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第14話
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アパートの部屋に戻り、隠し撮った画像を再生して見た。
期待以上の出来だ。
置きっぱの固定カメラだし、ホームビデオの画質レベルなのだが、そんなコトで柊一サンの容姿が見劣りする訳もなく、ベッピンのシロウトがマジで本番をやらされてる様子が、生々しく撮れていた。
コレなら目一杯吹っ掛けても、ディーラーは言い値で買い取るだろう。
とりあえずグチ金にまとまった返済が出来る。
そう思ってホッとしながら、俺はビデオのスイッチを切った。
だけど気持ちの隅っこでは、これは他人には見せたくないな……なんて。
何考えてンだ、俺は。
こうやって撮った画像で荒稼ぎした事は、今までに何度もあるし、相手にバレて一悶着の末、慰謝料と称してアガリの一部をふんだくられた事だってあった。
今さらキレイゴト言っても始まらない。
とにかくコイツを金にして、グチ金にまとまった金を返しておかなければ、商売の出来ない身体にされても文句が言えないのだ。
ヤツらに袋ダタキにされたら、腕の一本や二本どころか、命まで取られる可能性がある。
甘ちゃんな事を言ってる場合じゃない。
俺は、画像を焼き付けたDVDを持って、DISTANCEに向かった。
買い取りのディーラーは、DISTANCEのマスター経由でコンタクトするのが一番確実なのだ。
だがマスターは、いつものように俺の持ち込んだ画像を検品すると、いつになく渋い顔つきになった。
「…ハルカ、コレってばこの間のベッピンさんじゃん。ずいぶんイイ身なりしてたけど、もうスッテンテンにしちゃったの?」
「なんだよ、いきなり」
「だってさぁ、もう全く相手から金の取りようがないって時じゃなきゃ、ここまであくどいコトしない主義…じゃなかったっけ?」
「ンなコト言ったって、グチ金の怖い取り立て屋が背後に迫ってるんだぜ? 背に腹代えられないでしょう」
「そりゃまぁ、そうなんだろうけどさ。それならこのベッピンから、寄付金募れば良いんじゃないの? だってその様子じゃ、まだこのベッピンと付き合う気あるんでしょ? むしろ俺は、このビデオをベッピンに買い取ってもらった方が、後くされなくてイイと思うけどなぁ」
ただでさえ妙な気分になっていたのに、マスターにそこまで言われては、ますます気が削がれた。
「じゃあ、とりあえず今はいいよ」
「うん、そーしなよ。その方が絶対イイって」
マスターの言うコトはもっともだ。
だがマスターは、肝心なトコが解ってないのだ。
いつも通りに客を手玉に取りすっかり貢がせている関係ならば、言いくるめてビデオを買い取らせる事も出来る。
でも実際は、俺はまだ柊一サンから一文の金銭も引き出してない。
こんなハンパな状態で、こんな画像を柊一サンに買い取らせる方法なんて、ある筈も無かった。
期待以上の出来だ。
置きっぱの固定カメラだし、ホームビデオの画質レベルなのだが、そんなコトで柊一サンの容姿が見劣りする訳もなく、ベッピンのシロウトがマジで本番をやらされてる様子が、生々しく撮れていた。
コレなら目一杯吹っ掛けても、ディーラーは言い値で買い取るだろう。
とりあえずグチ金にまとまった返済が出来る。
そう思ってホッとしながら、俺はビデオのスイッチを切った。
だけど気持ちの隅っこでは、これは他人には見せたくないな……なんて。
何考えてンだ、俺は。
こうやって撮った画像で荒稼ぎした事は、今までに何度もあるし、相手にバレて一悶着の末、慰謝料と称してアガリの一部をふんだくられた事だってあった。
今さらキレイゴト言っても始まらない。
とにかくコイツを金にして、グチ金にまとまった金を返しておかなければ、商売の出来ない身体にされても文句が言えないのだ。
ヤツらに袋ダタキにされたら、腕の一本や二本どころか、命まで取られる可能性がある。
甘ちゃんな事を言ってる場合じゃない。
俺は、画像を焼き付けたDVDを持って、DISTANCEに向かった。
買い取りのディーラーは、DISTANCEのマスター経由でコンタクトするのが一番確実なのだ。
だがマスターは、いつものように俺の持ち込んだ画像を検品すると、いつになく渋い顔つきになった。
「…ハルカ、コレってばこの間のベッピンさんじゃん。ずいぶんイイ身なりしてたけど、もうスッテンテンにしちゃったの?」
「なんだよ、いきなり」
「だってさぁ、もう全く相手から金の取りようがないって時じゃなきゃ、ここまであくどいコトしない主義…じゃなかったっけ?」
「ンなコト言ったって、グチ金の怖い取り立て屋が背後に迫ってるんだぜ? 背に腹代えられないでしょう」
「そりゃまぁ、そうなんだろうけどさ。それならこのベッピンから、寄付金募れば良いんじゃないの? だってその様子じゃ、まだこのベッピンと付き合う気あるんでしょ? むしろ俺は、このビデオをベッピンに買い取ってもらった方が、後くされなくてイイと思うけどなぁ」
ただでさえ妙な気分になっていたのに、マスターにそこまで言われては、ますます気が削がれた。
「じゃあ、とりあえず今はいいよ」
「うん、そーしなよ。その方が絶対イイって」
マスターの言うコトはもっともだ。
だがマスターは、肝心なトコが解ってないのだ。
いつも通りに客を手玉に取りすっかり貢がせている関係ならば、言いくるめてビデオを買い取らせる事も出来る。
でも実際は、俺はまだ柊一サンから一文の金銭も引き出してない。
こんなハンパな状態で、こんな画像を柊一サンに買い取らせる方法なんて、ある筈も無かった。
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