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※ ハロウィンナイトで融け合って 10

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 もっと気持ちよくなりたい。典子ちゃんを気持ちよくしたい。

 そう思って早く腰を動かしていたけど、典子ちゃんのエッチすぎる嬌声を聞いていたら、訳もなく怖くなってきた。
 もし、身体の奥底からこみ上げてくる射精感に身を委ねて、彼女の中に出してしまったら……。
 その途端に夢から覚めて、横たわっているのがラブホのベッドでなく、実は僕の自宅のベッドで、今夜のことはただの寝ぼけた妄想だった、となるのが怖い。
 快感の強さと深さはオナニーと比べ物にならない。味わったことのない快感で意識が弾け飛びそうなので、そんな恐怖にかられてしまう。
 まだ、出したくない。こんな幸せな夢なら、覚めてほしくない。だんだん腰のスピードが落ちてくる。
 腰の動きで何かを感じたのか、抱きしめていた腕をほどき、僕の顔を覗き込む典子ちゃん。
 視線があった。とろけてぼやけていた瞳の焦点がスーッと定まって、僕の瞳の奥をじっと見つめると、優しい笑みを浮かべて、ギューッと抱きしめてくれた。

「……だいじょーぶ……だよ」

 典子ちゃんは僕の耳元で囁き、背中をポンポンと軽く叩く。ハッとなった。
 そうだ、たとえ夢だっていい。今は大切な人にたくさん気持ちよくなってもらうんじゃなかったのか。妙な考えを振り払うかのように頭を振って、ただ、恋人の一心に思って腰をふる。

 ずぶっずぶっ、すずっ、すずっ、ずちゅずちゅずちゅっ、すぶぶっ。

「あんあんあん!! ……んくぅぅぅぅっ ……ふぅぅぅっ、んぁぁぁぁっ!!……もっと、もっと動いてぇっ! ……あぅぅぅっ、ひあぁぁぁっ……いっぱい感じるぅっ……」

 彼女の栗色の髪から立ち上る甘い香りと熱気、すぐそこから聞こえてくる可愛く艷やかな喘ぎ声。そして、汗まみれで密着しているマシュマロおっぱいや暖かい子宮。
 今、五感に感じている典子ちゃんは本物だ。夢や妄想なんかじゃない。
 僕が勝手に余計なことを考えてしまったせいで、腰のペースが上がらないのにもかかわらず、典子ちゃんは僕が彼女に気を使っているように感じたのか、「頑張って」と言わんばかりに僕の腰に絡めた足をグラインドに合わせて、ギュッ、ギュッ、と強く締め付ける。

「し……慎一くん……え、遠慮しなくていいの……いっぱい動いてほしい……一緒にいっぱい、気持ちよくなろうよ……あぅぅっ、くぅうううっ!!」

 耳元で囁く恋人の言葉だけで、射精感と快感が一気に昂まる。
 嬉しくなって、思わず唇を吸って舌を中に侵入させると、待ち受けていたかのように彼女の舌が結びつき、融け合うようにくちゅくちゅと唾液を絡め合い、そして口の中に籠もっているお互いの熱い吐息を共有する。
 僕が迷っていたおかげで、浅くなっていたグラインドは、腰に絡まった足の締め付けという典子ちゃんの助けを受けて、深く早いグラインドに変わり、ベッドがギシギシときしんで激しく揺れる。
 僕のチ◯コが今までにないくらい、膨張しているのが自分でわかる。充血しすぎて海綿体が悲鳴を上げているように熱く痛い。挿入するたびに一回り大きくなっていくような感覚に陥り、差し込んだ腕で典子ちゃんをギュッと抱きしめると、彼女もギュッと抱きしめ返してくれる。

 ぱちゅぱちゅぱちゅ、ずぶちゅっ、すずっ、ぱちゅぱちゅん。

 出すまいとあらがっていた僕の意思も、そろそろ限界に近くなってきた。心の奥底でゴォゴォと燃え上がる赤紫の業火は、さらに燃焼の勢いを増し、射精したくてたまらなくなる。

「あはぁぁぁぁっ!!!……ひゃううううっ!!!……いいっ……んぁぁぁっ!!!……し、慎一くんっ!!!!……ああっ!!!」

「の……典子ちゃん……僕……で、出そうだ……うううううっ」

 返事はなかったけど、背中と腰がギューッと力いっぱい抱きしめられて、喘ぎ声がさっきより大きくなったことで、典子ちゃんが何を言いたいか、不思議とはっきり感じ取れる。
 動物になってしまったかのように、腰が自然と早く動いて、射精したいという身体の欲求が制御できないくらい膨らんでいる。

「も……もう出るっ……典子ちゃん、典子ちゃん……うくぅぅぅぅっ!!!」

「わ、私も……あぅぅっ!! ……いっしょ……に……イクっ!! ……イッちゃう!! ……いっぱい、出してぇ……ぐぅぅぅっ!!」

 身体の奥底から熱いものが尿道を伝って立ち上るのが、妙にスローに感じられたと思った瞬間、こみ上げる射精感とともに心の業火がボンっという音とともにぜる。
 僕の精液が一気に放出され、目の前がチカチカとフラッシュして気が遠くなりそうだった。

 ぶびゅっ、ずびゅっ、どぶっ、びゅるるるるるっ。

「き、きたぁぁぁぁっ!! ……慎一くんのっ……私も……はぁぁぁぁっ……イクイクっ!!!!……イ……クぅぅぅぅぅぅっ!! ……んぁぁぁぁぁっ!!」
 
 僕の精液が放出された勢いと熱さを、ゴム越しでも典子ちゃんの子宮は敏感に感じ取り、瞬時に彼女を絶頂に導いた。
 ビクビクと大きく硬直したあと、獣のような息遣いをしながら、魚が跳ね回るかのように痙攣する恋人。おっぱいや舌でイッていた時の表情もじゅうぶんエロかったけど、精液を感じてイッた顔は、今までと比べ物にならないくらい、エロくて満ち足りた表情を浮かべていた。
 はふっはふっと激しく息を弾ませて、彼女は呆然と天井を見上げている。
 脱力した腕は、僕の背中を滑り降りて、ベッドにストンと落ちた。腰を絡め取った足はかろうじてゆるく腰にまとわりつき、グラインドの余韻を確かめるかのように、スリスリしている。
 僕は典子ちゃんと結ばれた嬉しさを、もっと長く味わいたくて、射精した体勢から動けないでいた。チ◯コも本能に任せてドクンドクンと精液を出し続けている。
 もっとも、初めてこんなに腰を動かしたから、発射したあとの身体はウェイトでも付けたかのようにすごく重くて、動きたくても動けないのもあるのだけど。
 絶頂を迎えた体位のまま、彼女の栗色の頭に顔を埋めて、高揚した気持ちを落ち着かせようと深呼吸していると、恋人がチュッと頬をついばみ、力いっぱい抱きしめてくれる。

「ありがとう……慎一くん……」

 その愛らしい声がたまらない。彼女の背中に回していた腕をほどくと、照明が当たっていつもよりツヤツヤした栗色の髪を、指に絡ませて梳くようにゆっくり撫でる。

 初めて大切な恋人と「融け合った悦び」に浸った。

 しばらく身体をくっつけたまま、お互いの余韻が落ち着いてくると、子宮に入っていた僕のチ◯コが次第に小さくなり、コンドームがゆるくなってきた。名残惜しいけど、ゆっくりと身体を離して、結合していた場所から僕自身を引き抜く。
 んんっ、というエッチな吐息とともに、伸びきったコンドームと、ぬるぬるのアソコが典子ちゃんから抜け出てきた。身体中の精を放出した感覚だったのを裏付けるような、精液溜めをぶち破るような大量の白濁液。
 身体を起こした彼女が、目を丸くしてコンドームを見つめ、息を呑んだ。

「すごく……いっぱい出たね……良かった……」

「うん……典子ちゃんだからだと……思う」

 ムーディな調光から明るさをアップさせて、ティッシュでコンドームを丸めたり、ぬめりを拭いたりしていると、高揚した気分が徐々に落ち着いてきた。
 調光パネルに表示されている残りの利用時間が30分を切っていて、現実に引き戻される。お互いシャワーを浴びて、典子ちゃんがお化粧を直したら、そそくさとラブホを出ていかなければ。

 でも、その前に、言いたいことがあった。

 ソワソワし始めた彼女の肩を叩く。
 不思議そうな顔をして振り向いて僕の表情を見ると、たちまち不安げに眉を寄せ、掛け布団を胸元に引き寄せながら、僕の言葉を待つ。
 深呼吸してから、僕は噛みしめるように言葉を絞り出した。

「あの……あのさ……順番が違ってるけど、言わなきゃと思ったことがあって……き、聞いてほしい」

 目の前の恋人は、不安な表情のまま、小首を傾げる。僕はなぜか、正座をして彼女に向き合う。

「僕は……典子ちゃんが描いていた彼氏のイメージとは、程遠いかもしれない……もしかしたら、僕じゃ叶えられないこともあると思う……でも、でも……」

 掛け布団をギュッと握りしめている。目は僕の瞳をまっすぐ捉え、外す素振りは全くない。

「僕は僕が出来る限り、そばにいて、手を貸してあげたいんだ……後悔させないように、頑張る……だから、これからも、こうして……」

 言い終わらないうちに、枕が飛んできて、僕の膝にポスンと落ちた。
 うつむき加減で掛け布団をギュッと引き寄せる典子ちゃん。

「……大っ嫌い」

 振り絞るような彼女の声に押し黙った。
 顔をあげると、キッとした表情で、顔をピンク色に染めながら、僕をパシパシと叩き始めた。
 掛け布団がはだけて、可愛いおっぱいがあらわになって、ふよふよと揺れる。
 そして、叩きながら僕ににじり寄り、ギューッと抱きしめて、熱烈なキスをするのだった。

 答えは、イエスだった。
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