異世界に落っこちたら溺愛された

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本編

そっくりさん

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「君がアサヒ君だな!!」

「うわぁっ!」


そういって突然僕は目の前の人物に抱きしめられた。



遡ること数時間前…

王都に帰ってきた僕たちは第1聖騎士団詰所に来ていた。理由は長期休暇の間に溜まったレオンさんの確認が必要な書類を処理するため。

本当はレオンさん1人で行くはずだったんだけど僕と離れたくないとレオンさんは駄々をこねて無理やり僕を詰所まで連れてきた。

セバスさんと勉強する予定だったけどそんなに急いでする勉強内容でもなかったし、僕もレオンさんと一緒にいたかったから喜んでついて行った。

詰所に着いたら僕たちに気づいた騎士さん達がわらわらと集まってきて立派な肉壁に囲まれびっくりしてしまった。


「アサヒ様お久しぶりです!」

「今日も麗しいです!」

「騎士団詰所に天使が舞い降りた…!」

「あぁ…癒しだ…!」


なんかよくわかんない事言ってる人もいるけど…大丈夫?僕が天使に見える…?働きすぎておかしくなっちゃった?


「皆さんお久しぶりです…僕、天使じゃないですけど…大丈夫ですか?」


背の低い僕は背の高い騎士さんたちを必然的に上目遣いで見上げてこてんっと首を傾げながら挨拶をする。

声をかけた途端、騎士さんたちが一斉に目を見開き顔を赤く染め崩れ落ちた。中には鼻血を出している人、脚の間を手で抑えて前かがみになっている人もいる。

騎士さんたちの突然の事態に僕はパニックになっておろおろしてしまう。助けを求めるために涙目になりながらレオンさんの逞しい腕に抱きつく。


「えっ!?ど、どうしよう…!騎士さんたちがっ…レオンさんっ!」

「落ち着けアサヒ…こいつらは放っておいて大丈夫だ」


慌てる僕を落ち着かせるようにうっとりする優しい声で僕のほっぺたを撫でてくれる。


んっ…くすぐったいけど…気持ちい。


撫でられて蕩ける僕のほっぺたをむにむにしながらレオンさんは愛おしそうに笑いかける。


「落ち着いたか?…さぁ、執務室へ行こう」

「ふぁい…」


レオンさんは僕をさっと抱き上げ蹲る騎士さんたちを気にする素振りもなくスタスタと歩き出し執務室へ向かった。



執務室へ着いたら机の上には山積みになった書類がありレオンさんは眉をひそめる。

僕を柔らかいソファに座らせ頭を撫でながらはぁ…と小さくため息をこぼして椅子に座り山積みになった書類を捌いてく。

僕も持ってきていたカバンから勉強道具を取り出しセバスさんにだされた課題を進める。

しばらくしてレオンさんが書類の不備を見つけダルイズさんに確認してくると言って部屋を出た。

レオンさんが部屋を出た後も僕は黙々と課題を進めていると勢いよく執務室の扉が開けられた。僕はびっくりしながら顔を向けると…そこには何となくレオンさんに似ている男の人が驚きながらこちらを見て立ち尽くしていた。

似ていると言っても双子とかそういうんじゃなくていつものレオンさんを野性味溢れたワイルドにした感じ。

お互いに驚くこと数秒…その沈黙を破ったのはレオンさん似の男の人だった。

服装からして騎士団関係者だろうなんて考えていたらその人におもむろに僕に近ずき抱きしめた。


「君がアサヒ君だな!!」

「うわぁっ!」


早業すぎて僕は何が起こったのか理解が追いつかなかった。一瞬のうちに近づかれ抱きしめられていた。


ふぁっ!?な、何が起こったの…?…しかも僕の名前知ってるっ…!


いまだ僕を抱きしめて離さないそっくりさんは「可愛い可愛い」と連呼しながらむぎゅむぎゅする。


「あ、あの…どちら様で…」


とりあえず悪い人ではなさそうと判断して名前を聞こうと声を出したその時ドタバタともの凄い足音が聞こえたと思ったらバタンっと執務室の扉が開けられた。


「ぴゃっ!」


再び僕は驚いて変な声を上げながら扉を見るとそこには鬼の形相のレオンが息を切らしながら駆け寄り僕をそっくりさんからひっぺがし抱き抱える。


「フェリクス!アサヒに何をしているっ!!」


レオンさんはそういってそっくりさん…フェリクスさんを睨みつける。

怒り心頭なレオンさんをものともせずフィリクスさんは飄々と笑顔で答えた。


「アサヒ君に挨拶していただけだよ兄上」


あにうえ…兄上!?…そっくりさんってレオンさんの弟さんだったの!?…そうかだから似ていたんだ


僕は1人なっとくしてレオンさんの腕の中でうんうん頷いた。



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