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番外:SS・140文字など
俺とシノさんのゴージャス慰安旅行
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商店街主催の『格安ご優待慰安旅行』ちゅーのをやるから、一緒に行こうぜ! ってシノさんが言い出した時は、俺は話半分にしか聞いてなかった。
なぜなら、その旅行の日程が十二月に入って間もない、平日だったからだ。
どうせ商店街の御歴々の茶飲み話で、なんとなく旅行にでも行きたいねぇ…なんていって出た程度の話だろうし、一泊旅行なんてむしろ疲れるだけだと、おかみさん達に怒られて尻すぼみになるに決まってる。
シノさんは最強運を持つ男だけど、噂話に踊らされる程度の事は、年中やらかしてるから、その話も、有耶無耶の内に立ち消えるだろうと思っていた。
だがその旅行は、実現しちゃったのだ。
シノさんが俺の財布から二千五百円抜いてって、いつになく細かい抜き出しは何だろう…と思ってたら、ほどなく坂の上商店街から発行された旅行パンフを渡された。
そして俺は今、超がつくほど豪華な、観光地のトンデモホテルの前に立っている。
「多聞クン、どうしたの?」
声を掛けてきたのは、カモネギのおっさんだった。
シノさんのやっている中古アナログレコードの店・マエストロ神楽坂は、地元の『坂の上商店街』に加盟している。
カモネギのおっさんは、その商店街の会長だ。
商店街加盟店の中で、最も老舗の料亭『櫻茶屋』の主人で、本当は根岸鴨村という名なのだけど、シノさんが『カモネギのおっさん』と呼ぶので、俺にもその名前が刷り込まれてしまっているのだ。
「えっ? 俺の名前…ご存知なんですか?」
商店街加盟店のオーナーであるシノさんすら、名前は覚えてもらえずに店名で呼ばれるのだから、会長が俺の名前を覚えているワケが無い…と思っていたのに…。
「そんな事は、商人として当たり前だよ! そんなコトより、どうしたの? バス酔い?」
「いや、ホテルの佇まいがすごいな…って」
俺がもう一度見上げたホテルの屋上には、どデカいネオンのホテル名がギンギンに輝いている。
「そりゃスゴくなきゃ! 黄金風呂もあるんだよ、このホテル!」
「そのわりに、空いてません?」
「空いてるに決まってるでしょ。その時期を狙って旅程を組んだんだから!」
マエストロさんもなかなか面白いけど、オトモダチも面白いねぇ! とか言って、カモネギのおっさんは上機嫌だ。
「さあさあ、入った入った!」
おかしな日程のナゾが解明されて、イロイロ微妙な気分になっていた俺の背中をバンバンとぶっ叩き、カモネギのおっさんは俺の体を、そのスーパーゴージャスな観光地ホテルの入り口へ、グイグイと押し込んだ。
「へえ、カモネギも此処にしたんだ」
ロビーに入ったところで、唐突に声を掛けられる。
まさかシノさんが、本人に向かって「カモネギ」呼ばわりしちゃったの!? と俺はビビった。
が、声の主は違っていた。
じゃあ一体、誰がカモネギ呼ばわりしたのか…と思っていたら、麻生太郎の外相ファッションにキザったらしさを二百パーセント添加したみたいなおっさんが、流し目ポーズでこっちを見ている。
「うな重! なんでおまえが此処にっ!」
先刻までの上機嫌が嘘みたいに、カモネギのおっさんの背景に、暗雲と『ゴゴゴゴ…』なんて擬音が立ち込める。
「なんでも何も、商店街の慰労旅行だから、来るに決まってるでしょ」
「なんで、ウチの慰労旅行に、おまえがっ!?」
「え~? 僕はウチの慰労旅行に来てるんだよ? なんにもおかしかないでしょ?」
「なんだとっ!」
カモネギのおっさんは、周囲をキョロキョロと見回し「あっ! あいつは!」とか「くそっ、あいつまでっ!」とか言ってから、再び流し目のおっさんを睨みつけた。
「なんで日程から行き先まで、わざわざウチと同じところにしてるんだっ!?」
「そ~りゃ、こっちのセリフだよ。それとも、僕のおしり追っかけてきてるの? や~らしー」
「うな重のケツを蹴り飛ばす企画でもない限り、おたくの顔なぞ見たくもないわいっ!」
突然始まった、還暦っぽいおっさん二人の応酬に、俺は唖然となった。
「おー、やってるやってる」
俺の隣に立ったシノさんが、意味深にニヤニヤしている。
「なんなのアレ?」
「生涯の仇敵ってヤツじゃな。とりあえず、俺らは部屋に行こうぜ」
何らかの事情を知っていそうなシノさんに、俺は問うた。
「あの麻生太郎みたいなおっさん、誰?」
「ありゃ『かみくら』のオーナーじゃ」
「マジでっ?」
かみくらと言ったら、坂道商店街の老舗の鰻割烹だ。
坂道商店街と坂の上商店街は、地図で言うと一本道なのだが、大久保通りを境にして敵対している。
特に件の『かみくら』と『櫻茶屋』の戦いは、熾烈といっても過言では無い。
「あのおっさんは、鰻重久とかゆー名前なので、うな重と呼ばれてるが。ま、声に出してハッキリ『うな重』と呼べるのは、カモネギのおっさんくらいじゃろ」
けけっと笑って、シノさんはフロントから受け取ったキーをぶらぶらさせながら歩いていってしまった。
§
部屋でウェルカムスイーツを食べていたら、瀬戸物屋のおかみさんがやってきて、回覧板を渡された。
なんでもバスの中で説明された『個別に予約及び支払いをする事』になっていた施設やサービスのいくつかが、いきなりカモネギのおっさん持ちになったのだけど、その種類がめっちゃ豊富なので、急遽コピーを作って配布してきたようだ。
夕食はバイキング形式のホテルのレストラン利用だったはずが、大宴会場の貸し切りになってる上に、酒類も飲み放題になっているし、ファミリー風呂やマッサージのようなものも、個人精算しなくて良くなっている。
どうやら、うな重とカモネギの戦いは激しくヒートアップして、ホテルのサービスをどっちがどこまで確保出来るか? って事になったらしい。
大浴場の壁面には大きな水槽がついていて、クラゲが泳いでいるとかなんとか、バスの中で金物屋の奥さんが教えてくれたので、俺の興味はそっちに惹かれていたのだが。
シノさんの「ファミリー風呂の方が、二人っきりで気楽だぜ!」って一言で、まずはファミリー風呂に行く事になった。
§
館内は、備え付けの浴衣と専用スリッパで、好き放題に歩き回って良いって話だったから、俺達は早速着替え、タオルを一本持ってファミリー風呂にやってきた。
ファミリー風呂は、男女混浴可能のこぶりな施設だが、ホテルの部屋を風呂に改装したような感じで仕切られていて、ベランダ部分に相当する場所がちっこい露天風呂になっている。
シノさんはご機嫌で湯船に浸かっているが、クソ寒い十二月の寒風に、更にホテルの上層階なもんだから、外に出た瞬間の寒さは尋常じゃない。
俺はヒイヒイ言いながら、慌てて湯船に飛び込んだ。
ちっこい露天風呂と言っても、それはあくまで大浴場と比較しての話で、ホテルの施設だし、親子四人ぐらいで入っても、まだまだ余裕があるほどの大きさだ。
木製のすのこっぽい床に、四角く湯船が仕切られていて、ちょっとした坪庭的な玉砂利と植木があり、竹垣っぽい壁で囲ってある。
屋根は無いけど、風呂の上には直射日光を遮る工夫がされている。
お湯は乳白色のにごり湯で、肌触りも柔らかい。
商店街のおっさんやおばちゃんに囲まれたバスの移動は、色々とストレスだったけど、少しは気分がほぐれそうだ。
「やっぱ風呂は、露天だよなぁ!」
「シノさんの自宅の風呂、ほぼ露天じゃん」
「あんなん、露天って言わねぇし」
ゲラゲラ笑った後に、シノさんがすす~っと俺の方に泳ぎ寄ってきた。
「な…なに?」
「なにって、ほぼ貸し切りの露天でするコトつったら、一択じゃろ?」
「ちょ…っ、何言ってんの? ほぼってコトは、誰か来るかもってコトじゃんかっ!」
「みんな宴会場で飲んだくれてるから、ダイジョブだって」
そこで俺の肩口に顎を乗せ、シノさんは甘い声で「なぁ、イイだろ~」などと囁いてくる。
そんな風に誘われては…。
俺にだって理性の限界ってモンがあって…。
据え膳食わぬは…。
なんてグルグル考えてる間に、シノさんは俺の頬に口をくっつけて、更に口と口をくっつけてきて…、俺の分身はすっかりその気になってきてしまった。
「いや~、寒いねぇ!」
前触れもなく扉が開いたと思ったら、どやどやっと人の入ってくる気配と共に、カモネギのおっさんのデカイ声が響いた。
俺は慌てふためいて狼狽えたが、シノさんはしれっとした顔で俺から離れて、何事も無かったみたいに湯に浸かってる。
露天になだれ込んできたのは、カモネギのおっさんと瀬戸物屋のダンナだ。
二人が湯船に入ると、お湯がザーーーっと溢れかえった。
「マエストロさん、楽しんでる~?」
「もっちろん、やっぱ露天は、いっすね~」
あははははっ! とか言って、シノさんはカモネギのおっさんと話始めてしまい、元々寡黙で口を利かない瀬戸物屋のダンナは、俺を華麗にスルーしていて、分身がその気になってる俺は、にごり湯で見えないのだけを唯一の隠れ蓑に、必死になって「静まれ~、静まれ~」と心の中で呪文を唱えていた。
しかし…。
「どぅわ~~~! むしーーーーーっ!」
露天に響き渡るような悲鳴を上げると、突然シノさんは湯船から飛び上がって、いなくなってしまった。
「えっ、虫っ?」
シノさんほどでは無いが、正直俺だって虫は苦手だ。
「あはははっ、マエストロさん、面白いなぁ!」
ゲラゲラ笑いながら、カモネギのおっさんはナニカを掬って、玉砂利の方へとお湯ごと放った。
「なんですか?」
寡黙な瀬戸物屋のダンナが、どっかの殺し屋みたいなソフトなテナーでカモネギのおっさんに訊ねた。
「ムカデだよ。マエストロさん、忙しないよねぇ。ムカデなんて、温泉に落っこったら直ぐに煮えて死んじゃうのに」
再びカモネギのおっさんは、あはははと笑う。
もしかしてこのおっさん、既に一杯引っ掛けてきてんじゃなかろうか?
「多聞クン、マエストロさん追いかけなくて、いいの?」
「シノさんはカラスの行水だけど、俺は長っ風呂なんで」
未だ下半身が、他人に見られては困る状態だったので、俺は適当な言い訳をした。
§
ほうほうの体で、ようやく風呂場から逃げ出す事が出来たのは、それから十分以上も後だった。
たった十分と言えば十分だが、カモネギのおっさんがずうっと『うな重』の悪口というか、愚痴を垂れ流していて、しかも合間合間に俺の苦手なウンチクが織り交ぜられている独壇場を聞かされ続ける…という、なんの苦行タイムなの? みたいな状態だった。
いつもなら適当に切り上げられるモノだが、下半身の緊急事態が収まらない事には湯から上がる事は出来ない。
マジで永遠にも思える十分だった。
湯あたり的なのぼせと、愚痴とウンチクによる精神攻撃で、ぐったりうんざりしながら脱衣所に戻ると、そこには鬼の形相のシノさんが待っていた。
「さっさと戻ってこいよ!」
「戻れるワケないでしょっ! シノさんが俺のコト、出られないカッコにしたクセにっ!」
さすがに腹が立って、俺は強く言い返してしまったのだが、途端に目の前が真っ暗になった。
§
フッと目が覚めると、暗い室内だった。
なんだか一瞬ワケが判らなかったが、起き上がると枕元にポカリが置いてある。
薄らぼんやりと状況を思い出して、どうも湯あたりをしたんだな…と察しがついた。
ゴソゴソと起き上がり、部屋の明かりを点けてみたが、シノさんの姿は無い。
シノさんが団体行動の出来ない気質な事は、イヤってほど知ってる。
だから絶対に、終わりなき宴会に加わっているとは思えなかった。
もしかして、少しは俺の事に責任を感じて、医者でも呼びに行ったのだろうか?
だとしたらもう必要ないし、申し訳ないから、そんなもんは不要だと伝えなくちゃ…と、思った。
後から考えると、この時の俺は、まだ湯あたりのぼんやりが残っていて、正常な判断が出来ない状態だったのかもしれない。
とにかく、俺は簡単な身支度をして、部屋を出た。
§
俺は、半ば泣きながら部屋の扉を開けた。
「オマエ、どこ行っちゃってたんだよ! アイス溶けちゃったぞっ!」
「うわ~~~~~! 帰ってこられたぁ!」
思わず出た言葉は、その一言だった。
「は? どーしたの?」
「シノさんが医者を呼びに行ったらワルイと思って、探しに行ってたんだよ~~」
「俺、アイス買いに行っただけだし。部屋を空けたの五分ぐらいだぜ?」
俺が部屋を出てから、優に二時間は経過している。
「だってぇ~~~~、ホテルが広すぎて迷子になっちゃったんだよ~~~」
シノさんは、なんの容赦もなく噴いた。
「酷いよシノさん! そこで笑うっ?」
腹を抱えて笑い転げてから、シノさんはおもむろにハーゲンダッツのラムレーズンを差し出してくれた。
「ほら、オマエの分。ま、かな~り溶けちゃってっけどな」
フタを開けると、かな~りどころか、溶けてないところが無いみたく見える。
だけど、湯あたりの俺を心配して、シノさんがコレを調達してくれたんだし、ホテルの部屋には冷蔵庫が無かったので、これはこれで仕方がないのかもな…と思った。
「しっかり元気になって、明日に備えろよ」
「なにそれ?」
「だってオマエ、どう考えたって帰りのバスは、会長のうな重コキオロシ号になるに決まってんだろ」
「うええ? 風呂場のアレが、まだ続くのっ?」
なんか、せっかくのほっこり気分が、一気にぶっ飛んだ。
*俺とシノさんのゴージャス慰安旅行:おわり*
§:閑話
毎度おなじみのシノレンのドタバタですが、時間軸的には本編開始の一年ほど前、つまりシノさんがマエストロ神楽坂を始めて間もない頃…てな設定です。
商店街に加盟してすぐなので、面倒見の良い商店会長サンが目を掛けてくれている…みたいな?
商店会長のカモネギこと根岸鴨村氏は、バイタリティに溢れた、ウンチクを語り出すと止まらないおっさんですが、小柄でデコが広めのいわゆる "赤ちゃん顔" な可愛いヒトです。
実は負けん気が強くて、ウンチクを垂れ流せるだけの知識は、若かりし頃にうな重に負けたくない一心でバリバリ勉強をした結果なのです。
一方の鰻重久氏は、カモネギが可愛くて仕方がないヒトです。
坂の上商店街と、坂道商店街は、小学校の学区が一緒なので、同い年のカモネギとうな重は、同じ小学校に通っていたのですが。
可愛いカモネギと友達になりたかったのに、いがみ合う商店街の、それぞれ老舗の跡取りだったために、友達になる事は叶わず。
とりあえず、うな重が先に「カモネギ」と言ってからかったのです。
負けん気の強いカモネギは「それならオマエはうな重じゃないかっ!」と言い返し、大喧嘩になってしまったのでした(ちゃんちゃん)。
時間軸とか出会うシチュエーションが違っていたら、相思相愛だったかもしれない二人のおっさんです。
更に言ってしまうと、シノレンのグダグダなラブラブ模様よりも、カモネギとうな重が書きたかっただけの短編だったりします(笑)
なぜなら、その旅行の日程が十二月に入って間もない、平日だったからだ。
どうせ商店街の御歴々の茶飲み話で、なんとなく旅行にでも行きたいねぇ…なんていって出た程度の話だろうし、一泊旅行なんてむしろ疲れるだけだと、おかみさん達に怒られて尻すぼみになるに決まってる。
シノさんは最強運を持つ男だけど、噂話に踊らされる程度の事は、年中やらかしてるから、その話も、有耶無耶の内に立ち消えるだろうと思っていた。
だがその旅行は、実現しちゃったのだ。
シノさんが俺の財布から二千五百円抜いてって、いつになく細かい抜き出しは何だろう…と思ってたら、ほどなく坂の上商店街から発行された旅行パンフを渡された。
そして俺は今、超がつくほど豪華な、観光地のトンデモホテルの前に立っている。
「多聞クン、どうしたの?」
声を掛けてきたのは、カモネギのおっさんだった。
シノさんのやっている中古アナログレコードの店・マエストロ神楽坂は、地元の『坂の上商店街』に加盟している。
カモネギのおっさんは、その商店街の会長だ。
商店街加盟店の中で、最も老舗の料亭『櫻茶屋』の主人で、本当は根岸鴨村という名なのだけど、シノさんが『カモネギのおっさん』と呼ぶので、俺にもその名前が刷り込まれてしまっているのだ。
「えっ? 俺の名前…ご存知なんですか?」
商店街加盟店のオーナーであるシノさんすら、名前は覚えてもらえずに店名で呼ばれるのだから、会長が俺の名前を覚えているワケが無い…と思っていたのに…。
「そんな事は、商人として当たり前だよ! そんなコトより、どうしたの? バス酔い?」
「いや、ホテルの佇まいがすごいな…って」
俺がもう一度見上げたホテルの屋上には、どデカいネオンのホテル名がギンギンに輝いている。
「そりゃスゴくなきゃ! 黄金風呂もあるんだよ、このホテル!」
「そのわりに、空いてません?」
「空いてるに決まってるでしょ。その時期を狙って旅程を組んだんだから!」
マエストロさんもなかなか面白いけど、オトモダチも面白いねぇ! とか言って、カモネギのおっさんは上機嫌だ。
「さあさあ、入った入った!」
おかしな日程のナゾが解明されて、イロイロ微妙な気分になっていた俺の背中をバンバンとぶっ叩き、カモネギのおっさんは俺の体を、そのスーパーゴージャスな観光地ホテルの入り口へ、グイグイと押し込んだ。
「へえ、カモネギも此処にしたんだ」
ロビーに入ったところで、唐突に声を掛けられる。
まさかシノさんが、本人に向かって「カモネギ」呼ばわりしちゃったの!? と俺はビビった。
が、声の主は違っていた。
じゃあ一体、誰がカモネギ呼ばわりしたのか…と思っていたら、麻生太郎の外相ファッションにキザったらしさを二百パーセント添加したみたいなおっさんが、流し目ポーズでこっちを見ている。
「うな重! なんでおまえが此処にっ!」
先刻までの上機嫌が嘘みたいに、カモネギのおっさんの背景に、暗雲と『ゴゴゴゴ…』なんて擬音が立ち込める。
「なんでも何も、商店街の慰労旅行だから、来るに決まってるでしょ」
「なんで、ウチの慰労旅行に、おまえがっ!?」
「え~? 僕はウチの慰労旅行に来てるんだよ? なんにもおかしかないでしょ?」
「なんだとっ!」
カモネギのおっさんは、周囲をキョロキョロと見回し「あっ! あいつは!」とか「くそっ、あいつまでっ!」とか言ってから、再び流し目のおっさんを睨みつけた。
「なんで日程から行き先まで、わざわざウチと同じところにしてるんだっ!?」
「そ~りゃ、こっちのセリフだよ。それとも、僕のおしり追っかけてきてるの? や~らしー」
「うな重のケツを蹴り飛ばす企画でもない限り、おたくの顔なぞ見たくもないわいっ!」
突然始まった、還暦っぽいおっさん二人の応酬に、俺は唖然となった。
「おー、やってるやってる」
俺の隣に立ったシノさんが、意味深にニヤニヤしている。
「なんなのアレ?」
「生涯の仇敵ってヤツじゃな。とりあえず、俺らは部屋に行こうぜ」
何らかの事情を知っていそうなシノさんに、俺は問うた。
「あの麻生太郎みたいなおっさん、誰?」
「ありゃ『かみくら』のオーナーじゃ」
「マジでっ?」
かみくらと言ったら、坂道商店街の老舗の鰻割烹だ。
坂道商店街と坂の上商店街は、地図で言うと一本道なのだが、大久保通りを境にして敵対している。
特に件の『かみくら』と『櫻茶屋』の戦いは、熾烈といっても過言では無い。
「あのおっさんは、鰻重久とかゆー名前なので、うな重と呼ばれてるが。ま、声に出してハッキリ『うな重』と呼べるのは、カモネギのおっさんくらいじゃろ」
けけっと笑って、シノさんはフロントから受け取ったキーをぶらぶらさせながら歩いていってしまった。
§
部屋でウェルカムスイーツを食べていたら、瀬戸物屋のおかみさんがやってきて、回覧板を渡された。
なんでもバスの中で説明された『個別に予約及び支払いをする事』になっていた施設やサービスのいくつかが、いきなりカモネギのおっさん持ちになったのだけど、その種類がめっちゃ豊富なので、急遽コピーを作って配布してきたようだ。
夕食はバイキング形式のホテルのレストラン利用だったはずが、大宴会場の貸し切りになってる上に、酒類も飲み放題になっているし、ファミリー風呂やマッサージのようなものも、個人精算しなくて良くなっている。
どうやら、うな重とカモネギの戦いは激しくヒートアップして、ホテルのサービスをどっちがどこまで確保出来るか? って事になったらしい。
大浴場の壁面には大きな水槽がついていて、クラゲが泳いでいるとかなんとか、バスの中で金物屋の奥さんが教えてくれたので、俺の興味はそっちに惹かれていたのだが。
シノさんの「ファミリー風呂の方が、二人っきりで気楽だぜ!」って一言で、まずはファミリー風呂に行く事になった。
§
館内は、備え付けの浴衣と専用スリッパで、好き放題に歩き回って良いって話だったから、俺達は早速着替え、タオルを一本持ってファミリー風呂にやってきた。
ファミリー風呂は、男女混浴可能のこぶりな施設だが、ホテルの部屋を風呂に改装したような感じで仕切られていて、ベランダ部分に相当する場所がちっこい露天風呂になっている。
シノさんはご機嫌で湯船に浸かっているが、クソ寒い十二月の寒風に、更にホテルの上層階なもんだから、外に出た瞬間の寒さは尋常じゃない。
俺はヒイヒイ言いながら、慌てて湯船に飛び込んだ。
ちっこい露天風呂と言っても、それはあくまで大浴場と比較しての話で、ホテルの施設だし、親子四人ぐらいで入っても、まだまだ余裕があるほどの大きさだ。
木製のすのこっぽい床に、四角く湯船が仕切られていて、ちょっとした坪庭的な玉砂利と植木があり、竹垣っぽい壁で囲ってある。
屋根は無いけど、風呂の上には直射日光を遮る工夫がされている。
お湯は乳白色のにごり湯で、肌触りも柔らかい。
商店街のおっさんやおばちゃんに囲まれたバスの移動は、色々とストレスだったけど、少しは気分がほぐれそうだ。
「やっぱ風呂は、露天だよなぁ!」
「シノさんの自宅の風呂、ほぼ露天じゃん」
「あんなん、露天って言わねぇし」
ゲラゲラ笑った後に、シノさんがすす~っと俺の方に泳ぎ寄ってきた。
「な…なに?」
「なにって、ほぼ貸し切りの露天でするコトつったら、一択じゃろ?」
「ちょ…っ、何言ってんの? ほぼってコトは、誰か来るかもってコトじゃんかっ!」
「みんな宴会場で飲んだくれてるから、ダイジョブだって」
そこで俺の肩口に顎を乗せ、シノさんは甘い声で「なぁ、イイだろ~」などと囁いてくる。
そんな風に誘われては…。
俺にだって理性の限界ってモンがあって…。
据え膳食わぬは…。
なんてグルグル考えてる間に、シノさんは俺の頬に口をくっつけて、更に口と口をくっつけてきて…、俺の分身はすっかりその気になってきてしまった。
「いや~、寒いねぇ!」
前触れもなく扉が開いたと思ったら、どやどやっと人の入ってくる気配と共に、カモネギのおっさんのデカイ声が響いた。
俺は慌てふためいて狼狽えたが、シノさんはしれっとした顔で俺から離れて、何事も無かったみたいに湯に浸かってる。
露天になだれ込んできたのは、カモネギのおっさんと瀬戸物屋のダンナだ。
二人が湯船に入ると、お湯がザーーーっと溢れかえった。
「マエストロさん、楽しんでる~?」
「もっちろん、やっぱ露天は、いっすね~」
あははははっ! とか言って、シノさんはカモネギのおっさんと話始めてしまい、元々寡黙で口を利かない瀬戸物屋のダンナは、俺を華麗にスルーしていて、分身がその気になってる俺は、にごり湯で見えないのだけを唯一の隠れ蓑に、必死になって「静まれ~、静まれ~」と心の中で呪文を唱えていた。
しかし…。
「どぅわ~~~! むしーーーーーっ!」
露天に響き渡るような悲鳴を上げると、突然シノさんは湯船から飛び上がって、いなくなってしまった。
「えっ、虫っ?」
シノさんほどでは無いが、正直俺だって虫は苦手だ。
「あはははっ、マエストロさん、面白いなぁ!」
ゲラゲラ笑いながら、カモネギのおっさんはナニカを掬って、玉砂利の方へとお湯ごと放った。
「なんですか?」
寡黙な瀬戸物屋のダンナが、どっかの殺し屋みたいなソフトなテナーでカモネギのおっさんに訊ねた。
「ムカデだよ。マエストロさん、忙しないよねぇ。ムカデなんて、温泉に落っこったら直ぐに煮えて死んじゃうのに」
再びカモネギのおっさんは、あはははと笑う。
もしかしてこのおっさん、既に一杯引っ掛けてきてんじゃなかろうか?
「多聞クン、マエストロさん追いかけなくて、いいの?」
「シノさんはカラスの行水だけど、俺は長っ風呂なんで」
未だ下半身が、他人に見られては困る状態だったので、俺は適当な言い訳をした。
§
ほうほうの体で、ようやく風呂場から逃げ出す事が出来たのは、それから十分以上も後だった。
たった十分と言えば十分だが、カモネギのおっさんがずうっと『うな重』の悪口というか、愚痴を垂れ流していて、しかも合間合間に俺の苦手なウンチクが織り交ぜられている独壇場を聞かされ続ける…という、なんの苦行タイムなの? みたいな状態だった。
いつもなら適当に切り上げられるモノだが、下半身の緊急事態が収まらない事には湯から上がる事は出来ない。
マジで永遠にも思える十分だった。
湯あたり的なのぼせと、愚痴とウンチクによる精神攻撃で、ぐったりうんざりしながら脱衣所に戻ると、そこには鬼の形相のシノさんが待っていた。
「さっさと戻ってこいよ!」
「戻れるワケないでしょっ! シノさんが俺のコト、出られないカッコにしたクセにっ!」
さすがに腹が立って、俺は強く言い返してしまったのだが、途端に目の前が真っ暗になった。
§
フッと目が覚めると、暗い室内だった。
なんだか一瞬ワケが判らなかったが、起き上がると枕元にポカリが置いてある。
薄らぼんやりと状況を思い出して、どうも湯あたりをしたんだな…と察しがついた。
ゴソゴソと起き上がり、部屋の明かりを点けてみたが、シノさんの姿は無い。
シノさんが団体行動の出来ない気質な事は、イヤってほど知ってる。
だから絶対に、終わりなき宴会に加わっているとは思えなかった。
もしかして、少しは俺の事に責任を感じて、医者でも呼びに行ったのだろうか?
だとしたらもう必要ないし、申し訳ないから、そんなもんは不要だと伝えなくちゃ…と、思った。
後から考えると、この時の俺は、まだ湯あたりのぼんやりが残っていて、正常な判断が出来ない状態だったのかもしれない。
とにかく、俺は簡単な身支度をして、部屋を出た。
§
俺は、半ば泣きながら部屋の扉を開けた。
「オマエ、どこ行っちゃってたんだよ! アイス溶けちゃったぞっ!」
「うわ~~~~~! 帰ってこられたぁ!」
思わず出た言葉は、その一言だった。
「は? どーしたの?」
「シノさんが医者を呼びに行ったらワルイと思って、探しに行ってたんだよ~~」
「俺、アイス買いに行っただけだし。部屋を空けたの五分ぐらいだぜ?」
俺が部屋を出てから、優に二時間は経過している。
「だってぇ~~~~、ホテルが広すぎて迷子になっちゃったんだよ~~~」
シノさんは、なんの容赦もなく噴いた。
「酷いよシノさん! そこで笑うっ?」
腹を抱えて笑い転げてから、シノさんはおもむろにハーゲンダッツのラムレーズンを差し出してくれた。
「ほら、オマエの分。ま、かな~り溶けちゃってっけどな」
フタを開けると、かな~りどころか、溶けてないところが無いみたく見える。
だけど、湯あたりの俺を心配して、シノさんがコレを調達してくれたんだし、ホテルの部屋には冷蔵庫が無かったので、これはこれで仕方がないのかもな…と思った。
「しっかり元気になって、明日に備えろよ」
「なにそれ?」
「だってオマエ、どう考えたって帰りのバスは、会長のうな重コキオロシ号になるに決まってんだろ」
「うええ? 風呂場のアレが、まだ続くのっ?」
なんか、せっかくのほっこり気分が、一気にぶっ飛んだ。
*俺とシノさんのゴージャス慰安旅行:おわり*
§:閑話
毎度おなじみのシノレンのドタバタですが、時間軸的には本編開始の一年ほど前、つまりシノさんがマエストロ神楽坂を始めて間もない頃…てな設定です。
商店街に加盟してすぐなので、面倒見の良い商店会長サンが目を掛けてくれている…みたいな?
商店会長のカモネギこと根岸鴨村氏は、バイタリティに溢れた、ウンチクを語り出すと止まらないおっさんですが、小柄でデコが広めのいわゆる "赤ちゃん顔" な可愛いヒトです。
実は負けん気が強くて、ウンチクを垂れ流せるだけの知識は、若かりし頃にうな重に負けたくない一心でバリバリ勉強をした結果なのです。
一方の鰻重久氏は、カモネギが可愛くて仕方がないヒトです。
坂の上商店街と、坂道商店街は、小学校の学区が一緒なので、同い年のカモネギとうな重は、同じ小学校に通っていたのですが。
可愛いカモネギと友達になりたかったのに、いがみ合う商店街の、それぞれ老舗の跡取りだったために、友達になる事は叶わず。
とりあえず、うな重が先に「カモネギ」と言ってからかったのです。
負けん気の強いカモネギは「それならオマエはうな重じゃないかっ!」と言い返し、大喧嘩になってしまったのでした(ちゃんちゃん)。
時間軸とか出会うシチュエーションが違っていたら、相思相愛だったかもしれない二人のおっさんです。
更に言ってしまうと、シノレンのグダグダなラブラブ模様よりも、カモネギとうな重が書きたかっただけの短編だったりします(笑)
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そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
ニンジャマスター・ダイヤ
竹井ゴールド
キャラ文芸
沖縄県の手塚島で育った母子家庭の手塚大也は実母の死によって、東京の遠縁の大鳥家に引き取られる事となった。
大鳥家は大鳥コンツェルンの創業一族で、裏では日本を陰から守る政府機関・大鳥忍軍を率いる忍者一族だった。
沖縄県の手塚島で忍者の修行をして育った大也は東京に出て、忍者の争いに否応なく巻き込まれるのだった。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
デリバリー・デイジー
SoftCareer
キャラ文芸
ワケ有りデリヘル嬢デイジーさんの奮闘記。
これを読むと君もデリヘルに行きたくなるかも。いや、行くんじゃなくて呼ぶんだったわ……あっ、本作品はR-15ですが、デリヘル嬢は18歳にならないと呼んじゃだめだからね。
※もちろん、内容は百%フィクションですよ!
学園戦記三国志~リュービ、二人の美少女と義兄妹の契りを結び、学園において英雄にならんとす 正史風味~
トベ・イツキ
キャラ文芸
三国志×学園群像劇!
平凡な少年・リュービは高校に入学する。
彼が入学したのは、一万人もの生徒が通うマンモス校・後漢学園。そして、その生徒会長は絶大な権力を持つという。
しかし、平凡な高校生・リュービには生徒会なんて無縁な話。そう思っていたはずが、ひょんなことから黒髪ロングの清楚系な美女とお団子ヘアーのお転婆な美少女の二人に助けられ、さらには二人が自分の妹になったことから運命は大きく動き出す。
妹になった二人の美少女の後押しを受け、リュービは謀略渦巻く生徒会の選挙戦に巻き込まれていくのであった。
学園を舞台に繰り広げられる新三国志物語ここに開幕!
このお話は、三国志を知らない人も楽しめる。三国志を知ってる人はより楽しめる。そんな作品を目指して書いてます。
今後の予定
第一章 黄巾の乱編
第二章 反トータク連合編
第三章 群雄割拠編
第四章 カント決戦編
第五章 赤壁大戦編
第六章 西校舎攻略編←今ココ
第七章 リュービ会長編
第八章 最終章
作者のtwitterアカウント↓
https://twitter.com/tobeitsuki?t=CzwbDeLBG4X83qNO3Zbijg&s=09
※このお話は2019年7月8日にサービスを終了したラノゲツクールに同タイトルで掲載していたものを小説版に書き直したものです。
※この作品は小説家になろう・カクヨムにも公開しています。
AIアイドル活動日誌
ジャン・幸田
キャラ文芸
AIアイドル「めかぎゃるず」はレトロフューチャーなデザインの女の子型ロボットで構成されたアイドルグループである。だからメンバーは全てカスタマーされた機械人形である!
そういう設定であったが、実際は「中の人」が存在した。その「中の人」にされたある少女の体験談である。
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