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二章 二度目の人生
46【それから一週間後】
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時間が遡ってから七日が経った。
あれからお父様には一度も会えずにいる。仕事が忙しく家に帰ってきていないのだろう。あの時お父様に会えずに今日まで経ってしまっていたら、きっと今頃私の心はまた不安でいっぱいになっていたはずだ。
勝手にあれこれと考えてしまい、以前と同じような日々を過ごしていたと思う。
執事長と使用人の件を話してからまだ一週間しか経っていないけれど、あれからどうなったのかな? お兄様はどうしているのだろう。
この一週間でメイドたちの間では新しく使用人を雇うという話がすでに広まっていた。以前から話は出ていたけれど正式に募集が始まったからだろう。
執事長のセバスティンを探して屋敷の中を歩き回る。けれどなかなか見つからない。お父様と同じで執事長も多忙のようだ。
「あっ……」
書斎にいる執事長をなんとか見つけることができた。彼もいつもどこで何をしているのか、他のメイドや執事に居場所を聞いてそこへ行ってみるともういなくなってしまっていることが多い。
まだ四十代のセバスティンの移動範囲はかなり広いようだ。
「おや。シアお嬢様、おはようございます。こんなに朝早くからどうされました?」
「おはよう、セバス! あっ……」
執事長を愛称のセバスでつい呼んでしまった。
「えぇ、セバスですよ、お嬢様。またそのように呼んで下さるのですか?」
執事長は、セバスと呼ばれて目尻を下げて嬉しそうに微笑んでいる。
あれはまだお母様が生きていた頃。
私がもっと幼かった頃は、"セバス! セバス!"と彼の後ろを追いかけ回して仕事の邪魔をしていたような微笑ましい思い出が……。
私も本当はもっとみんなに名前を呼んで欲しかったから。
「うん、ダメかな?」
「もちろんいいですよ」
「ありがとう! それであの、新しい使用人さんたちのことってどうなったのかなと思って……」
「はい、もう旦那様に話は通してありますよ。とりあえず一定の条件を満たした者から公子様に選んで頂くことになりました」
もう募集は始まっており、侯爵家の使用人ということでまだ数日しか経っていないのにも関わらず、かなりの人数が集まっているそうだ。
「お嬢様が心配されていた悪い人が来ないよう審査は厳しくしておりますのでご安心ください」
「よかった……。ありがとう、セバス!」
「いえいえ、私は特に何もしておりませんよ。これから大変なのは公子様ですねぇ」
——————
セバスティンは心の中で、"奥様が今までされていたことをまだ八歳のお嬢様が引き継ごうとされている"と勘違いをしてシアの成長を喜んで涙を滲ませていることにシアは気が付かなかった。
侯爵はルカももう十歳になるのだから、これくらい任せるのもいいだろうということで簡単に決めてしまった。
シアはシアで、公子であるルカに本来ならなかったはずの余計な仕事を押し付けてしまったことを実はそれなりに気にしていた。
(お兄様に、私が変なことを言ったからだとばれてしまったらどうしよう? 怒られるかな、嫌われちゃうかな……)と。
けれどそんな心配をよそに、ルカはすでに侯爵家の騎士に応募してきた使用人の情報を集めるよう指示を出していた。
推薦状だけでは分からない、彼らが人に知られたくない隠し事をしていないか知る為に。
あれからお父様には一度も会えずにいる。仕事が忙しく家に帰ってきていないのだろう。あの時お父様に会えずに今日まで経ってしまっていたら、きっと今頃私の心はまた不安でいっぱいになっていたはずだ。
勝手にあれこれと考えてしまい、以前と同じような日々を過ごしていたと思う。
執事長と使用人の件を話してからまだ一週間しか経っていないけれど、あれからどうなったのかな? お兄様はどうしているのだろう。
この一週間でメイドたちの間では新しく使用人を雇うという話がすでに広まっていた。以前から話は出ていたけれど正式に募集が始まったからだろう。
執事長のセバスティンを探して屋敷の中を歩き回る。けれどなかなか見つからない。お父様と同じで執事長も多忙のようだ。
「あっ……」
書斎にいる執事長をなんとか見つけることができた。彼もいつもどこで何をしているのか、他のメイドや執事に居場所を聞いてそこへ行ってみるともういなくなってしまっていることが多い。
まだ四十代のセバスティンの移動範囲はかなり広いようだ。
「おや。シアお嬢様、おはようございます。こんなに朝早くからどうされました?」
「おはよう、セバス! あっ……」
執事長を愛称のセバスでつい呼んでしまった。
「えぇ、セバスですよ、お嬢様。またそのように呼んで下さるのですか?」
執事長は、セバスと呼ばれて目尻を下げて嬉しそうに微笑んでいる。
あれはまだお母様が生きていた頃。
私がもっと幼かった頃は、"セバス! セバス!"と彼の後ろを追いかけ回して仕事の邪魔をしていたような微笑ましい思い出が……。
私も本当はもっとみんなに名前を呼んで欲しかったから。
「うん、ダメかな?」
「もちろんいいですよ」
「ありがとう! それであの、新しい使用人さんたちのことってどうなったのかなと思って……」
「はい、もう旦那様に話は通してありますよ。とりあえず一定の条件を満たした者から公子様に選んで頂くことになりました」
もう募集は始まっており、侯爵家の使用人ということでまだ数日しか経っていないのにも関わらず、かなりの人数が集まっているそうだ。
「お嬢様が心配されていた悪い人が来ないよう審査は厳しくしておりますのでご安心ください」
「よかった……。ありがとう、セバス!」
「いえいえ、私は特に何もしておりませんよ。これから大変なのは公子様ですねぇ」
——————
セバスティンは心の中で、"奥様が今までされていたことをまだ八歳のお嬢様が引き継ごうとされている"と勘違いをしてシアの成長を喜んで涙を滲ませていることにシアは気が付かなかった。
侯爵はルカももう十歳になるのだから、これくらい任せるのもいいだろうということで簡単に決めてしまった。
シアはシアで、公子であるルカに本来ならなかったはずの余計な仕事を押し付けてしまったことを実はそれなりに気にしていた。
(お兄様に、私が変なことを言ったからだとばれてしまったらどうしよう? 怒られるかな、嫌われちゃうかな……)と。
けれどそんな心配をよそに、ルカはすでに侯爵家の騎士に応募してきた使用人の情報を集めるよう指示を出していた。
推薦状だけでは分からない、彼らが人に知られたくない隠し事をしていないか知る為に。
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