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第一章 そぼ降る雨のいとこたち

※第八話

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 あかねの嬌声と二人の荒い息遣い。
 ギシギシとソファの軋む音と翔太の愛撫による粘液のぴちゃぴちゃという音。
 広いラブホの部屋は、火照ったフェロモンと『快楽の音』による言葉のない会話で充満していた。
 翔太の人差し指が膣口を撫でまわす。秘口がひくひくと絶頂の余韻で緩んでいると見るや、中指に添うように侵入してきた。

「ほら、人差し指も入ったよ……いやらしいアソコ」
「ああっ……あううう」

 翔太の二つの指が子宮内を踊るように刺激していく。
 同時に、親指が陰核を柔らかく圧迫する。鋭敏な箇所をいくつも愛撫されたあかねの身体は、うねうねと悶えた。

 ぐぐっ、ぐちゅり。

 膣口に近い箇所を、翔太の二本の指が掻き出すように柔らかく圧迫し、頭の奥で快感電流の火花が散る。

「んあぁぁっ!  いやぁっ、そこっ、気持ちいい……」
「うん、あかねぇちゃんの感じるところ、指が覚えてるからね……」

 (お膣内なかに指を入れてもらいながら、親指でクリをいじられて感じたの、いつだっけ……)

 あかねは波のように拡がる快感に浸りながら、ふと考えた。
 確か自分の20歳のお祝いを翔太にしてもらって、そのまま勢いでセックスしたときだった、はずだ。
 それまでにない快感電流が身体を巡り、幸福感で心身が満たされたことを昨日のことのように覚えている。

 (あの時は、もう、毎日のようにセックスしてたな)

 二人が関係を持ったのは、高校三年の秋。ちょうど今くらいの季節だった。
 入学した時から気になっていた同学年の男子に、あかねが手ひどくフラれ、翔太に慰めてもらった勢いで結ばれた。
 小さいころから「あかねぇちゃん」「翔ちゃん」とじゃれあう仲であったし、思春期にお互いを意識していた。
 あかねの失恋があってもなくても、いずれ結ばれていただろうことは、容易に想像できる。
 しかし、いくら心を通わせていても、近すぎる血縁同士の交際は、お互いの両親が認めるはずもなかった。

 若い男女の恋ごころは、障害が大きいほど燃え上がる。

 親族に隠れて、二人はお互いのをひそやかに育てながら、今もこうして関係は続いている。
 、翔太は高校一年で、子どもっぽさが残る顔立ちだった。
 あどけなさが残る高校生の翔太の顔と、目の前の翔太の顔が重なったとたん、下腹部から熱い快感が疾駆り、思わずのけ反る。

 ずにゅっ。くちゅり。にちゃっ。

「んあっ!!  ……翔ちゃんっ、翔ちゃ……んむぅっ!!」

 甘美な思い出は、官能的刺激に割り込まれて一瞬にして霧散してしまった。
 興奮して火照った従弟の吐息を間近に感じたとたん、あえぐ口をキスでふさがれる。

 ぷちゅっ、ちゅぱっ。ちゅちゅっ。

 差し込まれた翔太の舌が、あかねの口腔内を暴れまわり、舌を絡めとられた。
 たわわな乳房は柔らかく揉みしだかれ、カチカチに勃起した乳首を指でクリクリと弄ばれる。
 そして陰核は、粘液まみれの指に蹂躙され、膣内は翔太の指が動き回り、快感スイッチを刺激して回っている。
 唇、乳房、陰核、膣。淫靡な刺激対して鋭敏となった四つの部位は、翔太の狙いすましたような愛撫を受けて、快感電流を一斉に発した。
 子宮が熱く燃え上がるリズムに合わせて腰がさざ波打ち、全身が淫らに悶えうねる。

 ちゅぶっ、ちゅちゅちゅっ、はふっ。
 くにっ、くにくにっ。
 ぐちゅっ、じゅぶぶぶっ、にちゅにちゅっ。

「……っ!! ……っっっ!! ……ーっ!!」

 (いやぁ……敏感なところをそんなにされちゃ……おかしくなっちゃうよ)

 まだ、部屋に入ってそれほど立っていないというのに、頭が靄がかかったように快感でいっぱいになる。
 好きな従弟の的確な愛撫なのだ。猛スピードで快感が昂ぶる。
 バラバラだった快感が、しだいにあかねの中で一つのリズムとしてまとまり、大きなうねりとなって身体中に駆け巡る。

 ちゅっ、ちゅちゅちゅっ、れろっ。
 にちゅにちゅにちゅっ、ぬぬっ。
 くちゅくちゅくちゅっ、ずぷちゅっ。

「いやぁっ! ……っ、っっっ!」

 足先からビリビリと快楽の痺れが走り、膣内で弾けると、身体が跳ね上がった。
 ぐっと息が詰まった直後に、ひくひくと身体が痙攣し、腰が別の生き物であるかのようにバウンドする。

「はっ……はっ……はっ……はあぁぁっ」
「あかねぇちゃん、ダメだよ、黙ってイッちゃ」
「だ……だって、いつもより感じちゃうんだもん……んうぅっ!」
「そうだよな、すごいひくひくしてるよ、アソコ」
「んんっ……わかってる……すごく欲しかったんだもん」
「ひくひくしながら、僕の指が締め上げられてる」

 視線が定まらないあかねは、満足と安堵が混じったような従弟の顔をぼんやりと眺めた。

 (私、こんなにいやらしかったかな……?)

 何日も前から欲していた翔太の愛撫であった。
 翔太に会うの待ち遠しく、今朝は子宮が疼いて、身体が火照っていた。
 ミーティングに同席していた同僚から、発熱の心配もされたが、本当のことなど言えるわけはない。
 待ちわびていた分、従弟の愛撫はいつもより快楽中枢を刺激したのは確かだ。
 ただ、それを差し引いても、自分はなんといやらしいのだろうと思う。
 従弟に四か所同時に愛撫され、あられもない嬌声を上げて悶絶した挙句、「イク」とも言わずに絶頂してしまった。

 (でも、こうされると、気持ちよくて自由を感じるのよね)

『好きな人に愛撫されて感じている自分』を改めて認識して、翔太との世界に没頭する。
 仕事や夫との生活から解き放たれ、ずぶずぶと愛欲の湖に沈んて行く感覚。翔太とセックスするとき、あかねが味わう満ち足りた感覚だ。

「あふぅっ……んんんっ……いつもよりずっと気持ちいい」
「そうか……よかった」
「ねぇ……翔ちゃん」
「何? ……ううっ!」

 びくり、と翔太の身体が反応した。
 あかねがにやけながら、従弟の男根を撫で上げたのである。
 盛り上がったボクサーブリーフは先走った粘液で湿っていて、熱く脈動していた。

「翔ちゃん、バスルーム行こうよ、キレイキレイしてあげる」

 翔太はあかねの身体を堪能したのだろうが、あかねは翔太の身体を味わっていないのだ。
 余韻が残る淫体を起こすと、あかねは従弟の手を包み、艶やかな笑みを浮かべた。
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