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本編

国王陛下に謁見する

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 ︎レオンさんと思いが通じあって数日が過ぎいよいよ謁見が明日に迫っている。この3日間はレオンさんとセバスさんに礼儀作法を朝から晩まで教えて貰っていた。ある程度様になってきて2人から合格がもらえ今は明日に備えてゆっくり休んでいたらコンコンと扉をノックしてレオンさんの「入れ」の言葉でセバスさんが入ってくる。





「旦那様、ケビン様がいらっしゃいました。応接室にてお待ちになってもらっています。」

「おぉ!アサヒの正装が出来たか」

「わぁ!楽しみ~」



服の詳細は2人に任せていたのでどんなデザインになったのか楽しみでるんるんでケリーちゃんが待っている応接室に足を運ぶ。




「ケリーちゃん!」

「お久しぶりねアサヒちゃん!」



今日も可愛いわ♡と僕に抱きついてくるがレオンさんがすぐに僕とケリーちゃんを離し僕を抱きしめる。




「近い!アサヒを抱きしめていいのは俺だけだ!」


「んもぉケチね!!ちょっとくらいいいじゃない!!…って【抱きしめていいのは俺だけ】?…あらぁ♡ふむふむ…なるほどねぇ♡」




むふふ♡と笑いケリーちゃんはなにか含みのある言い方でにやにやして僕たちを見つめてくる。



あ、これ多分バレた…



レオンさんはいまだにケリーちゃんを警戒して僕を抱きしめている。そしてそれを見てニヤついているケリーちゃん…僕は恥ずかしくて顔を真っ赤にする



誰かこの状況どうにかしてぇ…



うわぁああっと心の中で叫び助けを求めていたら



「旦那様、ケビン様…アサヒ様の正装姿を見なくてよろしいのですか?」




セバスさんの声で我に返ったのか2人揃って「「見るに決まっている!(わ!)」」とハモった。



うるうるした目でセバスさんを見ると微笑んで頷いてくれていた。




ありがとぉセバスさん…




心の中で感謝し僕もセバスさんに頷く。




そこからの展開は早かった…
隣の部屋で試着しお披露目すると皆から「天使のように可愛い」「最高に素敵だわ!」「とてもお似合いです」と褒め言葉の嵐でちょっと照れちゃった。



制服は黒地に銀の刺繍が入っていて所々に碧色がアクセントで入っていてとてもかっこいい。



この銀色レオンさんの髪色みたい…碧色も素敵だなぁ




「ケリーちゃん素敵な服をありがとうございます!とても気に入りました!」

「うふふ♡いいのよ!アタシもこんなに素敵な服を作ることが出来てとっても嬉しいわ♡」

「この銀色の刺繍は黒に合っていて好きです!レオンさんの髪色みたい!」

「「「!!」」」



あれ、みんな固まっちゃった…なんか変なこと言ったかな…?



「そういえばアサヒは天使であり小悪魔でもあった…」

「忘れてたわ…アサヒちゃんは天然無自覚ということを…」

「…アサヒ様」



どうしたの?と聞いても3人はなんでもないと言って話が終わった。






そして日付は変わり謁見の日。レオンさんと馬車に乗り登城する。




さぁ、いよいよ謁見だ…緊張してきた



謁見前の待機室に案内され緊張しすぎてぷるぷるしているとレオンさんが優しく頬を撫でキスしてくれる。軽いキスからだんだん激しくなりレオンさんの胸板をぽかぽか叩くとにやりとレオンさんが笑う。




「ほら、もう緊張してないだろう?」

「もぉ!他に違うやり方なかったんですか!?」




確かに緊張は収まったけど違う意味で心臓がドッキンドッキンだよ…



「さぁ、そろそろ呼ばれる。大丈夫俺がいる」

「はい!」




コンコンと扉をノックする音が聞こえると騎士の人が入ってきて「謁見の間まで移動をお願いします」と言って僕たちを道案内してくれる。



謁見の間の扉前で警備をしている騎士が声を上げる。



「第1聖騎士団団長 レオン・ニルス様とお連れ様が到着致しました!」

「入れ」



ガチャリと騎士さん2人が観音開きの大きな扉を開ける。中は赤い絨毯が真っ直ぐにのび少し階段を登った所にある豪華な椅子まで続いている。王冠をかぶった男の人の隣に同じ年代の男性が椅子を挟んで左右に2人並んでいる。1人は文官さんみたいな格好でモノクルをかけている…国王陛下の隣にいってことは宰相さんとかかな?そしてもう1人は軍服を着て剣を持っているから騎士さんだろう。



あの騎士さんなんとなくレオンさんに似てるかも…


じっと騎士さんの顔を見ながら赤い絨毯の道を進んでいるとざわざわと周りから声がしだした。



少し周りを見渡すと扉を入ってすぐ左横には貴族の人達が並んでいる。たぶん大臣とか偉い人っぽい。反対に右横は軍服を着た騎士団の人達とローブを着た背丈ほどある杖を持った人達が並んでいる。



うわぁ、思ったより人いるぅ…



思っていた以上の人数で少し気圧され足が止まるとレオンさんが優しく背中を押してくれて止まりかけていた足が動き出す。


なんか嬉しくて笑顔で見上げるとレオンさんも笑顔を返してくれた。


するとより一層謁見の間にざわめきがたちあがる。



「なんと美しい少年か…」

「本当に髪も瞳も尊い色を持っておる」

「あの第1聖騎士団団長が笑った…」

「夢か幻か…いや現実だ」



みんな小声でなんて言ってるか聞き取れなくて首を傾げるとレオンさんは「気にしなくていい」と言って国王陛下の前まで僕を導いてくれる。



レオンさんが跪いたので僕も真似して赤い絨毯に膝をつき頭を下げる。国王陛下から声がかかるまで話しちゃいと教えてもらったので声がかかるまで頭を下げて待つ。




「顔を上げなさい」





渋くて落ち着いた声。聞いたことある声だ…あ、施設長の声に似てるかも。



そう思いながら顔を上げるとなんと顔までそっくりで驚いて目を見開いた。そんな僕にレオンさんは「大丈夫か?」と心配してくれたので大丈夫と頷き返し国王陛下を見つめる。国王陛下の名前はカルネル・ダルア様と言ってダルア王国156代目国王陛下だそうだ。





「ほう、本当に美しく綺麗な黒色…いや漆黒か。貴方の名前を聞いてもよろしいか?」

「は、はい。アサヒと言います」

「アサヒ、貴方は森で魔獣に襲われていたところを第1聖騎士団団長に保護されたと聞いている。どうして危険な魔獣の住む森にいたのか」

「わ、わからないんです。目が覚めたらあの森で…どうやってきたのかも…ごめんなさい」

「いや、気にしなくていい。それより貴方に怪我がなくて良かった」




と言って笑ってくれた。




あの優しい笑顔も施設長にそっくり…



懐かしくなって僕は自然と笑みがこぼれた。すると国王陛下の数段下に立っている僕と同じぐらいの年代のイケメンさんがいきなりカツカツと颯爽に僕の前へ来て跪き…





「私と結婚してください!!!」

「…へぇ!?」




僕は国王陛下の謁見中に告白された



告白したイケメンさんはダルア王国の第2王子バニス・ダルア様だった。歳は僕と同じで背は180くらいあった。告白した理由は「一目惚れしたから」らしい



同い年なのに…なんでそんなに背が高いんだ…僕だってまだ成長期は終わってないはず…


それにしても異世界でモテ期到来…1人悶々と考え込んでいたけど僕はやっぱりレオンさんしか考えられない。


第2王子様の告白を断ろうと思ったがここで断ったら不敬罪とかになるのだろうか…心配になりレオンさんを見るとぎょっとした。



レオンさん何その顔…はじめてみるよ



それもそのはず切れ長の眼はいつも以上に鋭さがあり、眉間にシワが3本くらい入ってる。口もへの字に曲がってるような気がする


ひとりオロオロしていると国王陛下がため息をつきながら「バニス下がりなさい。いきなりではアサヒ殿が困惑するだろう」と言ってくれてなんとかその場は落ち着いた。



そして僕は【尊い色】を持ってるからこの王国で保護してくれるみたい。いきなりほっぽり出されても困るからありがたい。



その後はこの場にいる重鎮の方々の自己紹介的な流れになったけど僕の頭では処理しきれず半分以上も名前を覚えられないままただ相槌を打つだけだった。



長い横文字の名前は難しい…



王族の人達は前もってレオンさんとセバスさんに教えて貰っていたので頭に入っていたが、唯一覚えられたのが宰相のノクス・サーラン様と騎士団統括で元帥のラリア・ラントン様


そして元帥閣下はレオンさんのお父さんだった…やっぱりなんか似てると思ったとレオンさんに言ったら「似ているなんてはじめて言われたぞ」なんて言ってる。そっくりなのに…




ゾワゾワッ



「ひぇっ…!」





いきなり寒気でゾワゾワして腕を摩る





「どうした?アサヒ」

「…なんかゾワゾワした様な?」

「ゾワゾワ…?」

「うーん…でも今はもう感じないし気の所為かもしれないです」




レオンさんに心配ないと笑顔で伝えなんとか謁見を乗り切ることに成功した



緊張の糸が切れたのか帰りの馬車でレオンさんの肩を枕にして寝てしまい、レオンさんが僕の寝顔をうっとりした顔で堪能していたのは知る由もない







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