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13【ステータスの確認①】

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 次の日の朝、朝食後少ししてからセレスさんとハンナさんがやってきた。

「おはよう、フィーちゃん。体調はどう? 教会には行けそうかしら?」

「おはようございます。もちろん大丈夫です!」

「よかったわ。それでは着替えをしましょう。私が選んでもいいかしら?」

 セレスさんはこの部屋のクローゼットからいくつかワンピースを取り出してベッドに並べていった。

 どれにしようかしら? と私と服を交互に見ながら楽しそうに選んでくれている。

 ベッドに並べられたワンピースはいかにも貴族のご令嬢が着るような可愛らしいものばかりだ。

 これにしましょう、とセレスさんが手に取ったのは水色と白色を基調としたワンピースだった。

 ハンナさんが手伝ってくれてワンピースへと着替えると、セレスさんもハンナさんよく似合っていると褒めてくれた。

 全身を鏡で見てみるとクリームイエローの髪の毛の私によく似合っていた。鏡に映る可愛らしい小さな女の子。

 この子が自分なんだということが不思議に思える。この容姿にも早く慣れていかないとなぁ。

 ハンナさんが長い髪の毛も結ってくれてちょっと気分が上がる。

 支度が終わり、この部屋から出るためドアの前まで行くと緊張と不安を感じた。この部屋から勝手に出たいとは思っていなかったから、いざ部屋を出るとなると少し緊張してきた。

 誰かに会うかな? この家にはセレスさんの子どもたちもいるから会うかもしれない。もし子どもたち会ったらちゃんと挨拶しなくちゃ!

 と意気込んでいたけれど玄関に行くまで誰にも会わなかった。

「さぁ、フィーちゃん。こっちよ」

 玄関から外へ出ると大きな馬車がとまっていて、そこにはヴィンセントさんが待っていた。

 うわぁ、馬車なんて初めて見たよ……。

「あなた、お待たせしました」

「おはようございます」

「おはよう、フィー。おや……そのワンピース、よく似合っているね。とても可愛いよ」

 ヴィンセントさんは目を細めながら褒めてくれた。

「さぁ、それでは行こうか」

 ヴィンセントさんが、セレスさんと私の手を取りエスコートをしてくれた。

 微笑みながら手を取るヴィンセントさん、とても様になっていてかっこよくて、慣れないエスコートに私はただただ照れてしまった。

 馬車のクッションはとてもふかふかで、その心地よさを実感していると「楽しそうでよかったわ」とセレスさんに言われてしまった。

 うかれてしまっていたことに気が付いて、姿勢正しく座り直した。

「すみません、つい……」

「いいんだよ、私たちしかいないんだから楽にしてね」

 そうヴィンセントさんが言ってくれたけれど、人のいるところではだめと言うことだよね。いや、もちろんお行儀が悪いから当たり前なんだけれど、やっぱりこの人たちは貴族なんだなと感じた。

 ゆっくりと走る馬車に揺られながら窓から外を眺めていたけれど、残念ながら天気が悪いため外がよく見えなかった。

 残念、せっかく外に出たのになぁ。

「また出かけましょうね」

 私の残念そうな表情を見てセレスさんが提案してくれた。

 外は風が少し吹いており雨が降っていた。ヴィンセントさんによれば、これでもだいぶよくなった方だとか。

 ちなみに、国境側へ行くともっとひどい天候らしい。幸いなことに、街へは国境と真逆のため、街へ向かうほど天候は良くなるとのこと。

 こんなに雨が降っているならまた後日にすればよかったんじゃないかな? と思ったけど、まだ数日はこの天気が続くからあまり変わらないと教えてくれた。

 公爵家の別邸から少し離れると風も雨も弱くなっおり、窓から外を見るとだいぶ視界がよくなっていた。

 この領地は自然に恵まれているようで緑が多く、畑が一面に広がっていた。果物のようなものがたくさんなっている木もあって、「おいしそう」なんてついつい呟いてしまう。

 のどかでいいなぁ、なんて思っていると街が見えてきた。

「見えるかい? あそこが目的の街だよ」

 見えてきた街は、良き古き街並みといった感じだろうか。それだけでわくわくしてしまう。

 街に入る頃には雨はやんでいて、曇り空となっていた。人が多く住むこの辺りまで嵐の影響はないみたいでよかった。

 多くの人が行き交い、楽しそうに笑っている。そこにはいろいろなお店が並んでいて屋台みたいに店先で販売している店もあった。

 この世界でも屋台って言うのかな?
 いいなぁ、見てみたいな……。

「ごめんなさいね、外に出ていろいろ見てみたいでしょう? でもまだフィーちゃんの事情が分からないから人目には触れない方がいいと思うから……」

 セレスさんは申し訳なさそうに言った。その表情には悲しみが見てとれた。
 セレスさんにこんな顔をさせてはだめだ。

「全然大丈夫です、また次の機会に楽しみはとっておきます!」

 気を付けなければ。セレスさんたちに気を遣わせてしまう。

「周りを気にせず出掛けられるようになったらまた来ましょうね。どこだって連れて行ってあげるわ」

「ありがとうございます、楽しみです」

 そのまま教会へと着き、馬車から降りた。

 念のためにと、セレスさんから渡されたショールを頭からかぶり教会へと入る。 

 裏口っぽいところだし、なんだかお忍びの令嬢みたいだな。

 教会の中へ入ると一人の男性が案内をしてくれた。そこは部屋、というよりは礼拝堂のようなところに見えた。

 奥には祭壇のようなものがある。

「ここはどういうところなんでしょうか?」

「ここは礼拝堂だよ。この国の女神様への祈りと感謝を捧げるんだ。あそこにある祭壇が見えるかい? あれがステータスを確認するための魔石なんだよ」

 私の知っている祭壇とは意味合いが違うようだ。世界が違うのだからまぁ、そうなのかな?

 それにしてもあれが魔石? 魔石にしては大きい。と言ってもまだトイレでしか見たことないけれど。もはや石ばんといってもいいんじゃないかな。

 ふと周りをきょろきょろと見渡した。ここには私たち以外に誰もいなかった。案内をしてくれた男性もいつの間にかいなくなっている。

 裏口のようなところから入ったので、てっきり小さな部屋でこっそり確認するのかなと思っていた。

「他に人はいないんですね」

「事情が事情だからね。ちょっと権力を、んんっ。話をしてこの時間だけ立ち入り禁止にしてもらったんだ。街の人に迷惑はかけられないからこの礼拝堂を短時間だけね」

 ヴィンセントさん、権力って言いかけませんでした? 

 セレスさんがにっこりとヴィンセントさんを見つめ、ヴィンセントさんは小さく"こほん"と咳払いをした。
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