上 下
17 / 30

第17話

しおりを挟む
 数日後、柊一は多聞に呼び出され、多聞の自宅のあるマンションを訪れた。

「イイ所に住んでるな」
「だって俺、金持ちだも~ん」

 少し嫌み混じりの柊一の言葉を、ちゃかすような態度で取り合わず、多聞は迷わず柊一を寝室へと案内する。

「いきなりかよ」

 呆れ顔の柊一にもお構いなしで、多聞は服を脱いだ。

「オマエさぁ、ちゃんとケータイ持ってた? 何回かけても繋がンなかったぞ」
「勤務中に電話なんか出られるかい。持ってはいたけど、電源入れてなかった」
「それじゃケータイしてる意味、ねェじゃんか」

 柊一をキングサイズのベッドの上に寝そべらせ、自分もその隣にダイブする。

「俺、別にアンタを中心に生きてるワケじゃないから」

 崩れないクールな態度が、多聞をはしゃいだ気持ちにさせる。

「CD、買ったのかよ?」
「ああ、うん。買ったよ。そうだ、俺アンタから金を貰おうと思ってたんだっけ」

 顎をくすぐるように手を添えて、柊一の表情を間近で眺めていた多聞を押しのけ、柊一はジーンズのポケットに手を入れる。

「なに、コレ? 領収書ぉ?」

 突き出されたレシートを受け取り、多聞はそれと柊一の顔を交互に見た。

「だって俺、CDプレーヤーなんて持ってないから。聞くには買わなきゃならないだろ。アンタが買って聞けって言ったんだから、請求する権利あると思うんだけど」
「ホント、オマエって面白いヤツな」

 多聞は肩を竦め、再び柊一の身体を引き寄せる。

「コレは、後で今日の代金と一緒にやるよ。そんなくだらないコト言って焦らしてないで、俺は早くオマエを食べたい」
「なにそれ? 先にCDの話振ってきたの、アンタじゃないか」
「その感想も、後でじっくり聞くけどさ」

 柊一の着ているTシャツをたくし上げ、露になった部分から遠慮なく舌を這わせる。

「…アンタ、ヒトリモンなの?」

 まるで首からひっこぬくみたいな、乱暴な動作で自分の服を剥ぐ多聞に向かって、柊一は特に抵抗もせずに天井を眺めながら言った。

「一応、結婚はしてるよ。もっとも、離婚の争議中だけどね。なんで?」
「いや…、アンタみたいに変態じみたヤツの恋人やってんのなんて、大変だろうなぁと思ってさ。こんな、男にまで手ェ出すようじゃ、気苦労も耐えないだろうし…。だよな、やっぱり離婚したくなるよなぁ」

 そんな風に言われては、さすがに多聞もムッとくる。ジーンズのファスナーを降ろすと、その中に手を滑り込ませて柊一自身を握り、かなりきつく先端に爪を立てた。

「痛ってーっ! てめェ、なにしやがるっ!」
「くだらねェコト、言ってるからだろ。もっと行為に集中しろよ」
「なに言ってやがる。こんなコトしてる方が、よっぽどくだらねェだろ。付き合ってもらってるだけ、ありがたく思え。この変態ッ」

 柊一の機嫌を損ねた事よりも、やっぱり相変わらず柊一が自分を相手にしていない事実の方に無性に腹が立った。
 多聞は身体を起こすと、柊一を俯せにして、側にあった何かのコードで両手の自由を奪った。

「おいっ! 痛ェッてっ!」

 柊一の苦情を取り合わず、多聞は柊一の身体を仰向けに戻すと、両足を掴んで身体を二つに折り曲げるような格好にする。

「莫迦ッ、痛ェッて言ってんだろっ!」

 そのまま大きく足を開かせると、柊一の顔が足の間から見える。
 多聞は黙って、明るいところに晒された柊一の蕾を舐め始めた。

「この…変態ッ!」
「その言葉、もう聞き飽きたな。…もっとバリエーション無いの?」

 柊一に向かって意地の悪い笑みを浮かべ、多聞は舌を伸ばして柊一の感じやすい部分に刺激を与える。

「んんっ!」

 両方の膝の内側に手を置いて、多聞は柊一が決して足を閉じる事が出来ないように押さえ込み、舌で柊一を責めた。
 海老のように二つ折りにされ、両手の自由も奪われている柊一は、多聞の与えてくる刺激に身体を震わせる他は、声を抑えている以外に抵抗する術はない。

「ダメじゃん。声出さなきゃ、ボーナスは出せないって言ったろ」
「う…るせェッ!」

 蕾の奥に舌を滑り込ませ、堅く閉じているそこをほぐすように唾液で湿らせると、柊一の身体が微かに震え始める。
 同性との行為に馴れていない割に、柊一の身体がとても敏感で感じ易いのだ。
 持ち上げている両足を自分の肩に掛けさせると、多聞は手を伸ばして堅く張りつめている乳首に触れてみる。
 指先が触れただけで、柊一の身体が強張るように震えた事が、無闇に多聞を喜ばせた。
 強くつまみ上げ、親指と人差し指でこね回しながら、伺うように柊一の顔を見る。
 柊一は眉間にしわを寄せ、目を閉じていた。
 睫毛が、意外なほど長くて。そんな小さな事実に気づいた事が、無性に嬉しくて。
 多聞は右手を、いきり勃っている柊一自身へと移す。

「柊一、ちょっとこっちみろ」
「………」

 返事はせず、柊一は少し嫌そうに目を開いた。
 そんな相手に対し、多聞は握っていたそこに強く刺激を与えた。

「て…めェ…」

 自分の顔に、自身の精液をかけられて、さすがに柊一は自由になる足で多聞に報復をしようとした。
 が、既に反撃を予想していた多聞は、するりと逃れてしまう。

「オマエって、ホントに可愛いなぁ」

 多聞が手を離した事で身体を伸ばす事が出来た柊一は、肩で身体を支えるようにしてギッと多聞を睨み付けた。
 多聞は柊一の髪に手を伸ばし、無理矢理口唇を重ね合わせた。
 歯列をこじ開け、舌を強引に絡ませる。
 息継ぎも出来ず、苦しげに眉を寄せる表情がたまらない。
 両手の自由を奪われている姿が、SMチックな雰囲気を醸して、いつも以上に興奮する。
 多聞は、柊一の白い身体に自分の痕をつける事に夢中になった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

【完結】あなたに撫でられたい~イケメンDomと初めてのPLAY~

金色葵
BL
創作BL Dom/Subユニバース 自分がSubなことを受けれられない受け入れたくない受けが、イケメンDomに出会い甘やかされてメロメロになる話 短編 約13,000字予定 人物設定が「好きになったイケメンは、とてつもなくハイスペックでとんでもなくドジっ子でした」と同じですが、全く違う時間軸なのでこちらだけで読めます。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...