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第5章 ブユの石板
28、現れた鍵の文様
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目を覚ましたのは2日後のことだ。
エシルバは目を細めながら傍らでコンピューターを操作する眼鏡の男を見上げた。おかしい。自分はどうしてベッドの上にいるのだろうか。
「ここは大樹堂病院の病室だよ」
エシルバは寝ぼけ眼で起き上がった。
「2日前、ジュビオレノークが私宛てに電話をくれた。君が倒れたってね」
「ジュビオが?」
エシルバは目をしばたかせた。
「信じられないかい?」
「えぇ、はい」
「正直でよろしい」
「あなたは――団医のレグニー?」
男はうなずいた。彼は肩幅がスポーツ選手みたいに広くがっしりとしていて、座ってはいるがかなりの長身だ。知性を感じる目と広く平たんな額からはオープンな人柄も感じさせる。
「そういえば、君の担当医だったレブニ島のメフォー先生からカルテを急いで送ってもらったよ。なんでも、グノークス病という診断結果が出ているから情報が必要だったんだ」
「でも……僕の病気には治療法がないって」
「今の医療技術ではね」
レグニーは言った。
「人間が外部からのブユエネルギーを吸収した際、うまく消化するのが通常だ。しかし、まれに消化不良を起こし、様々な症状が現れることがある。それがバーセラル反応。不治の病と呼ばれるグノークス病とは、そのバーセラル反応による2次被害によるものなんだ」
エシルバは肩の力を抜いた。
「私の前任医、フォッサ|アルキンはルダ|スーの主治医だった。私は彼の研究結果もいろいろと引き継いでいる」
「えっと……アルキン先生は今どこに?」
「団医を退いた後に隠居したと聞いているよ」
「そっか」エシルバは枕に顔をうずめた。「ジュビオに言われた言葉にとても腹が立ったんだ。それで、気が付いたらこんな状態に」
「以前にもそういうことがあったのかい?」
レグニーはカルテを見ながら尋ねた。
「気絶なら何度も」
「なるほど。関連性がないとも言い切れないから、まずはゆっくり休養だ。2週間分の薬を処方しておくから、朝・昼・晩と1日3回飲むように。あぁ、それと君の友人が何度もお見舞いに来てくれてたよ」
そう言ってレグニーはフルーツバスケットを渡してくれた。
退院したエシルバは迎えに来ていたブルウンドと一緒に電車でトロベム屋敷まで帰った。駅から屋敷まではブルウンドが肩車をしてくれたので、歩くのに疲れるということはなかった。
「違うよ、手札にあるカードを……」
2階のサロンに行くと、リフとカヒィが空中カードゲームの真っ最中だった。
「2人とも、エシルバが帰ってきたわよ」
そばで観戦していたポリンチェロが甲高い声を上げた。カヒィは手に持っていたカードを落としてエシルバに抱き着いた。相当心配をかけていたようで、エシルバは彼が離れるまでしんみりとした気持ちに沈んだ。
「僕、君がもう二度と目を覚まさないんじゃないかって……」
「大丈夫。ありがとう、カヒィ。心配してくれて」
リフはその奥で胸をなでおろした。
「ジュビオと派手にやったって?」
「うん、まぁ」エシルバは口ごもった。「レグニーは大丈夫だって言ってた。それに薬をもらえたしね」
「彼から聞いたよ。まさか病気だったなんて」リフはつぶやいた。
「お母さんと同じ病気なんだ。治療法はないみたいだけど、すぐにどうこうなるわけじゃない。それより、これ……君たちが届けてくれたの?」
「フルーツの盛り合わせ。堂下町でおいしそうなのがあったから買ってきたんだ」
カヒィが顔をほころばせながら言った。
「でも、ジュビオは誰に殴られたんだろう」
「君が殴ったんじゃないの?」
リフは大きな声でわめきたてた。
「違う!」
「結局ジュビオはだんまり。彼のお父さんが……怒ってた。それでただいま犯人捜しの真っ最中ってわけなんだけど――安心して。彼はエシルバが殴ったなんて証言していないもの」
ポリンチェロが腕を組みながら気掛かりそうに言った。
「どうしてジュビオは誰に殴られたのか言わないんだ? あー、怖い怖い。ジュビオの父さん怒らせたら犯人も生きて帰れないだろうぜ」リフはブルルと震えた。
「一番厄介なのは、ジュビオのお父さんが殴ったのを僕だと勘ぐっているかもしれないってことだよ」
「人の話聞いてた?」
ポリンチェロが顔をしかめた。
「大丈夫だよ。あの人だって言ってただろ? 息子はけんかっ早いってさ。ふん、暴力は直らないぜ?」
リフは肩をすくめながら言った。
「仕事中に起きたんだ」
カヒィはそう言ったが、誰もがそんなこと考えたくもないという顔をしていた。
「シィーダ―だ」
「それはまずい、証拠もないのに」
リフは声を殺してエシルバに言い返した。
「でも、仕事中の短時間でそんなことができる人間なんて限られてる。2人は師弟関係にあるし、特にジュビオはあの人の……」
「あの人の?」
エシルバはリフを見つめた。
「スーパーお気に入り生ってことだよ、分かる? そんな目で見るな」
「リフの言う通り、証拠もないのに犯人にはできないわ」
「だったら殴る必要なんてない」
カヒィは眉をひそめた。
「もし、指導と称して殴っていたら? 2人きりになることは十分可能だし、何らかの圧を受けて父親に話せないとしたらうなずけるよ」エシルバは言った。
「確かにあの人はおっかないけどさ、わざわざ教え子殴って仕事を失うリスク抱えるほどばかなの?」リフは甲高い声で言った。
「今は犯人が見つかるまで様子をみた方がよさそうね」
屋敷に戻ってきて気が抜けたのか、エシルバは近くにあったソファに寝転んで背伸びした。
「あぁあ、まさかあそこまで嫌われてるとは思わなかったよ」
さっそくエシルバのつぶやきにカヒィが食いついてきた。
「あそこまでって?」
「相当僕のことを……嫌っていたみたいだ、彼」
今になって思えばちょっとショックでもあったので、エシルバはクッションに顔を突っ込みながらうめいた。
「家柄が正反対だもんな、こればかりはお互い歩み寄るしかない」
リフは珍しく中立的な立場になって言った。
取っ組み合いのけんかがあって以降、エシルバはジュビオレノークと一言も口を利かなかった。何度かシィーダーとジュビオレノークの父親ノルクスが話し込んでいる姿を見掛けたが、険悪な雰囲気がひしひし伝わってきた。ノルクス側はエシルバよりも師のシィーダーを容疑者として疑っているらしいが、シィーダー側は断固として認めなかった。
エシルバはジュビオレノークが必ず犯人を見ていると信じていた。彼が言わない理由は? そればかりが気になって仕方がなかった。
もどかしい話、結局犯人は見つからなかった。シィーダーへの疑惑はまだ残ったままだが、なにしろ証拠の一つもでてこない。ノルクスは息子のために犯人捜しを続けていたが、その頃にはジュビオレノークの顔のあざも目立たなくなり、エシルバの体調もすっかり良くなった。
休日の午後、エシルバはトロベム屋敷の図書室で本を読んでいた。役人のお勉強ではなく、好きな海外作家の冒険小説や伝記本を読むのだ。平日は仕事にまつわることで一日が終ってしまうため、休日の自由な時間の使い道は限られていた。
エシルバが積み上げた古書の上から本を取った時、エリート団員のナジーンが歩いてくるのが見えた。
「こんにちは、ここ座りますか?」
エシルバが腰を浮かすとナジーンは首を横に振った。
「体調はどう? 随分顔色がよくなったようだけど」
「はい、見ての通り」
「それはよかった。みんな君のことを心配していたよ。ここ数週間はずっとバタバタしていたからね、君に言いそびれていたことがあったのを思い出して来たんだ」
「なんです?」
「お祝いの言葉だよ。ジグとの子弟関係締結おめでとう。記念にお菓子を受け取ってくれないかい?」
エシルバは大きな袋を受け取り、思ってもいなかった言葉にうれしくなった。
「ここへ来る前は正直、不安だったんです」
「なにを言う。君は自信にみなぎっているじゃないか」
ナジーンは肯定的に言うと向いのソファに腰掛けた。
「いまだに信じられなくて。僕がアバロンを止められるなんて」
ナジーンは人差し指を自分の口に当てた。
「あまり大きな声で言わない方がいい。君も聞いているとは思うが、アバロンがこの星に迫っているという事実は一握りの人間しか知らない。重要な秘密で口外するべきではない。もちろん、私には話してくれて大丈夫だがね」
「使節団以外の人には?」
「あぁ! もちろんだとも。胸の中にとどめておきなさい。隕石だの扉だの一言でも言ってごらん。すぐさまうわさは広がり、政府に対する不信感が募ること間違いなしだ。余計な混乱を起こさないためには、まだ公表しないというのが国の方針だ。いいね?」
「でも」
「駄目なんだ。これはメンツの話ではなく、情勢の話だからね。でも、仮にブユの石板を見つけ出したとしたら話は違ってくる」
「ブユの石板ですか?」
エシルバは聞き慣れない単語に戸惑った。
「僕、ジリー軍がブユの暴走を起こすために鍵と扉を探していることなら、知っています。でも、石板は知りません」
「なにも知らないとは幸せなことだ。しかし、君は知っておかないといけない。石板にはある重要な文字が刻まれているそうだ。最悪のシナリオ、ブユの暴走を引き起こすための手掛かりがね」
エシルバは驚きと同時に唾を飲み込んでうなずいた。
「随分と、お詳しいんですね」
「いやいや、ジグやシィーダーだって知っていることだよ。彼らがまだ君には秘密にしているだけさ。だが私は早く知っておくに越したことはないと思うんだよ」
「はい」
「この世にある四つのブユの鍵がそろったとき、ブユの扉が現れ、鍵を持ってして扉は開かれる。ブユの暴走が始まるのだ。しかし、鍵の場所を知っている者はいない。だから私はこう思うのだ、石板に書かれているはずだと」
「ジリー軍は石板を探しているんですか?」
「恐らく」
ナジーンは極めて冷静に、真実味のある顔で言った。
「そんな石板、一体誰がつくったんですか?」
「古代ブユ人だよ。知っているかな? 太古からブユ――星の意思と交信する力を持っていた人たち。彼らの仕事はブユの言葉を忠実に記録すること。ブユの暴走を起こす手立てを知った彼らは石板に文字を刻み、その恐ろしさを隠そうとして海に沈めた。
その石板はのちに、大樹堂のどこかに隠された。ブユと精通した人間でしか通れないように罠を仕掛けたという。なぜ石板は壊されなかったのか? それは、古代ブユ人には壊せなかったからだ。ブユの意思がすりこまれた石板は強力なエネルギーを宿し、もはや古代ブユ人にも手に負えない物となった」
エシルバはナジーンの説明を恐ろしい気持ちで聞いていた。ブユの暴走は破壊と創造の現象と言われているが、実際は星を死に至らしめる恐ろしいもの、つまりは世界の終わりだ。それなのに、ブユの暴走を起こす方法をわざわざ目に残る物にして残しておくなんて。まったく、古代ブユ人も、ブユもどうかしている。そう思うのは自分だけだろうか?
「いずれにしても石板が必要なんですよね。だって、アバロンを止めるためには扉を開かなければならないんですから」
「その通り」
「だったら、古代ブユ人の子孫に場所を聞けば……」
「彼らはジリー軍に拷問されてしまった」
「そんな」
エシルバはがくぜんとした。
「シクワ=ロゲンは古代ブユ人を保護しようとした。対ジリー軍防衛課がその筆頭……古代ブユ人の保護活動をしていたのだが、ジリー軍の方が一枚上手だった」
「じゃあ、まさか、ジリー軍はもう石板の場所を知っているんですか?」
「検討はつかないが、探しているのは確かだ」
ナジーンがつらそうに言うのでエシルバは質問を変えた。
「その、あなたも石板の場所を知らないのですか?」
「私が?」ナジーンはおかしそうに笑った。「分かっていたらこんな話をしないだろうね」
「できれば今すぐにでも協力したいんですが、僕にも分かりません。石板の場所も、石板に書かれている文字のことも」
「もちろん。でも、いずれ君の力を借りなくてはならないときがくるだろう。われわれ大人たちが君をサポートしていくから安心してほしい」
「僕でよければ」
エシルバは快く答えた。
「ありがとう」ナジーンはホッとした表情で言った。「いいかい? 君は普通の子どもではない。ブユの鍵を持った特別な子だ。ジリー軍の一味は君を利用しようと、既にこの大樹堂の中に潜んでいるかもしれないのだよ。だから気を付けたまえ」
冷静に考えてみれば、例の石板が大樹堂にあるなんてうそなのでは? とも思った。まず、それがどのくらいの大きさなのか、重さはどのくらいなのか、まともな情報がないのだから。ましてや人に聞いて回れるような話でもない。これは大変デリケートな問題なのだ。
その日の夜、エシルバは大きなショックに見舞われた。
あらざる手袋を外すと、あざがうっすらと奇妙な鍵の文様に変わっていたのだ。このタイミングで? という戸惑いと、釈然としなかった疑問が事実へと変わっていった。エシルバは直ちに自分の部屋を抜け出して3階にある監視官の部屋に向かった。ドアをノックすると寝間着姿のジオノワーセンが出てきた。
「ジオノワーセン、アムレイ! あなたたちならなんとかできるでしょう?」
エシルバが興奮して叫ぶと、奥からアムレイが姿を現して部屋の中に入れてくれた。
「顔色が悪い。ジーオ、温かいお茶でも入れてあげろ」
心配する2人の大人を前にエシルバはおずおずと話し出した。
「鍵のこと、誰に言えばいいのか分からなくて」
アムレイは目を細めた。
「変化があったのか」
「鍵が……鍵が、こんなに濃く浮かび上がってきたんだ!」
エシルバはおびえながら右手を2人の前に差し出した。
「ジオノワーセンの言う通りだった。これは夢じゃない。夢じゃないんだ!」
「怖がらないで」
ジオノワーセンは温かいお茶の入ったカップを差し出すと、エシルバの肩を包みながらそっと言った。
「君は星に選ばれた。いうなれば、偉大なブユと一つにつながっているんだ」
「アムレイ、今そんなことを言わなくても」
「怖いんだ。こんなもの、こんな腕! 切り捨ててよ!」
エシルバは何度も懇願した。だが、2人はエシルバの様子が落ち着くまでひたすら待ち続けた。抗えない眠気と動揺が入り混じった頃、エシルバはようやく心を落ち着けて2人と向き合うことができた。
「君の腕を切ることはできない」
アムレイは答えた。
エシルバはなるべく右手の文様を見ないようにしてふかふかのソファに移った。
「あんなこと言ってごめんなさい。怖くてつい……正気でいられなくなったんだ」
「恐れは人間に必要な防衛本能だ。逆に恐れを知らない人間はいつか取り返しのつかないミスをするだろう。さて、鍵が濃く現れた原因は二つ考えられる。ブユのエネルギーを感じるなにかに近づいたか、君自身の中でエネルギーを増幅させるなにかがあったか、いずれも断定はできない」
アムレイは顎に手を当てながら考え込んだ。
「今はあまり難しく考える必要はないさ」
ジオノワーセンは穏やかに言った。
「ブユの石板を探しているの?」
その言葉にアムレイは首をかしげた。
「誰から聞いた」
「ナジーンから。ねぇ、アバロンを止めるためにはその石板が必要なんでしょう?」
アムレイは失望のため息を漏らした。
「まだこの子には話すべきではないと言っておいたのに……」
「あの人は行動派だから」
「そういう問題ではない」アムレイは厳しく言った。「エシルバ。まずは君がこの生活に慣れるということが先決なんだ。分かるかい? 最初からなんでもかんでも手を出せば、うまくいくものもうまくいかなくなる」
「分かったよ。手掛かりはまだ一つも見つかっていないの?」
「そうだな、今のところは」
アムレイは言った。
「大樹堂にあるのにどうして見つけられないの?」
「痛いところを突かれた」アムレイは気難しそうに言った。「私にも答えようはない」
「焦らずにいくんだ。必ず見つかる手立てはあるはずだ」
ジオノワーセンはエシルバにそうほほ笑み掛けた。
エシルバは目を細めながら傍らでコンピューターを操作する眼鏡の男を見上げた。おかしい。自分はどうしてベッドの上にいるのだろうか。
「ここは大樹堂病院の病室だよ」
エシルバは寝ぼけ眼で起き上がった。
「2日前、ジュビオレノークが私宛てに電話をくれた。君が倒れたってね」
「ジュビオが?」
エシルバは目をしばたかせた。
「信じられないかい?」
「えぇ、はい」
「正直でよろしい」
「あなたは――団医のレグニー?」
男はうなずいた。彼は肩幅がスポーツ選手みたいに広くがっしりとしていて、座ってはいるがかなりの長身だ。知性を感じる目と広く平たんな額からはオープンな人柄も感じさせる。
「そういえば、君の担当医だったレブニ島のメフォー先生からカルテを急いで送ってもらったよ。なんでも、グノークス病という診断結果が出ているから情報が必要だったんだ」
「でも……僕の病気には治療法がないって」
「今の医療技術ではね」
レグニーは言った。
「人間が外部からのブユエネルギーを吸収した際、うまく消化するのが通常だ。しかし、まれに消化不良を起こし、様々な症状が現れることがある。それがバーセラル反応。不治の病と呼ばれるグノークス病とは、そのバーセラル反応による2次被害によるものなんだ」
エシルバは肩の力を抜いた。
「私の前任医、フォッサ|アルキンはルダ|スーの主治医だった。私は彼の研究結果もいろいろと引き継いでいる」
「えっと……アルキン先生は今どこに?」
「団医を退いた後に隠居したと聞いているよ」
「そっか」エシルバは枕に顔をうずめた。「ジュビオに言われた言葉にとても腹が立ったんだ。それで、気が付いたらこんな状態に」
「以前にもそういうことがあったのかい?」
レグニーはカルテを見ながら尋ねた。
「気絶なら何度も」
「なるほど。関連性がないとも言い切れないから、まずはゆっくり休養だ。2週間分の薬を処方しておくから、朝・昼・晩と1日3回飲むように。あぁ、それと君の友人が何度もお見舞いに来てくれてたよ」
そう言ってレグニーはフルーツバスケットを渡してくれた。
退院したエシルバは迎えに来ていたブルウンドと一緒に電車でトロベム屋敷まで帰った。駅から屋敷まではブルウンドが肩車をしてくれたので、歩くのに疲れるということはなかった。
「違うよ、手札にあるカードを……」
2階のサロンに行くと、リフとカヒィが空中カードゲームの真っ最中だった。
「2人とも、エシルバが帰ってきたわよ」
そばで観戦していたポリンチェロが甲高い声を上げた。カヒィは手に持っていたカードを落としてエシルバに抱き着いた。相当心配をかけていたようで、エシルバは彼が離れるまでしんみりとした気持ちに沈んだ。
「僕、君がもう二度と目を覚まさないんじゃないかって……」
「大丈夫。ありがとう、カヒィ。心配してくれて」
リフはその奥で胸をなでおろした。
「ジュビオと派手にやったって?」
「うん、まぁ」エシルバは口ごもった。「レグニーは大丈夫だって言ってた。それに薬をもらえたしね」
「彼から聞いたよ。まさか病気だったなんて」リフはつぶやいた。
「お母さんと同じ病気なんだ。治療法はないみたいだけど、すぐにどうこうなるわけじゃない。それより、これ……君たちが届けてくれたの?」
「フルーツの盛り合わせ。堂下町でおいしそうなのがあったから買ってきたんだ」
カヒィが顔をほころばせながら言った。
「でも、ジュビオは誰に殴られたんだろう」
「君が殴ったんじゃないの?」
リフは大きな声でわめきたてた。
「違う!」
「結局ジュビオはだんまり。彼のお父さんが……怒ってた。それでただいま犯人捜しの真っ最中ってわけなんだけど――安心して。彼はエシルバが殴ったなんて証言していないもの」
ポリンチェロが腕を組みながら気掛かりそうに言った。
「どうしてジュビオは誰に殴られたのか言わないんだ? あー、怖い怖い。ジュビオの父さん怒らせたら犯人も生きて帰れないだろうぜ」リフはブルルと震えた。
「一番厄介なのは、ジュビオのお父さんが殴ったのを僕だと勘ぐっているかもしれないってことだよ」
「人の話聞いてた?」
ポリンチェロが顔をしかめた。
「大丈夫だよ。あの人だって言ってただろ? 息子はけんかっ早いってさ。ふん、暴力は直らないぜ?」
リフは肩をすくめながら言った。
「仕事中に起きたんだ」
カヒィはそう言ったが、誰もがそんなこと考えたくもないという顔をしていた。
「シィーダ―だ」
「それはまずい、証拠もないのに」
リフは声を殺してエシルバに言い返した。
「でも、仕事中の短時間でそんなことができる人間なんて限られてる。2人は師弟関係にあるし、特にジュビオはあの人の……」
「あの人の?」
エシルバはリフを見つめた。
「スーパーお気に入り生ってことだよ、分かる? そんな目で見るな」
「リフの言う通り、証拠もないのに犯人にはできないわ」
「だったら殴る必要なんてない」
カヒィは眉をひそめた。
「もし、指導と称して殴っていたら? 2人きりになることは十分可能だし、何らかの圧を受けて父親に話せないとしたらうなずけるよ」エシルバは言った。
「確かにあの人はおっかないけどさ、わざわざ教え子殴って仕事を失うリスク抱えるほどばかなの?」リフは甲高い声で言った。
「今は犯人が見つかるまで様子をみた方がよさそうね」
屋敷に戻ってきて気が抜けたのか、エシルバは近くにあったソファに寝転んで背伸びした。
「あぁあ、まさかあそこまで嫌われてるとは思わなかったよ」
さっそくエシルバのつぶやきにカヒィが食いついてきた。
「あそこまでって?」
「相当僕のことを……嫌っていたみたいだ、彼」
今になって思えばちょっとショックでもあったので、エシルバはクッションに顔を突っ込みながらうめいた。
「家柄が正反対だもんな、こればかりはお互い歩み寄るしかない」
リフは珍しく中立的な立場になって言った。
取っ組み合いのけんかがあって以降、エシルバはジュビオレノークと一言も口を利かなかった。何度かシィーダーとジュビオレノークの父親ノルクスが話し込んでいる姿を見掛けたが、険悪な雰囲気がひしひし伝わってきた。ノルクス側はエシルバよりも師のシィーダーを容疑者として疑っているらしいが、シィーダー側は断固として認めなかった。
エシルバはジュビオレノークが必ず犯人を見ていると信じていた。彼が言わない理由は? そればかりが気になって仕方がなかった。
もどかしい話、結局犯人は見つからなかった。シィーダーへの疑惑はまだ残ったままだが、なにしろ証拠の一つもでてこない。ノルクスは息子のために犯人捜しを続けていたが、その頃にはジュビオレノークの顔のあざも目立たなくなり、エシルバの体調もすっかり良くなった。
休日の午後、エシルバはトロベム屋敷の図書室で本を読んでいた。役人のお勉強ではなく、好きな海外作家の冒険小説や伝記本を読むのだ。平日は仕事にまつわることで一日が終ってしまうため、休日の自由な時間の使い道は限られていた。
エシルバが積み上げた古書の上から本を取った時、エリート団員のナジーンが歩いてくるのが見えた。
「こんにちは、ここ座りますか?」
エシルバが腰を浮かすとナジーンは首を横に振った。
「体調はどう? 随分顔色がよくなったようだけど」
「はい、見ての通り」
「それはよかった。みんな君のことを心配していたよ。ここ数週間はずっとバタバタしていたからね、君に言いそびれていたことがあったのを思い出して来たんだ」
「なんです?」
「お祝いの言葉だよ。ジグとの子弟関係締結おめでとう。記念にお菓子を受け取ってくれないかい?」
エシルバは大きな袋を受け取り、思ってもいなかった言葉にうれしくなった。
「ここへ来る前は正直、不安だったんです」
「なにを言う。君は自信にみなぎっているじゃないか」
ナジーンは肯定的に言うと向いのソファに腰掛けた。
「いまだに信じられなくて。僕がアバロンを止められるなんて」
ナジーンは人差し指を自分の口に当てた。
「あまり大きな声で言わない方がいい。君も聞いているとは思うが、アバロンがこの星に迫っているという事実は一握りの人間しか知らない。重要な秘密で口外するべきではない。もちろん、私には話してくれて大丈夫だがね」
「使節団以外の人には?」
「あぁ! もちろんだとも。胸の中にとどめておきなさい。隕石だの扉だの一言でも言ってごらん。すぐさまうわさは広がり、政府に対する不信感が募ること間違いなしだ。余計な混乱を起こさないためには、まだ公表しないというのが国の方針だ。いいね?」
「でも」
「駄目なんだ。これはメンツの話ではなく、情勢の話だからね。でも、仮にブユの石板を見つけ出したとしたら話は違ってくる」
「ブユの石板ですか?」
エシルバは聞き慣れない単語に戸惑った。
「僕、ジリー軍がブユの暴走を起こすために鍵と扉を探していることなら、知っています。でも、石板は知りません」
「なにも知らないとは幸せなことだ。しかし、君は知っておかないといけない。石板にはある重要な文字が刻まれているそうだ。最悪のシナリオ、ブユの暴走を引き起こすための手掛かりがね」
エシルバは驚きと同時に唾を飲み込んでうなずいた。
「随分と、お詳しいんですね」
「いやいや、ジグやシィーダーだって知っていることだよ。彼らがまだ君には秘密にしているだけさ。だが私は早く知っておくに越したことはないと思うんだよ」
「はい」
「この世にある四つのブユの鍵がそろったとき、ブユの扉が現れ、鍵を持ってして扉は開かれる。ブユの暴走が始まるのだ。しかし、鍵の場所を知っている者はいない。だから私はこう思うのだ、石板に書かれているはずだと」
「ジリー軍は石板を探しているんですか?」
「恐らく」
ナジーンは極めて冷静に、真実味のある顔で言った。
「そんな石板、一体誰がつくったんですか?」
「古代ブユ人だよ。知っているかな? 太古からブユ――星の意思と交信する力を持っていた人たち。彼らの仕事はブユの言葉を忠実に記録すること。ブユの暴走を起こす手立てを知った彼らは石板に文字を刻み、その恐ろしさを隠そうとして海に沈めた。
その石板はのちに、大樹堂のどこかに隠された。ブユと精通した人間でしか通れないように罠を仕掛けたという。なぜ石板は壊されなかったのか? それは、古代ブユ人には壊せなかったからだ。ブユの意思がすりこまれた石板は強力なエネルギーを宿し、もはや古代ブユ人にも手に負えない物となった」
エシルバはナジーンの説明を恐ろしい気持ちで聞いていた。ブユの暴走は破壊と創造の現象と言われているが、実際は星を死に至らしめる恐ろしいもの、つまりは世界の終わりだ。それなのに、ブユの暴走を起こす方法をわざわざ目に残る物にして残しておくなんて。まったく、古代ブユ人も、ブユもどうかしている。そう思うのは自分だけだろうか?
「いずれにしても石板が必要なんですよね。だって、アバロンを止めるためには扉を開かなければならないんですから」
「その通り」
「だったら、古代ブユ人の子孫に場所を聞けば……」
「彼らはジリー軍に拷問されてしまった」
「そんな」
エシルバはがくぜんとした。
「シクワ=ロゲンは古代ブユ人を保護しようとした。対ジリー軍防衛課がその筆頭……古代ブユ人の保護活動をしていたのだが、ジリー軍の方が一枚上手だった」
「じゃあ、まさか、ジリー軍はもう石板の場所を知っているんですか?」
「検討はつかないが、探しているのは確かだ」
ナジーンがつらそうに言うのでエシルバは質問を変えた。
「その、あなたも石板の場所を知らないのですか?」
「私が?」ナジーンはおかしそうに笑った。「分かっていたらこんな話をしないだろうね」
「できれば今すぐにでも協力したいんですが、僕にも分かりません。石板の場所も、石板に書かれている文字のことも」
「もちろん。でも、いずれ君の力を借りなくてはならないときがくるだろう。われわれ大人たちが君をサポートしていくから安心してほしい」
「僕でよければ」
エシルバは快く答えた。
「ありがとう」ナジーンはホッとした表情で言った。「いいかい? 君は普通の子どもではない。ブユの鍵を持った特別な子だ。ジリー軍の一味は君を利用しようと、既にこの大樹堂の中に潜んでいるかもしれないのだよ。だから気を付けたまえ」
冷静に考えてみれば、例の石板が大樹堂にあるなんてうそなのでは? とも思った。まず、それがどのくらいの大きさなのか、重さはどのくらいなのか、まともな情報がないのだから。ましてや人に聞いて回れるような話でもない。これは大変デリケートな問題なのだ。
その日の夜、エシルバは大きなショックに見舞われた。
あらざる手袋を外すと、あざがうっすらと奇妙な鍵の文様に変わっていたのだ。このタイミングで? という戸惑いと、釈然としなかった疑問が事実へと変わっていった。エシルバは直ちに自分の部屋を抜け出して3階にある監視官の部屋に向かった。ドアをノックすると寝間着姿のジオノワーセンが出てきた。
「ジオノワーセン、アムレイ! あなたたちならなんとかできるでしょう?」
エシルバが興奮して叫ぶと、奥からアムレイが姿を現して部屋の中に入れてくれた。
「顔色が悪い。ジーオ、温かいお茶でも入れてあげろ」
心配する2人の大人を前にエシルバはおずおずと話し出した。
「鍵のこと、誰に言えばいいのか分からなくて」
アムレイは目を細めた。
「変化があったのか」
「鍵が……鍵が、こんなに濃く浮かび上がってきたんだ!」
エシルバはおびえながら右手を2人の前に差し出した。
「ジオノワーセンの言う通りだった。これは夢じゃない。夢じゃないんだ!」
「怖がらないで」
ジオノワーセンは温かいお茶の入ったカップを差し出すと、エシルバの肩を包みながらそっと言った。
「君は星に選ばれた。いうなれば、偉大なブユと一つにつながっているんだ」
「アムレイ、今そんなことを言わなくても」
「怖いんだ。こんなもの、こんな腕! 切り捨ててよ!」
エシルバは何度も懇願した。だが、2人はエシルバの様子が落ち着くまでひたすら待ち続けた。抗えない眠気と動揺が入り混じった頃、エシルバはようやく心を落ち着けて2人と向き合うことができた。
「君の腕を切ることはできない」
アムレイは答えた。
エシルバはなるべく右手の文様を見ないようにしてふかふかのソファに移った。
「あんなこと言ってごめんなさい。怖くてつい……正気でいられなくなったんだ」
「恐れは人間に必要な防衛本能だ。逆に恐れを知らない人間はいつか取り返しのつかないミスをするだろう。さて、鍵が濃く現れた原因は二つ考えられる。ブユのエネルギーを感じるなにかに近づいたか、君自身の中でエネルギーを増幅させるなにかがあったか、いずれも断定はできない」
アムレイは顎に手を当てながら考え込んだ。
「今はあまり難しく考える必要はないさ」
ジオノワーセンは穏やかに言った。
「ブユの石板を探しているの?」
その言葉にアムレイは首をかしげた。
「誰から聞いた」
「ナジーンから。ねぇ、アバロンを止めるためにはその石板が必要なんでしょう?」
アムレイは失望のため息を漏らした。
「まだこの子には話すべきではないと言っておいたのに……」
「あの人は行動派だから」
「そういう問題ではない」アムレイは厳しく言った。「エシルバ。まずは君がこの生活に慣れるということが先決なんだ。分かるかい? 最初からなんでもかんでも手を出せば、うまくいくものもうまくいかなくなる」
「分かったよ。手掛かりはまだ一つも見つかっていないの?」
「そうだな、今のところは」
アムレイは言った。
「大樹堂にあるのにどうして見つけられないの?」
「痛いところを突かれた」アムレイは気難しそうに言った。「私にも答えようはない」
「焦らずにいくんだ。必ず見つかる手立てはあるはずだ」
ジオノワーセンはエシルバにそうほほ笑み掛けた。
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