなくなることが何を意味するのか分かったのだろう。
「どうしよう、私……取り返しのつかないことを……! だって、ほんの少し……魔力の……」
「サラ、大丈夫よ。時間が経てば自然と解毒されるかもしれないし、何か良い方法が見つかるかも」
「お嬢様……」
大丈夫、まだ数年しか飲んでいない。それに時間が遡る前に私は発現しそうになったことがあるとあの人が言っていた。
この薬では私の魔力量を抑えられなくなっていたのかもしれない。
「さっきも言ったけれど、私の魔力を抑え続けることが目的ならサラはこれを私に飲ませ続けていると、その男に思わせないといけないわ」
「は、はい……」
「ねぇサラ、入れているフリがしやすいように小麦粉と入れ替えちゃえば?」
リリーが急に、"いいこと閃いた!"といった表情をした。
「そうね、リリーの言う通り何かと入れ替えれば……。でも小麦粉はちょっと、混ざらないんじゃないかな?」
「あぁ、たしかに……でも他も似たようなものですよね……」
「サラ、頑張って混ぜてね」
「お、お嬢様……」
サラが私たちの冗談におろおろしている。当たり前だけれど今のサラには冗談は通じないようだ。
先ほどまでの暗い雰囲気が少しよくなりホッとした。
「とりあえず、これからはもうこれを飲まなくていいからよかった……」
いつ解毒されるか分からないけれど、これで一つ不安なことはなくなった。できれば早めに魔力を取り戻したいから何か良い方法がないものか。
サラに毒を渡している人物を特定したいと思ったけれど、迂闊なことはできない。子供のことをどこまで信じていいのかもあれだけれど、どこで誰に監視されているのかも分からないから。
「「絶対にダメです!」」
それに、さすがに二人とも反対のようだ。
「お嬢様、私でさえ会うことがないのですよ」
「お嬢様にはまだ護衛がいないのですから絶対にダメです! 侯爵家の護衛に頼むことだってできないんですよ? どうやって身の安全の保証をされるおつもりですか!? 外で襲われたら!? 誘拐されたら!? もう、心配です!」
リリーはもはや怒っている。
「リリー、お嬢様が驚いているわ」
サラがリリーを落ち着かせようとしている。
「もちろん本気じゃないよ、二人ともごめんね」
少しだけ、いつもの日常に戻れた気がした。
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