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第1夜
5-2
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部屋に入ってすぐに、セイ氏はいそいそとテーブルの上に置かれたコンビニの袋に取り付いた。
ツアーに出てすぐに、俺はこの人が実に子供っぽい性格をしている事を教えられたが、実際目の当たりにするまでは信じられなかったんだよなぁ…とか、ちょっと思い出したりして。
「リンタロー君、開けないの?」
「上着、吊しておかないとシワになっちゃうから…」
レザーのジャケットをハンガーに掛けてつるし、それから俺はテーブルに向かう。
こいつを開封するのはもうすっかりお馴染みだけど、ここまでしげしげと手元を見つめられたのなんて初めてだ。
パッケージのフィルムを剥がし、箱を開ける。
中からバラバラの模型と一緒に、申し訳程度のキャンディが一つコロンと出てきた。
セイ氏はパッケージに包まれた、バラバラの模型を不思議そうに広げて見つめている。
「すげぇなぁ! なんかプラモみたくなってる!」
「バラしてあるから、組み立てると結構ちゃんとしますよ」
言いながら、俺はハサミを手に取るとパッケージを開け、パーツを組み立てる。
出来上がったロボのフィギュアを、セイ氏は瞳をキラキラさせながら手に取った。
「おお~! なんだこりゃ! ホントにオマケかよっ!」
「だからオマケが目的って言ったじゃないですか。俺、このアニメが結構好きで…」
「箱にいろんな写真付いてるけど、一箱に一種類しか入ってないの?」
「目当てのオモチャが出るまで買っちゃうから、オトナ買いとか言われてるんですよ」
「ふ~ん。面白いなっ!」
セイ氏は、組み上がったフィギュアが、ちゃんと二足でテーブルに立つ事にも感嘆し、いろいろと見る角度を変えてみたり、顔を近づけたりしていたが。
不意に目線を上げて俺を見た。
その、本人は全く無意識にしてみせた無邪気な仕草が、あまりに色っぽくて。
俺はほんの今の今まで、そんな事をすっかり忘れていたのに。
その目に見上げられた瞬間、昼間見てしまったセイ氏の顔を思い出してしまったのだ。
床にペッタリと座り込みフィギュアに見入っているセイ氏は、鎖骨とそれに続く肩のラインがスウェットの襟元からのぞいていて。
白い肌から立ち上る微かな体温さえも見て取れそうな、妖艶さが漂っていた。
その一瞬、俺には思考力なんてなにもなかった。
気づいたら俺は、絨毯の上にセイ氏を押し倒していたのだ。
「リ……リンタロー…君?」
驚きに目を見開いたセイ氏は、抵抗もしないで俺を見上げている。
でも、その形になってしまった俺には、もう選択の余地なんて残っていなくて。
うっすらと開かれている薄い口唇に、がむしゃらに自分のそれを押し当てるコトしか出来なかった。
「んんっ……っ!」
俺の名前を呼ぼうとしたセイ氏に、俺は強引に舌をねじ込んで。
抵抗を始めた両腕をガッチリと押さえ込み、両足の間に膝を割り入れる。
「ちょ……ちょい待てって!」
はだけた襟元に噛み付くようにくちづけたところで、俺の予想とはまるで違う妙に落ち着き払った声で制止されて、俺は思わず顔を上げてしまった。
「あのさぁ、スルのは良いけどベッドにしねぇ? こんな固い床の上なんて、出来れば遠慮したいんだけど?」
「…えっ?」
なんだかまったく考えてもいなかった事態の展開に俺が唖然としているのも構わず、セイ氏はスルリと俺の腕から逃れて立ち上がり、室内のメインスイッチを切った。
ツアーに出てすぐに、俺はこの人が実に子供っぽい性格をしている事を教えられたが、実際目の当たりにするまでは信じられなかったんだよなぁ…とか、ちょっと思い出したりして。
「リンタロー君、開けないの?」
「上着、吊しておかないとシワになっちゃうから…」
レザーのジャケットをハンガーに掛けてつるし、それから俺はテーブルに向かう。
こいつを開封するのはもうすっかりお馴染みだけど、ここまでしげしげと手元を見つめられたのなんて初めてだ。
パッケージのフィルムを剥がし、箱を開ける。
中からバラバラの模型と一緒に、申し訳程度のキャンディが一つコロンと出てきた。
セイ氏はパッケージに包まれた、バラバラの模型を不思議そうに広げて見つめている。
「すげぇなぁ! なんかプラモみたくなってる!」
「バラしてあるから、組み立てると結構ちゃんとしますよ」
言いながら、俺はハサミを手に取るとパッケージを開け、パーツを組み立てる。
出来上がったロボのフィギュアを、セイ氏は瞳をキラキラさせながら手に取った。
「おお~! なんだこりゃ! ホントにオマケかよっ!」
「だからオマケが目的って言ったじゃないですか。俺、このアニメが結構好きで…」
「箱にいろんな写真付いてるけど、一箱に一種類しか入ってないの?」
「目当てのオモチャが出るまで買っちゃうから、オトナ買いとか言われてるんですよ」
「ふ~ん。面白いなっ!」
セイ氏は、組み上がったフィギュアが、ちゃんと二足でテーブルに立つ事にも感嘆し、いろいろと見る角度を変えてみたり、顔を近づけたりしていたが。
不意に目線を上げて俺を見た。
その、本人は全く無意識にしてみせた無邪気な仕草が、あまりに色っぽくて。
俺はほんの今の今まで、そんな事をすっかり忘れていたのに。
その目に見上げられた瞬間、昼間見てしまったセイ氏の顔を思い出してしまったのだ。
床にペッタリと座り込みフィギュアに見入っているセイ氏は、鎖骨とそれに続く肩のラインがスウェットの襟元からのぞいていて。
白い肌から立ち上る微かな体温さえも見て取れそうな、妖艶さが漂っていた。
その一瞬、俺には思考力なんてなにもなかった。
気づいたら俺は、絨毯の上にセイ氏を押し倒していたのだ。
「リ……リンタロー…君?」
驚きに目を見開いたセイ氏は、抵抗もしないで俺を見上げている。
でも、その形になってしまった俺には、もう選択の余地なんて残っていなくて。
うっすらと開かれている薄い口唇に、がむしゃらに自分のそれを押し当てるコトしか出来なかった。
「んんっ……っ!」
俺の名前を呼ぼうとしたセイ氏に、俺は強引に舌をねじ込んで。
抵抗を始めた両腕をガッチリと押さえ込み、両足の間に膝を割り入れる。
「ちょ……ちょい待てって!」
はだけた襟元に噛み付くようにくちづけたところで、俺の予想とはまるで違う妙に落ち着き払った声で制止されて、俺は思わず顔を上げてしまった。
「あのさぁ、スルのは良いけどベッドにしねぇ? こんな固い床の上なんて、出来れば遠慮したいんだけど?」
「…えっ?」
なんだかまったく考えてもいなかった事態の展開に俺が唖然としているのも構わず、セイ氏はスルリと俺の腕から逃れて立ち上がり、室内のメインスイッチを切った。
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