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第7章 〜 駆け出す恋人たち 〜

※ 第7章 〜 駆け出す恋人たち 2 〜

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 隼人から口移しで飲み下したワインは、清美の胃でポッと燃えた。飲んでいるワインは同じなのに、酔いが違うのはなぜだろう。
 恋人と唇を重ねて、しだいに鼓動が早くなる。彼が週末に自宅に来る様になって、だいぶ経つ。
 しかし、キスしてからお互い裸になるまでは、毎回ドキドキする清美であった。

 ちゅちゅっ、ちゅむっ、んちゅっ。

「んんっ……んっ……うぅんっ……はぁ……」

 ついばむようなキスのあと、不意に隼人が下唇をくわえてきた。そして、左右に少しずつ引っ張り、また咥え直すと、清美の全身はゾワゾワと震えた。
 舌を絡める前の、この唇を咥えられるキスで興奮が高まる。最近では不安や落ち着きたい時に指で軽くつまんで、隼人との甘いひとときを思い出すこともある。
 お返しに隼人の唇を咥えると、彼の身体がピクッと反応して深い湿った吐息が漏れた。清美は愛情を伝えようと、身をよじって更に唇を重ねた。
 再び唇を閉じて押し当てるようにキスすると、恋人の舌が上唇と下唇を撫でる。清美は自分の舌で、すぐさま隼人の舌を絡め取って口の中に引っ張り込んだ。
 粘り気が出てきた唾液をまとった舌が、クチュクチュと音を立てて絡み合う。

 より恋人に密着したいと身体を寄せた時、デスクに置かれた清美の真新しいIDカード入れが目に入った。
 隼人と朝日オアシスの協力で実現した、小見山高校オリジナルのビジネス授業。この企画が『小見山地区創業支援センター』のトップ就任のきっかけだった。
 放課後に居場所の無い生徒たちの受け皿になれば、という思いでスタートした企画であった。このような生徒たちは、多くは卒業後に就職する。
 しかし、学校に居場所がない生徒がいきなり社会に出るので、会社に馴染めず、就職後の職場定着が進まないのが小見山高校の課題であった。
 そのため、生徒たちが社会に出て戸惑わないよう、民間企業で働いている人物から『仕事で必要なことは何か』『一般的なビジネスの仕組み』『社会に出る前に覚えておいた方が良いこと』といったことを学んでもらい、仕事を通じて自信をつけ、居場所を作っていければ、という清美の願いも込められた企画であった。
 試験的な企画だったので、手探りの日々だった。
 しかも渋る校長を説得して始めたことなので、最初の頃はひっそりとしていて、自身が担当する購買部の部員たちくらいしか参加者がいなかった。
 隼人を講師として招いたものの、彼に教師経験はない。
 当然授業運びもぎこちなく戸惑っていた。出来る限り彼が不安ならないよう、授業時間中は笑顔で見ていたが、内心は授業が成立するか、毎回心配でたまらなかった。清美に子供はいないけど、保護者が学校行事に参加した時の気持ちを痛感したものである。
 当の隼人は自分を招いた清美の想いに応えようと、仕事のかたわら、懸命に準備して授業に取り組んだ。その姿勢が伝わったのか、しだいに生徒たちから『戸塚先生』と呼ばれるようになり、今では堂々と教壇に立っている。
 たまたま隼人に適性があったのか、最近は先生っぷりも板につき、毎回楽しそうに生徒に語り、脱線しながら伝えることはしっかり伝えている。

 もにゅもにゅっ、と胸を揉まれた感触で、ハッとした。
 ワイシャツ越しにバストが隼人の手のひらに収まり、ゆっくりとこねるように揉みしだかれる。
 火照った彼の手を感じながら、恋人の頬にちゅちゅちゅっ、とキスを返して、彼の愛撫が気持ち良いことを伝える。

「……清美、どうした?」

 ついばむようなキスをしたものの、何かを感じた隼人が顔を覗き込むと、清美は微笑を浮かべて首を振った。
 不思議なめぐり合わせで、こうして恋人同士になった。さらに今後は職場の同僚として一緒に地域の産業を盛り上げることとなったのである。
 異動の辞令をもらって以来、二人でセンターに関して知り得たことを整理してみると、教育委員会と地域企業の思惑が透けて見えてきた。こちらは不思議でも何でも無かった。遅かれ早かれ表面化するであろう、地域の問題を解決しようというものだったのである。 
 センター設立の大きなきっかけは地域大手の飲料商社、テリオスフーズの廃業危機があった。隼人の勤務先である朝日オアシスがM&Aをして、子会社にすることで廃業寸前のこの企業を救済したのである。
 誰も表立って言わないが、テリオスフーズが廃業に至った要因は、強引なコストカットや地域需要の読み間違いということもあるが、何より『後継者を育てられなかった』という事が大きい。
 テリオスフーズを見て、明日は我が身と感じた地域企業の経営者が県の相談窓口に次々と訪れるようになったのだそうだ。
 地域産業の課題として、企業トップの高齢化と後継者不足は県でも幾度か上げていたが、後継者育成には時間と金がかかるので、以前から先送りしていた案件だったのである。
 しかし、この事態を受け、県もようやく重い腰をあげた。地域産業が衰退すれば、様々な面で不利益が生じる。
 第二、第三のテリオスフーズを出さないよう、県と地域企業が中心となって育成機関を作り、地域経済を盛り上げようという目的で設立されたのであった。

(なんか……パズルみたいに収まったな……隼人くんと頑張ってきて、良かった)

 清美は目を閉じて、隼人に身を委ねた。
 乳房を揉まれながら、ひとつ、またひとつ、ワイシャツのボタンが外され、ベージュのキャミソールがあらわになって、さらに鼓動と火照りが高まっていく。
 その下は、お気に入りのブラジャーの一つだ。今日はたくさんの花の刺繍が施された下着を選んでいた。
 ここ半年というもの、週末の朝はクローゼットの下着ボックスを眺めて、いくつかある華やかな下着を迷いながら選ぶのが清美の密やかな楽しみであった。
 合間にキスを受けながら、スルスルとワイシャツやキャミソールが脱がされる。ほう、と隼人からため息が漏れた。

「……隼人くん?」

「なんか、清美が花束抱えているみたいで、素敵だ」

「ありがとう……これ、刺繍が綺麗で、お気に入りなの……あなたと過ごすようになってから……買ったの……んんんっ」

 清美が言葉を言い終わらないうちに、隼人の手が伸び、刺繍をなぞるように指で乳房を愛撫する。
 絶妙な力加減に、思わず身体が仰け反り、喘ぎ声が漏れる。しだいに勃起する乳首とブラジャーが擦れて、ぞわぞわと快感が身体に拡がっていく。
 身を捩ったので、肩紐がスルリと落ち、ぷるんとバストが弾んだ。この感触は隼人と付き合い始める前はなかった。恋をすると胸が大きくなるというウワサは本当らしい。少なくとも、清美に限っては。
 隼人の指先が、柔らかく美乳をほぐしていく。ブラジャーのカップがずれてめくれ、ツンツンに勃起したピンク色の乳首があらわになった。うっと呻いた清美は胸を反らして恋人の愛撫をねだった。

「いっぱい……触って……シャワーいらない……このまま……」

「君の身体、熱いな……いつもより、エッチだ……」

「あううっ……だって、嬉しくて……ふあぁぁ……隼人くんの匂い……安心するぅ」

「俺も……清美の匂い……好きだ……そばで嗅ぐだけで……ムラムラする」

「んんんんっ……私も……キスも、いつもより感じちゃう……はうぅっ!!」

 あらわになった乳首は触られず、乳輪をくるくると触って焦らされる。交互に感じる固い爪の感触と湿って暖かい指先の感触が、快感を加速させる。
 硬化するくらいいきり立った乳首は、これ以上にないくらい鋭敏となり、息や指、ブラジャーが少しでも触れると電撃のような快感が身体に拡がる。
 自分の意思と無関係に身をクネクネと捩って、さらなる愛撫を誘う清美である。
 触られてもないのに、すでに股間は濡れそぼってパンティに粘液が染みている。ドクドクと溢れる愛液は勢いを増してきた。

「隼人くん……もうダメぇ……」

「あぁっ、自分からスカートを……!」

「あなたのせいだよ……スカートまで濡れちゃうくらいなんだよ」

 このまま愛撫を続けられるとビショビショになってしまう。ぴったりとしたタイトスカートをスルリと脱ぎ捨て、華やかな下着姿となった清美は優艶な笑顔で隼人のワイシャツを脱がし始めた。
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