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第2章 〜 蕩(とろ)ける女教師 〜
※ 第 2 章 〜 蕩ける女教師 4 〜
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(口でイッちゃうことなんて、あるんだ……)
清美は自分自身の体に起きた出来事に驚きを隠せなかった。フェラチオで自分も絶頂に達してしまったのだ。
気持ちよくなってもらいたい一心で、隼人の男根を夢中でしゃぶったのは確かだ。
ただ、隼人の喘ぎ声で下腹部が疼き、口に射精された瞬間の、体の芯に痺れるような快感など、今までなかった。
絶頂の余韻で、秘所から牝の蜜がごぼごぼと溢れ出ている。無意識のうちに胸を自分で揉みしだいていた。
「清美ちゃん、気持ちよかった……」
隼人は清美の頭をそっと撫でた。精液を放出し、萎んだ男根をいそいそとしまおうとする。
「ま……待って!」
清美はうわずった声で、隼人の手を掴んだ。
どうしてそんなことをしてしまったか、清美自身もわからない。
ただ、彼が肉棒をしまって、服装を直したら、この濃密な時間は終わり、お互い『取引先の担当者』同士で仕事に戻ることになる。わかりきったことだが、そのことが清美の頭をよぎった瞬間、隼人の手を掴んだのだ。
「き……清美ちゃん? ど、どうしたの?」
隼人が驚くのも無理はない。ここは清美の職場だ。そして、その職場は学校である。ラブホではない。
頭ではわかっているが、清美は自分の中で湧き上がる感情を抑えることが出来なくなってしまった。下腹部がキュンキュンと疼いて仕方ない。このまま隼人を見送っても、自分が悶々とするのは目に見えている。
今、この場にいるのは八重樫先生ではなく、八重樫清美という一人の女性なのだ。そして、目の前には自分を優しく受け止めてくれた、大切にしたい人がいる。
ここを逃したらチャンスはもう、来ないかもしれない。欲情だけでない感情もこみ上げてきた。
隼人の手を力いっぱい握って、精一杯のお願いをする。
「お……お願い……さ……最後まで……して」
「清美ちゃん……大丈夫なのか?」
常識で考えればとてもセックスするような場所ではない。そんなことは清美本人が一番良くわかっている。
しかし、昂りまくった心と体、長い間押さえつけていた性欲、そして、二人きりの鍵のかかった個室という状況が、彼女の理性を吹き飛ばし、淫らなおねだりをさせた。
(今だけでいい。ひとつになりたい……)
清美の蕩けきって潤んでいる瞳は、まっすぐに隼人を見つめる。
ゆっくりとだが、はっきり頷いて、清美は自らスカートをまくり上げダンボールに手をついた。立ちバックの体勢である。ゆらゆらと腰が揺れて、隼人のペニスの挿入を誘っている。
まくり上げた尻から見えるパステルピンクのパンティは、秘所にくっきりとシミを作っており、言葉に出さなくても、彼女が充分に感じていることを物語っている。
「わかった……付き合うよ」
「うん……お願い……疼いてつらいの……」
隼人がゆっくり清美のパンティに手をかけて、丁寧に引き下ろした。
籠もっていた牝の熱気が放出されて、空調から流れる微風が秘所に当たる。冷たい感触で清美の腰はブルブルと震えた。声を押し殺して、愉悦の呻きを上げる。
背後でカチャカチャとベルトを外す音とファスナーが開く音がした。
(おねだりしたのはいいけど、隼人くんのオチ○チン小さくなってたな。大丈夫かな……)
もし、小さかったら、またフェラチオして大きくして挿れてもらうつもりだった。
隼人が義務感から一つになるようなことだけは嫌だった。二人で気持ちよくなりたい。心も繋がりたいのだ。
だが、清美の不安は杞憂に終わった。少し柔らかくなっているが、隼人の男根は再び勃ち始め、熱を帯びた亀頭が彼女の秘口にペタリと触ったからだ。
そして、触られた途端、にゅるんとペニスが侵入して、ずぶずぶと奥に入り込んだ。
一度絶頂を迎えた清美の体は鋭敏になっており、隼人の男根が入り込んだだけなのに、恍惚と快感でめまいを起こしそうだった。
「う、ううっ……清美ちゃんの中、あったかくて気持ちいい」
「ああっ……入ってきたら、おっきくなってきた……嬉しい」
清美の子宮に招かれた隼人のペニスは、愛液を吸い取るかのように、むくむくと膨らみ、やがてカチカチになった。
愉悦のため息をついて、ゆっくりと隼人が腰を動かす。奥に当たる度に清美の体の芯から痺れるような快感が走った。急速に体が火照り、昂ぶっていく。頭が真っ白になりそうだった。
「あっ……ああっ……いいっ……すごいよ……さっきより大きくなってる……」
「ううっ……うっ……清美ちゃんのが絡みついてくる……」
確かに隼人の男根を子宮の肉襞が絡めている感覚があった。
快感のハイ状態なのだろうか。体内の感覚を感じ取るということは今ままでなかった。自らいやらしく腰を振り、淫らな痙攣をさせながら、隼人のペニスを咥えこんで離さない。
後ろから突かれる度に快感が増幅してくる感覚があった。
彼もさっきイッているので、敏感になっているのだろう。猛然としたピストンでなく、ゆっくりとしたリズムで清美の体を味わうようにペニスを出し入れしている。
脇の下から隼人の手が伸びて、ワイシャツ越しに乳房を絶妙な力加減で揉みしだく。
「んっ、んっ……んんんっ……はぅぅっ……」
大きな声を出して、感じたい。
しかし、今、セックスをしているは学校だ、と理性のかけらがストップをかける。もどかしいが、声を押し殺して悶えるしかなかった。
隼人の男根が出し入れされる度に、Gスポットがカリで擦り上げられる。その度に快感の小爆発が起こり、頭が真っ白になる。
「はっ……はぁっ……感じちゃう……くぅぅっ」
「お、俺も……清美ちゃんが……すごい」
ぐちゅっ、ずりゅっ、ずずっ、ずちゅっ、ちゅぱん。
男根が秘所に入っていくたびに固くなっていくのが感じられる。
突き上げられるたびに、昂ぶっていき、痺れるような快感が体の芯を伝ってくる。
乳房を掴んでいる手が震えている。隼人も絶頂が近いのかもしれない。
「は、隼人くん、私、もう……中に出して……今日は大丈夫だから……ああんっ!!!」
「き、清美ちゃん、清美ちゃん……で、出るぞっ……くっ、くぅぅぅぅぅっ!」
隼人が押し殺した声で快感に呻いたと同時に、清美の中に熱い精液が勢いよく拡がり、子宮の奥に当たった。
「ああっ……イクっ、イクぅぅぅぅぅぅっ!!!」
体の奥底から、言葉にできない快感が、弾けた。
囁くような嬌声を上げ、清美が魚が跳ねるようにのけ反ると、隼人が腰を抱きとめて、前に倒れないように支えた。背中に抱きとめてくれた彼を感じ、今まで味わったことのない絶頂が体を駆け抜けた。
びくんびくん、と何度も悦びの痙攣で体を震わせていると、頬を涙が伝っていた。
恥ずかしさや悲しみの涙ではなく、いままで抱えてきた『何か』が溶けた涙なのだろう、と涙をぬぐう清美は感じていた。
清美にとって、しばらくぶりのセックス。余韻に浸って彼女が動けない間、隼人が倉庫の配置を変える。
「時間的にお茶を濁す程度になっちゃうけどね……」
彼にとっては『お茶を濁す程度』だろうが、素人の清美には充分過ぎる転換だった。
勘の鋭い典子が見ても、納得してくれそうな配置と積み上げ方だった。服装を直しながら、テキパキとダンボールを積み上げる隼人を見て、清美の胸の奥に温かいものが拡がっていった。
しばらくして倉庫を出ると、すっかり日が暮れていた。校長先生に挨拶したあと、二人で校舎裏の駐車場まで肩を寄せるように歩く。
「隼人くん……いえ、戸塚さん、今日はありがとうございます」
「清美ちゃ……八重樫先生も、遅い時間までありがとうございます」
営業車に乗り込む隼人がエンジンをスタートさせた時、清美はドアガラスをコツコツと叩いた。不思議そうな顔で隼人が窓を開ける。
「戸塚さん……お願いが2つあります……一つは仕事、一つは個人的」
「なんでしょう……いや、なぁに、と言った方が良いかな」
ニコリと清美は微笑んで、まっすぐに隼人を見つめながらハッキリ言った。
「仕事のお願いは、購買部の生徒……典子ちゃん達に、販売のやり方を教えて欲しいの。就職しても困らないように。もう一つは……もう一回だけでいいから、また会えないかな」
隼人はにっこり微笑み返した。
「両方とも、了解したよ。仕事のお願いは上司に相談してみる。個人的なお願いについては……俺で良ければいつでも。じゃあ、あの目つきの鋭い娘によろしくね」
窓が閉まり、隼人の車が校門を出た。走り去る車に描かれたカモノハシが弾んでいるように見えたのは、駐車場のデコボコのせいだけではないだろう。
清美が職員室に戻ると、他の職員はほとんど残っていなかった。
机に置いてあったスマホに『着信あり 九門佳苗』と表示されている。誰かに呼び止められる前に、スイスイと廊下に出て、スマホを耳に当てる。
「もしもし、佳苗? 出れなくてごめんね。電話もらったみたいだけど。仕事慣れた?」
電話の向こうで、弾んだ声が聞こえてくる。
佳苗は一年前に外資系の銀行から国内のメガバンクに転職していた。半年くらい前に会った時は『全然仕事のやり方が違う』と珍しく悩んでいたようだが、この声の調子では心配ないだろう。
「うん、面倒くさいことはあるけど、問題ないよ。でね、清美、近々会えそうだよ」
「え……どうしたの?」
「そっちの地域の銀行に期間限定で出向することになったの。ちょっとテコ入れみたいなもんで」
期間限定とはいえ、佳苗がこっちに来てくれる。
購買部の生徒や就職を控えた生徒の進路指導など、いろいろアドバイスがもらいやすくなりそうだ。
もちろん、二人で進めている計画も。
「じゃあ、こっち来たら連絡して。同窓会じゃ、佳苗とあんまり話せなかったし」
「そうだね。じゃあ、また連絡するね。……清美、なんか良いことあった? 声、明るいよ」
微笑みながら、首を振る清美。佳苗との付き合いは長くて濃い。
佳苗からは清美の様子は手に取るように分かるのだろう。それは逆のことも言える。
「さすが佳苗ね……あったよ。まだ話せないけどね……」
その後、再会の約束をして、清美は電話を切り、職員室に弾むような足取りで戻っていった。
清美は自分自身の体に起きた出来事に驚きを隠せなかった。フェラチオで自分も絶頂に達してしまったのだ。
気持ちよくなってもらいたい一心で、隼人の男根を夢中でしゃぶったのは確かだ。
ただ、隼人の喘ぎ声で下腹部が疼き、口に射精された瞬間の、体の芯に痺れるような快感など、今までなかった。
絶頂の余韻で、秘所から牝の蜜がごぼごぼと溢れ出ている。無意識のうちに胸を自分で揉みしだいていた。
「清美ちゃん、気持ちよかった……」
隼人は清美の頭をそっと撫でた。精液を放出し、萎んだ男根をいそいそとしまおうとする。
「ま……待って!」
清美はうわずった声で、隼人の手を掴んだ。
どうしてそんなことをしてしまったか、清美自身もわからない。
ただ、彼が肉棒をしまって、服装を直したら、この濃密な時間は終わり、お互い『取引先の担当者』同士で仕事に戻ることになる。わかりきったことだが、そのことが清美の頭をよぎった瞬間、隼人の手を掴んだのだ。
「き……清美ちゃん? ど、どうしたの?」
隼人が驚くのも無理はない。ここは清美の職場だ。そして、その職場は学校である。ラブホではない。
頭ではわかっているが、清美は自分の中で湧き上がる感情を抑えることが出来なくなってしまった。下腹部がキュンキュンと疼いて仕方ない。このまま隼人を見送っても、自分が悶々とするのは目に見えている。
今、この場にいるのは八重樫先生ではなく、八重樫清美という一人の女性なのだ。そして、目の前には自分を優しく受け止めてくれた、大切にしたい人がいる。
ここを逃したらチャンスはもう、来ないかもしれない。欲情だけでない感情もこみ上げてきた。
隼人の手を力いっぱい握って、精一杯のお願いをする。
「お……お願い……さ……最後まで……して」
「清美ちゃん……大丈夫なのか?」
常識で考えればとてもセックスするような場所ではない。そんなことは清美本人が一番良くわかっている。
しかし、昂りまくった心と体、長い間押さえつけていた性欲、そして、二人きりの鍵のかかった個室という状況が、彼女の理性を吹き飛ばし、淫らなおねだりをさせた。
(今だけでいい。ひとつになりたい……)
清美の蕩けきって潤んでいる瞳は、まっすぐに隼人を見つめる。
ゆっくりとだが、はっきり頷いて、清美は自らスカートをまくり上げダンボールに手をついた。立ちバックの体勢である。ゆらゆらと腰が揺れて、隼人のペニスの挿入を誘っている。
まくり上げた尻から見えるパステルピンクのパンティは、秘所にくっきりとシミを作っており、言葉に出さなくても、彼女が充分に感じていることを物語っている。
「わかった……付き合うよ」
「うん……お願い……疼いてつらいの……」
隼人がゆっくり清美のパンティに手をかけて、丁寧に引き下ろした。
籠もっていた牝の熱気が放出されて、空調から流れる微風が秘所に当たる。冷たい感触で清美の腰はブルブルと震えた。声を押し殺して、愉悦の呻きを上げる。
背後でカチャカチャとベルトを外す音とファスナーが開く音がした。
(おねだりしたのはいいけど、隼人くんのオチ○チン小さくなってたな。大丈夫かな……)
もし、小さかったら、またフェラチオして大きくして挿れてもらうつもりだった。
隼人が義務感から一つになるようなことだけは嫌だった。二人で気持ちよくなりたい。心も繋がりたいのだ。
だが、清美の不安は杞憂に終わった。少し柔らかくなっているが、隼人の男根は再び勃ち始め、熱を帯びた亀頭が彼女の秘口にペタリと触ったからだ。
そして、触られた途端、にゅるんとペニスが侵入して、ずぶずぶと奥に入り込んだ。
一度絶頂を迎えた清美の体は鋭敏になっており、隼人の男根が入り込んだだけなのに、恍惚と快感でめまいを起こしそうだった。
「う、ううっ……清美ちゃんの中、あったかくて気持ちいい」
「ああっ……入ってきたら、おっきくなってきた……嬉しい」
清美の子宮に招かれた隼人のペニスは、愛液を吸い取るかのように、むくむくと膨らみ、やがてカチカチになった。
愉悦のため息をついて、ゆっくりと隼人が腰を動かす。奥に当たる度に清美の体の芯から痺れるような快感が走った。急速に体が火照り、昂ぶっていく。頭が真っ白になりそうだった。
「あっ……ああっ……いいっ……すごいよ……さっきより大きくなってる……」
「ううっ……うっ……清美ちゃんのが絡みついてくる……」
確かに隼人の男根を子宮の肉襞が絡めている感覚があった。
快感のハイ状態なのだろうか。体内の感覚を感じ取るということは今ままでなかった。自らいやらしく腰を振り、淫らな痙攣をさせながら、隼人のペニスを咥えこんで離さない。
後ろから突かれる度に快感が増幅してくる感覚があった。
彼もさっきイッているので、敏感になっているのだろう。猛然としたピストンでなく、ゆっくりとしたリズムで清美の体を味わうようにペニスを出し入れしている。
脇の下から隼人の手が伸びて、ワイシャツ越しに乳房を絶妙な力加減で揉みしだく。
「んっ、んっ……んんんっ……はぅぅっ……」
大きな声を出して、感じたい。
しかし、今、セックスをしているは学校だ、と理性のかけらがストップをかける。もどかしいが、声を押し殺して悶えるしかなかった。
隼人の男根が出し入れされる度に、Gスポットがカリで擦り上げられる。その度に快感の小爆発が起こり、頭が真っ白になる。
「はっ……はぁっ……感じちゃう……くぅぅっ」
「お、俺も……清美ちゃんが……すごい」
ぐちゅっ、ずりゅっ、ずずっ、ずちゅっ、ちゅぱん。
男根が秘所に入っていくたびに固くなっていくのが感じられる。
突き上げられるたびに、昂ぶっていき、痺れるような快感が体の芯を伝ってくる。
乳房を掴んでいる手が震えている。隼人も絶頂が近いのかもしれない。
「は、隼人くん、私、もう……中に出して……今日は大丈夫だから……ああんっ!!!」
「き、清美ちゃん、清美ちゃん……で、出るぞっ……くっ、くぅぅぅぅぅっ!」
隼人が押し殺した声で快感に呻いたと同時に、清美の中に熱い精液が勢いよく拡がり、子宮の奥に当たった。
「ああっ……イクっ、イクぅぅぅぅぅぅっ!!!」
体の奥底から、言葉にできない快感が、弾けた。
囁くような嬌声を上げ、清美が魚が跳ねるようにのけ反ると、隼人が腰を抱きとめて、前に倒れないように支えた。背中に抱きとめてくれた彼を感じ、今まで味わったことのない絶頂が体を駆け抜けた。
びくんびくん、と何度も悦びの痙攣で体を震わせていると、頬を涙が伝っていた。
恥ずかしさや悲しみの涙ではなく、いままで抱えてきた『何か』が溶けた涙なのだろう、と涙をぬぐう清美は感じていた。
清美にとって、しばらくぶりのセックス。余韻に浸って彼女が動けない間、隼人が倉庫の配置を変える。
「時間的にお茶を濁す程度になっちゃうけどね……」
彼にとっては『お茶を濁す程度』だろうが、素人の清美には充分過ぎる転換だった。
勘の鋭い典子が見ても、納得してくれそうな配置と積み上げ方だった。服装を直しながら、テキパキとダンボールを積み上げる隼人を見て、清美の胸の奥に温かいものが拡がっていった。
しばらくして倉庫を出ると、すっかり日が暮れていた。校長先生に挨拶したあと、二人で校舎裏の駐車場まで肩を寄せるように歩く。
「隼人くん……いえ、戸塚さん、今日はありがとうございます」
「清美ちゃ……八重樫先生も、遅い時間までありがとうございます」
営業車に乗り込む隼人がエンジンをスタートさせた時、清美はドアガラスをコツコツと叩いた。不思議そうな顔で隼人が窓を開ける。
「戸塚さん……お願いが2つあります……一つは仕事、一つは個人的」
「なんでしょう……いや、なぁに、と言った方が良いかな」
ニコリと清美は微笑んで、まっすぐに隼人を見つめながらハッキリ言った。
「仕事のお願いは、購買部の生徒……典子ちゃん達に、販売のやり方を教えて欲しいの。就職しても困らないように。もう一つは……もう一回だけでいいから、また会えないかな」
隼人はにっこり微笑み返した。
「両方とも、了解したよ。仕事のお願いは上司に相談してみる。個人的なお願いについては……俺で良ければいつでも。じゃあ、あの目つきの鋭い娘によろしくね」
窓が閉まり、隼人の車が校門を出た。走り去る車に描かれたカモノハシが弾んでいるように見えたのは、駐車場のデコボコのせいだけではないだろう。
清美が職員室に戻ると、他の職員はほとんど残っていなかった。
机に置いてあったスマホに『着信あり 九門佳苗』と表示されている。誰かに呼び止められる前に、スイスイと廊下に出て、スマホを耳に当てる。
「もしもし、佳苗? 出れなくてごめんね。電話もらったみたいだけど。仕事慣れた?」
電話の向こうで、弾んだ声が聞こえてくる。
佳苗は一年前に外資系の銀行から国内のメガバンクに転職していた。半年くらい前に会った時は『全然仕事のやり方が違う』と珍しく悩んでいたようだが、この声の調子では心配ないだろう。
「うん、面倒くさいことはあるけど、問題ないよ。でね、清美、近々会えそうだよ」
「え……どうしたの?」
「そっちの地域の銀行に期間限定で出向することになったの。ちょっとテコ入れみたいなもんで」
期間限定とはいえ、佳苗がこっちに来てくれる。
購買部の生徒や就職を控えた生徒の進路指導など、いろいろアドバイスがもらいやすくなりそうだ。
もちろん、二人で進めている計画も。
「じゃあ、こっち来たら連絡して。同窓会じゃ、佳苗とあんまり話せなかったし」
「そうだね。じゃあ、また連絡するね。……清美、なんか良いことあった? 声、明るいよ」
微笑みながら、首を振る清美。佳苗との付き合いは長くて濃い。
佳苗からは清美の様子は手に取るように分かるのだろう。それは逆のことも言える。
「さすが佳苗ね……あったよ。まだ話せないけどね……」
その後、再会の約束をして、清美は電話を切り、職員室に弾むような足取りで戻っていった。
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