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本編

森で見つけたのは運命の人sideレオン

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自分にこんな感情があるなんて、ましてや一目惚れするなんて思いもしなかった。俺は目の前で2回も絶頂し湯あたりして少し頬が赤いがスヤスヤと気持ちよさそうに寝ている少年の髪をやさしく撫でながらそう思った。



あれは3日前のこと。


森で魔物の討伐戦に出ることになり、目標にしていた討伐数に達して部下と帰り支度をしていた時、ふと視線をあげると森の奥深くでほんの一瞬眩しい光が降り注いだ。何事かと思い急いで副団長と2人で光が降り注いだ現場に向かった。


馬では入れないような奥深く道無き道の為、途中で馬から降りたら、なぜか胸騒ぎがして副団長の制止を無視して走り出す。


【あの子をたすけて】


走り出していると男声でも女声でもない中性的な声が頭に響く。


「…精霊!?」


このダルア王国では【精霊】は【神の遣い】と呼ばれていて神秘的で幻想的な存在。精霊に話しかけられることなんて【神の愛し子】や【精霊の加護】を持つものでしか有り得ない。声が聞こえるだけで奇跡と呼べるほどの現象だ。そもそも【加護】を持つ人間なんてそうそういない。

それなのに加護のない俺に話しかけてきたということは精霊にとってとてつもない危機が迫っているということ。

そんなことを考えながら声が導く方へひたすら走った。するとそこにはグランドベアーキングに襲われている少年がいた。グランドベアーキングはグランドベアーが魔力瘴気で進化し、更に凶暴化したSランク魔物だ。なんでこんな所にSランクの魔物がいるんだ。この森はせいぜい高くてBランクまでの魔物しかいないはず。だが今はそれどころでは無い。はやく彼を助けなければ、一刻を争う。


【フリーズウィンドウ!!!(氷風刃)】


少年に襲いかかるグランドベアーキングに向かって魔法を発動させる。


「グギャァアアァァアアアァッ」


耳をつんざくそうなけたたましい叫び声と共に首と胴体が真っ二つに切り裂かれる。


即死だ。自分でも驚いていた、いつもは首と胴体を真っ二つにするほど威力が出ないからだ。精霊が力を貸してくれたのか…そんなことを考えながら俺は少年に話しかけるため振り向くとそこには…


「…君、黒眼黒髪じゃないか!…いや、それよりも怪我はないか?大丈夫か?」


驚いた。その少年はとても美しい容姿でこの世界ではとても珍しく尊い色の【黒】を持つ少年だった。黒に近いグレーの髪でさえ珍しい。少年は髪も瞳も漆黒であるのに対して対照的に肌は白くなんとも艶めかしい雰囲気を醸し出している。


ドキン…ドキン… 

胸が高鳴る…こんな気持ち初めてだ。

私は一瞬で少年に恋に落ちた。


胸を高鳴らせていたら少年の身体がふらふらと揺れだし倒れ落ちる。慌てて駆け寄り身体を支えて少年の顔を覗くとスヤスヤと眠っていた。寝ていても美しい…いやいや、そんなことばかり考えていられない。少年に怪我が無いことを一通り確認し抱き上げると、遠くから副団長の声が聞こえてきた。



「レオン!1人突っ走っていくな!何かあったら…ってなんだその美しい少年は…」


この軽口で話しかけてくる赤髪の男は第1聖騎士団副団長のダルイズだ。腐れ縁の幼なじみ。



「グランドベアーキングに襲われていた所を助けた。今は気を失って眠っている。怪我はしていない。」

「グランドベアーキング!?なんでこの森に…」

「わからない。だがこの事は後で元帥に報告に行くつもりだ。それより今はこの少年を休ませなければ。」

「わかった。馬を降りた場所まで戻ろう。」



そんなこんなで俺たちは馬に乗り討伐戦の帰り支度をしていた部下達と合流し騎士団詰所に帰路に着いた。



あれから信頼のおける治癒士に少年の状態を見てもらったら、特に怪我や異常はなく疲労で寝ているだけだと言っていた。


寝ている少年を優しく抱き抱え自分の邸に運び込んだ。

あれから少年は3日間眠り続けた。

そして俺が少年の美しい黒髪を撫でていると眼が開きぱっちりとした黒い瞳がこちらを見つめている。


久しぶりにみたその美しい瞳にいつの間にか俺は微笑んで


「目が覚めたか。…大丈夫か?痛いところなどないか?」


と自分でも聞いたことの無い甘い甘い声で少年に問いかけていた。
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