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坂本は、バルコニーの手すりに身を乗り出す達弥の後ろ姿を見た。
身を乗り出し、雪をつかもうとでもするかのように手をのばす達弥の姿を。
達弥は、 ─── ウルウは手をのばしていた。結珂達が来る少し前、兄を刺したそのあとに既に自らをも刺していた。その傷も忘れて。
しん しん しん
雪が降る。そんなのは毎晩見ていた。いつも悪夢の中で、赤い雪を。
でも。
(しろい)
これは白い雪。
(まっしろな)
間違いのあの日から、彼が見る雪はみんな赤だった。ついさっきまでも、積もった雪すらみんな赤だった。でも今は違う。
そう、
(終わったんだ。やっと)
手をのばす。優しげに降るそれに許しを乞うように。
親友が自分の名を叫ぶのにも気付かない。
自分の体が手すりを乗り越えて傾いだことにも。
雪に触れることで頭がいっぱいだった。
(やっと終わった)
体がふわふわする。さっきまで体にあった痛みも胸の息苦しさも嘘のようだ。
うそのようだ ─── 。
坂本は、バルコニーの手すりに身を乗り出す達弥の後ろ姿を見た。
身を乗り出し、雪をつかもうとでもするかのように手をのばす達弥の姿を。
達弥は、 ─── ウルウは手をのばしていた。結珂達が来る少し前、兄を刺したそのあとに既に自らをも刺していた。その傷も忘れて。
しん しん しん
雪が降る。そんなのは毎晩見ていた。いつも悪夢の中で、赤い雪を。
でも。
(しろい)
これは白い雪。
(まっしろな)
間違いのあの日から、彼が見る雪はみんな赤だった。ついさっきまでも、積もった雪すらみんな赤だった。でも今は違う。
そう、
(終わったんだ。やっと)
手をのばす。優しげに降るそれに許しを乞うように。
親友が自分の名を叫ぶのにも気付かない。
自分の体が手すりを乗り越えて傾いだことにも。
雪に触れることで頭がいっぱいだった。
(やっと終わった)
体がふわふわする。さっきまで体にあった痛みも胸の息苦しさも嘘のようだ。
うそのようだ ─── 。
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