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本編
帰るべき場所
しおりを挟む~アサヒが扉をくぐる前~
「はぁ~食べた食べた!凄く美味しかったぁ…」
はふぅ…と息を吐きぱんぱんになったお腹をさする。そしてみんなと楽しく食べてお腹いっぱいなったところで改めて自己紹介をした
「よし!お腹もいっぱいになって落ち着いたから自己紹介するね。僕の名前は旭。みんなの名前も教えてくれる?」
僕が聞くとみんなは順番に名前を教えてくれた。
「俺は火を司る精霊 イグニス~」
「僕は水を司る精霊 アクア~」
「私は風を司る精霊 アウラ~」
「僕は雷を司る精霊 フルメン~」
「私は土を司る精霊 テラ~」
「私は光を司る精霊 ルクス~」
「俺は闇を司る精霊 テネブレ~」
「教えてくれてありがとう」
なるほど…髪色と属性がリンクしてるんだね…よし、なんとか覚えられそうだ。ひとりでうんうん頷きながらみんなの頭を撫でる。そしてフェンリンに目を向けて自己紹介を促すとフェンリルは軽く横に首を振り話し出す。
「我に名前は無い。アサヒがつけてくれぬか?」
「僕でいいの?」
「なんども言わせるな。アサヒがいいのだ」
そう言ってぺろんと僕のほっぺたを優しく舐める。
僕はなんだか嬉し恥ずかしくなってフェンリルに抱きつき、もふもふを堪能しながらフェンリルの名前を考える。
フェンリルだから…フェル?…いや安直すぎるか…うーん…悩むなぁ~…
「今すぐつけろとは言わん。ゆっくり考えてくれ」
悩んでる僕を見かねてフェンリルは優しく言う。
「うん、ありがとう。じっくり考える」
そう言ってその日はみんなと楽しく素敵な日を過ごした。
それから数日後…
結局名前はフェルにした。安直だけど気に入ってたから。本人も嬉しそうだったしいいかなって…
「…はっ!!この空間居心地よすぎて帰ること忘れてた!!」
ふと何かを忘れていることに気づきレオンさんの元へ帰ることを思い出した。
「どうしようレオンさん絶対心配してる…みんなここからの帰り方知ってる?」
あわわと慌てる僕を不思議そうにみつめるみんな。
「なんで帰るの~?」
「ここにいればいいじゃん~」
「誰もアサヒのこと傷つけないよ~」
確かに、ここにいれば僕が傷つくことは無いだろう。でも僕は帰りたい…大切な人の元へ…レオンさんの隣に。
「…僕には大切な人がいる。傷ついてもその人の隣にいたいんだ…愛してるから」
微笑みながらみんなに僕の気持ちを伝えるとみんなはにこにこ笑顔で頷いてくれた。
「アサヒいい笑顔~」
「アサヒが嬉しいと僕たちも嬉しい~」
「ぽかぽかする~」
「俺もアサヒ大好き~」
「私も~」
「僕も~」
「俺も~」
にっこにこ笑顔でむぎゅむぎゅと抱きついてくるみんなに僕もまとめて抱きしめ返す。
「ありがとう!僕もみんなが大好きだよ」
そんなやり取りをみていたフェルがなにやら呪文を唱えると瞬く間に光り輝く白い扉が目の前に現れる。
「わぁ~…綺麗な扉…」
突然の扉の登場でびっくりしながら思ったままの感想を述べているとフェルから呆れたような笑いが聞こえた。
「ははっ相変わらずアサヒは面白いな…行きたい場所を願いながらこの扉をくぐればその場所に行ける。さぁ願え…アサヒの帰りを待つ者の元へ」
フェルに促されるがまま扉の前に立ち僕は帰る場所を思い浮かべながら扉を開き1歩足を踏み出す。
帰る場所…それはもちろんレオンさんの隣に
吸い込まれるように扉へ入るとサァーと景色が一変しどこかの部屋に繋がった。その先には少しやつれた顔をしたレオンさんがポロポロとな涙を流しながら僕を見つめていた。
その光景を見た僕は無我夢中に走り出し泣いているレオンさんに抱きついた。
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