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第一章 未知なる世界でスローライフを!
旅はのんびりと
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まったくと言っていいほど人に会わないし、魔物にも遭遇しない。
ということで、たいして急ぐ旅でもないので途中適当な場所を見つけては魔法などのスキルの確認をしながらのんびり移動していた。
「あれれ、なんかマジック袋に入ったよ。ん、赤い魔石か。どおしてかなぁ」
聖属性広範囲魔法の光の矢を気持ちよさそうにぶっ放した後、リィーナは不思議そうに魔石を手に取り振り向いた。
「あれだけ広範囲を吹き飛ばしたんだ。たまたま魔物が巻き込まれただけだろ」
「そっかぁ。じゃあこれはドロップ品ってこと? でも普通は解体して取り出すんだよね」
「あれだろ。親切な女神様が解体など出来ない俺達に気を利かせてくれたんだろうさ。感謝しようぜ」
「だね。女神様、ありがと!」
俺達は天を見上げて感謝の意を示した。
まぁ、信徒ではないのだが。
いざ実際に目にすると魔法って恐ろしいな。
広範囲にあれだけの威力の魔法を展開できるなんて。
個人レベルで持っていい力じゃないよな。
けどよ。どうすんだよ、これ。
林の一部が綺麗さっぱり更地になったじゃねぇかよ……
「大丈夫大丈夫。目撃者はいないし、道から外れてるからバレやしないって」
なに笑って舌を出してんだよ。
ほんとにお気楽なやつだな。
「まあいい。で、どうだった」
「あ、うん。マナの消費自体はステータスを見る限りほぼ同じかな。でもイメージするだけで即発動出来る。それとレンジの見立て通り、クールタイム無しで連発可能だけど、集中が途切れた途端に威力が弱くなるね。たぶん最悪、発動しないって事もあるかも」
魔法のエキスパートがそう言うなら間違いないんだろうな。
でもなぁ。あんな魔法、広範囲に連発されたら嫌だよな。
他の人に怖がられないよう使い所は間違えないようにしないと駄目だな。
「ねえ。いきなり世界征服しようなんて言わないよね」
水を飲もうと口に含んだ水をおもいっきり吹き出してしまった。
「そんなこと言うわけないだろ、あほかおまえは!」
「……だよね。よかった」
「だいたい俺のこっちでの目標は細々とポーション屋でもしながら美しい海を眺め、日々のんびり暮らす事なんだぞ。
間違っても世界征服なんてありえんわ!」
錬金術師としてお手頃な値段で良い物を安く提供する。
困っている人や貧しい人には無料で。
金は余るほど有るんだ。
なら、悠々自適にノーストレスな毎日を送るのが一番だ。
「でもさぁ。領主相手に喧嘩をふっかけたレンジが言っても説得力ないよね。絶対面倒事に巻き込まれるよね、レンジは」
「あれはおまえもだろうが。
ふん、とにかくだ。絶対、絶対にのんびり暮らすんだ、俺は!」
「そうなればいいよね。僕もそうなって欲しいし」
なるの、するの、やるんだよ!
よしっ、カニ食ったら拠点となる場所を探すぞ!
◇
面倒事には巻き込まれない。
そんな夢を抱いていた時もありました。
け、れ、ど、
おもいっきり村の方から煙が立っているんですが!
俺とリィーナは全速力で駆けた。
目の前には逃惑う村人達。
瓦礫とかした家屋が多く、村の至る所から火の手が上がっていた。
それをやった犯人達は空中で楽しむように笑い、いまだ村へ魔法を落としている。
「リィーナ、おまえは村人の救助を!」
リィーナはうなずき、水を降らせまず火を消すと今度は広範囲に回復魔法を展開した。
その手際の良さにうっかり目を奪われそうになるが、俺も空中にいる凡そ十名ほどの犯人達に向けて一斉に雷の魔法を放ち動きを止めた。
すかさず刀を抜き、一人一人に瞬間移動しながら一撃で確実に斬り殺す。
そして最後にボスと思われる角の生えた一際大きい個体を後ろから蹴り飛ばした。
「リィーナ!」
「さっすがレンジ、わかってるね!」
青薔薇の細剣を左手に握り、空中で待機するリィーナの間合いに入ると、くるっと回りリィーナは青薔薇の細剣を突き出した。
「はい、どーーん!」
剣先から魔法が放たれ、胸を貫き相手の体をも吹き飛ばした。
うわっ、あぶねえ。
その威力は衰えることなく俺の方へ向けて一直線に迫ってきたので慌てて下に降りて回避した。
得意げに胸を張り勝ち誇るリィーナを下から見上げていると、急にふらっと倒れるように俺の所へ落ちてくる。
そんなリィーナをお姫様抱っこするように優しく受け止めた。
「派手にやったな。お疲れさん」
「ほんと。蘇生やら回復やら大忙しだったよ」
「大聖女様の面目躍如ってやつだろ」
「勇者様もね」
そう言って二人で笑い合っていると、村の人達が次々と集まってきた。
「「「大聖女様と勇者様、ありがと!」」」
俺の足に次々に子供達が抱きつきながら感謝を口にした。
その勢いに押され、俺がリィーナを抱いたまま倒されると一斉に子供達が飛び乗ってきた。
「ちょ、ちょっと苦しいよ、レンジ!」
「だっ、俺の方が来るしい。なんとかしろ!」
そんな言葉も虚しく感じるほど、大人達が止めるまでしばらく揉みくちゃにされた。
しょうがないか。
子供達の笑顔には勝てないしな。
村のみんなを助けられて、本当に良かった。
ということで、たいして急ぐ旅でもないので途中適当な場所を見つけては魔法などのスキルの確認をしながらのんびり移動していた。
「あれれ、なんかマジック袋に入ったよ。ん、赤い魔石か。どおしてかなぁ」
聖属性広範囲魔法の光の矢を気持ちよさそうにぶっ放した後、リィーナは不思議そうに魔石を手に取り振り向いた。
「あれだけ広範囲を吹き飛ばしたんだ。たまたま魔物が巻き込まれただけだろ」
「そっかぁ。じゃあこれはドロップ品ってこと? でも普通は解体して取り出すんだよね」
「あれだろ。親切な女神様が解体など出来ない俺達に気を利かせてくれたんだろうさ。感謝しようぜ」
「だね。女神様、ありがと!」
俺達は天を見上げて感謝の意を示した。
まぁ、信徒ではないのだが。
いざ実際に目にすると魔法って恐ろしいな。
広範囲にあれだけの威力の魔法を展開できるなんて。
個人レベルで持っていい力じゃないよな。
けどよ。どうすんだよ、これ。
林の一部が綺麗さっぱり更地になったじゃねぇかよ……
「大丈夫大丈夫。目撃者はいないし、道から外れてるからバレやしないって」
なに笑って舌を出してんだよ。
ほんとにお気楽なやつだな。
「まあいい。で、どうだった」
「あ、うん。マナの消費自体はステータスを見る限りほぼ同じかな。でもイメージするだけで即発動出来る。それとレンジの見立て通り、クールタイム無しで連発可能だけど、集中が途切れた途端に威力が弱くなるね。たぶん最悪、発動しないって事もあるかも」
魔法のエキスパートがそう言うなら間違いないんだろうな。
でもなぁ。あんな魔法、広範囲に連発されたら嫌だよな。
他の人に怖がられないよう使い所は間違えないようにしないと駄目だな。
「ねえ。いきなり世界征服しようなんて言わないよね」
水を飲もうと口に含んだ水をおもいっきり吹き出してしまった。
「そんなこと言うわけないだろ、あほかおまえは!」
「……だよね。よかった」
「だいたい俺のこっちでの目標は細々とポーション屋でもしながら美しい海を眺め、日々のんびり暮らす事なんだぞ。
間違っても世界征服なんてありえんわ!」
錬金術師としてお手頃な値段で良い物を安く提供する。
困っている人や貧しい人には無料で。
金は余るほど有るんだ。
なら、悠々自適にノーストレスな毎日を送るのが一番だ。
「でもさぁ。領主相手に喧嘩をふっかけたレンジが言っても説得力ないよね。絶対面倒事に巻き込まれるよね、レンジは」
「あれはおまえもだろうが。
ふん、とにかくだ。絶対、絶対にのんびり暮らすんだ、俺は!」
「そうなればいいよね。僕もそうなって欲しいし」
なるの、するの、やるんだよ!
よしっ、カニ食ったら拠点となる場所を探すぞ!
◇
面倒事には巻き込まれない。
そんな夢を抱いていた時もありました。
け、れ、ど、
おもいっきり村の方から煙が立っているんですが!
俺とリィーナは全速力で駆けた。
目の前には逃惑う村人達。
瓦礫とかした家屋が多く、村の至る所から火の手が上がっていた。
それをやった犯人達は空中で楽しむように笑い、いまだ村へ魔法を落としている。
「リィーナ、おまえは村人の救助を!」
リィーナはうなずき、水を降らせまず火を消すと今度は広範囲に回復魔法を展開した。
その手際の良さにうっかり目を奪われそうになるが、俺も空中にいる凡そ十名ほどの犯人達に向けて一斉に雷の魔法を放ち動きを止めた。
すかさず刀を抜き、一人一人に瞬間移動しながら一撃で確実に斬り殺す。
そして最後にボスと思われる角の生えた一際大きい個体を後ろから蹴り飛ばした。
「リィーナ!」
「さっすがレンジ、わかってるね!」
青薔薇の細剣を左手に握り、空中で待機するリィーナの間合いに入ると、くるっと回りリィーナは青薔薇の細剣を突き出した。
「はい、どーーん!」
剣先から魔法が放たれ、胸を貫き相手の体をも吹き飛ばした。
うわっ、あぶねえ。
その威力は衰えることなく俺の方へ向けて一直線に迫ってきたので慌てて下に降りて回避した。
得意げに胸を張り勝ち誇るリィーナを下から見上げていると、急にふらっと倒れるように俺の所へ落ちてくる。
そんなリィーナをお姫様抱っこするように優しく受け止めた。
「派手にやったな。お疲れさん」
「ほんと。蘇生やら回復やら大忙しだったよ」
「大聖女様の面目躍如ってやつだろ」
「勇者様もね」
そう言って二人で笑い合っていると、村の人達が次々と集まってきた。
「「「大聖女様と勇者様、ありがと!」」」
俺の足に次々に子供達が抱きつきながら感謝を口にした。
その勢いに押され、俺がリィーナを抱いたまま倒されると一斉に子供達が飛び乗ってきた。
「ちょ、ちょっと苦しいよ、レンジ!」
「だっ、俺の方が来るしい。なんとかしろ!」
そんな言葉も虚しく感じるほど、大人達が止めるまでしばらく揉みくちゃにされた。
しょうがないか。
子供達の笑顔には勝てないしな。
村のみんなを助けられて、本当に良かった。
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