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本編
堕ちたその先は…sideアティ王女
しおりを挟む強制帰国させられた私は帰国して直ぐにお父様に呼ばれ謁見室へ向かった。
謁見室の扉が開かれ中へ入るとお父様が私に向かって怒鳴りつけてきた。
「よくもやってくれたな!!!」
バチンっ
「きゃっ!!!な、なぜ…お父…様っ」
叩かれた頬がジンジンと痛みと熱を帯び始める。いつも優しく穏やかでわがままを言っても「可愛い可愛い」と甘やかしてくれていたお父様が鬼の形相で私を睨みつけている。
そんな…嘘よ…お父様が私に手をあげるなんて…
叩かれた頬を抑えながらそんなことを考え涙目でお父様を見つめていると、お父様は眉間に皺を寄せたまま大きなため息をついて話し始める。
「お前がこんなに愚か者だとは思わなかった…育て方を間違えたようだ。お前の行いのせいで友好的だった隣国との関係は悪化し、両国で進めていた計画が水の泡となった」
「わ…わたしっ…私は何も悪くないのです!」
「嘘をつくでないっ!!お前の行いは全て私まで報告が上がっている。かの国で「黒」は尊い色であることは一般市民でも知っている事だぞ!そしてその色を持つ者は大切にされ国に護られる。…小さい頃からお前には優秀な教師を付けていたはずだが一体何を勉強していたんだ」
「そ、それは…」
「それに私はお前に注意の手紙を送ったはずだ。なのに反省もせず再び「黒の君」に対して罵詈雑言を浴びせ傷つけるとは何事かっ!!」
「ち、違うのです!私はレオン様のためを思って…!」
必死に言い訳をするがお父様の冷たい視線に貫かれ言葉が詰まってしまう。
「もうよい…今をもってお前を王族の籍から外す。そして北の辺境伯へ嫁がせる。」
「なっ!?お父様何を仰っているんですか!?北の辺境伯とはあの醜い男の事ですか!?嫌です!絶対に嫌!!許してお父様!!お願い!!!」
「宰相…そういう事だ。あとは頼むぞ」
「かしこまりました」
私は死に物狂いで懇願するがお父様は一切顔色を変えず宰相に言葉をかけスタスタと謁見室を出ていく。
お父様を追いかけようとするが騎士が行く手を阻む。
「そこをどきなさい!!私は王女なのよ!!」
「いいえ、もう貴方は王族ではありません。」
宰相の冷めた声が聞こえ振り向くとそこにはいつの間に入ってきたのか北の辺境伯がいた。
でっぷりと張り出たお腹に短い脚。薄い頭にギトギトな汗を垂れ流しながらニヤニヤといやらしい視線を私に向ける。
「まさかアティ様が私の伴侶として嫁いできてくださるとは…ぶひひっ…嬉しいですなぁ」
「いや…いやよ…近寄らないでっ!」
ジリジリと近寄る辺境伯から逃げるように後退るが騎士と言う壁にぶつかり阻まれる。
「さぁアティ様…旦那となる私の元へおいで…ぶひひっこれからずっと可愛がってあげますよ」
「いやっ!離して!!いやぁあああああっ」
私は辺境伯のギトギトな手で捕まれズルズルと引きずられるように連行された。
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