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雪の日
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◆
涼風が病室に吹き込んでくる。
もうかなり体が冷えきってしまっているのに、閏は窓を閉めることを忘れていた。
思いつめた表情で、やるせないように眉間にしわをよせて窓の外を見ている。
窓の外 ─── 夕焼けを。
しん、しん、しん……
過去のあの雪の日を、彼は思い出す。いつものように何度も何度も。
まぶたの裏に雪を降らせる。あの日の光景と共に脳裏に浮かべる。
「高村が、……舌を噛み切った ─── 」
先刻、姉が見舞いに来てその報告をしていった。閏に怪我をさせた三人のうちのひとり。そのひとりが、……死んだ。
致命的になったのはその「舌」だ。
しん、しん、しん
思い出す。
あの雪の日を、
─── すべてが間違ってしまった寒い日を。
涼風が病室に吹き込んでくる。
もうかなり体が冷えきってしまっているのに、閏は窓を閉めることを忘れていた。
思いつめた表情で、やるせないように眉間にしわをよせて窓の外を見ている。
窓の外 ─── 夕焼けを。
しん、しん、しん……
過去のあの雪の日を、彼は思い出す。いつものように何度も何度も。
まぶたの裏に雪を降らせる。あの日の光景と共に脳裏に浮かべる。
「高村が、……舌を噛み切った ─── 」
先刻、姉が見舞いに来てその報告をしていった。閏に怪我をさせた三人のうちのひとり。そのひとりが、……死んだ。
致命的になったのはその「舌」だ。
しん、しん、しん
思い出す。
あの雪の日を、
─── すべてが間違ってしまった寒い日を。
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