DISTANCE

RU

文字の大きさ
上 下
3 / 35

第2話

しおりを挟む
 店を出て、俺は馴染みのホテルに部屋を取った。
 そもそもあの店に来る事は、ソレが目当てだと言ってイイ。
 とはいえ、どう見ても超! 初心者の柊一サンみたいなタイプは、あからさまにそんな場所に入るように言われたら、躊躇するに決まっている。
 俺が馴染みで使っているトコロは、そういう部分にも配慮している…と言うか、DISTANCE同様に入り口は解りにくい場所にこそっと付いている。
 案の定、柊一サンは部屋に入ってから、ようやくそこがホテルの一室である事に気がついたらしい。
 部屋に入ったところで、戸惑った様子で立ちつくしている。
 俺は柊一サンの背後に立つと、後ろから腕を回して上着のボタンに手を掛けた。

「そんなトコに立ってないで、上着脱ぎなよ」
「あ…の……」
「いーじゃん、これから二人で楽しむンだし。…それとも、そんなつもりは全然無かった…って?」

 身体を傾けてワザと下から顔を覗き込むと、微かに頬を赤らめつつ、柊一サンは黙ってネクタイを解く。
 それを「了解」と受け取って、俺はそのまま前に回り込み、顔を寄せる。
 キスを促す仕種だと気付いた柊一サンは、ギュウッと目を閉じてうっすらと口唇を開いた。
 触れた口唇は、少し冷たくて、そして微かに震えている。
 抱き寄せて、啄むような口づけを続けながら、俺は柊一サンの着衣を脱がせた。

「シャワー、浴びよう?」

 少し緊張が解けた所でキスを中断し、そのままエスコートするようにバスルームへと導く。
 シャワーのコックを捻って熱い湯を注ぎながら、俺は再び口づけをねだる。
 そして柊一サンの注意をキスに向けさせたまま、自分は片手にボディソープを取り、滑った指先を柊一サンの股間に滑らせた。
 滑った指先を絡みつかせると、柊一サンは酷く驚いたように大きく目を見開いて、俺の顔を見つめている。
 構わずキスを続けながら、俺は指先に力を込めてやんわりと煽り立てた。
 優しく舌を絡め取りながら、ジイッと顔を見つめると、今度は戸惑った顔で目を伏せる。

「もうちょっと、足を開いて…。支えててあげるから、少し力を抜いて…」

 キスを中断して、柊一サンの背中をゆっくりタイルの壁に預けさせて、反応を返すその場所をまずはたっぷり追い上げる。
 どうやら柊一サンは、本当に真っ新の「他人の手を知らない身体」をしているらしい。
 異性との経験はどうか判らないが、少なくともこんな風に「愛された」事なんて無いんだろう。
 俺の指先に、他愛ないほど簡単に翻弄されていく。
 口唇を寄せて耳朶を噛み、首筋に口唇を這わせ、指先は全く焦らしもせずに熱を追い上げて。

「はっ……あっ!」

 シャワーのお湯が降り注ぐ中、微かな愉悦の声を上げて、柊一サンは俺の手の中に吐精した。

「身体、暖まったでしょ? 早くベッドに行こうよ。もっと愉しませてあげるからさ」

 荒く息を吐く柊一サンの頬にキスをして、降り注ぐ湯で泡も汚れも洗い流す。
 商売とは別に、好みのベッピンを抱く悦びに、俺は自分がワクワクしているのを感じた。
 吐精の余韻に捕らわれている柊一サンは、促されるままバスルームを後にする。
 ベッドに横になった柊一サンは、漆黒の瞳に未だ微かな戸惑いを浮かべて俺を見た。

「怖い?」
「そんな…ことはない」
「そうなの? じゃあ、寒い?」
「いや、別に」
「そう…。それじゃあ、どうして震えてるの?」

 俺は格別優しい笑みを浮かべて、少し意地の悪い問いを投げかけた。
 案の定、柊一サンは答えるのを拒絶するみたいに、赤らめた顔を背けてみせる。
 笑いを堪えた三日月型の口唇を、さらけ出された首筋に押し当てて。
 それから俺は、柊一サンの滑らかな肌の感触を楽しみながら、指先を胸元へと滑らせる。

「ココ、感じる?」
「く……すぐったい…」

 人差し指で乳首をなぞると、ピクンと全身が反応する。

「ホントに、それだけ?」

 問い掛けながら、クルクルと何度も形をなぞると、そこは堅く充血してきた。

「ほら、勃ってきた」

 人差し指と親指でつまんで、コリコリした感触を確かめる。

「痛い……っ」
「それだけじゃないでしょ?」

 俺は、もう片方の乳首に口唇を近づけて、まずはベロリと大きく嬲る。
 指先では押しつぶしたり摘んだりと繊細に、口に含んだ方は大胆に舐め回して軽く歯を立て、両方を同時に違う刺激で責め立ててやった。

「あ……! い……っ……」

 馴れない感覚に戸惑うように、柊一サンは身を竦ませたが。
 しかし、身体は未知の恐怖よりも強い刺激に反応し始めている。
 俺の下で悶えている身体の一部が、俺の身体にコツンと当たった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

男色医師

虎 正規
BL
ゲイの医者、黒河の毒牙から逃れられるか?

食事届いたけど配達員のほうを食べました

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか? そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。

手作りが食べられない男の子の話

こじらせた処女
BL
昔料理に媚薬を仕込まれ犯された経験から、コンビニ弁当などの封のしてあるご飯しか食べられなくなった高校生の話

【R18 大人女性向け】会社の飲み会帰りに年下イケメンにお持ち帰りされちゃいました

utsugi
恋愛
職場のイケメン後輩に飲み会帰りにお持ち帰りされちゃうお話です。 がっつりR18です。18歳未満の方は閲覧をご遠慮ください。

珍しい魔物に孕まされた男の子が培養槽で出産までお世話される話

楢山コウ
BL
目が覚めると、少年ダリオは培養槽の中にいた。研究者達の話によると、魔物の子を孕んだらしい。 立派なママになるまで、培養槽でお世話されることに。

母の再婚で魔王が義父になりまして~淫魔なお兄ちゃんに執着溺愛されてます~

トモモト ヨシユキ
BL
母が魔王と再婚したルルシアは、義兄であるアーキライトが大の苦手。しかもどうやら義兄には、嫌われている。 しかし、ある事件をきっかけに義兄から溺愛されるようになり…エブリスタとフジョッシーにも掲載しています。

無理やりお仕置きされちゃうsubの話(短編集)

みたらし団子
BL
Dom/subユニバース ★が多くなるほどえろ重視の作品になっていきます。 ぼちぼち更新

【完結】もっと、孕ませて

ナツキ
BL
3Pのえちえち話です。

処理中です...