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第5話
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「なぁ…」
しばらく黙ってテレビを眺めていると、乾き始めていた髪が指先からサラサラと落ちた。
目線を向けると、満足行くまで食事を平らげたらしい彼がこちらに顔を向けている。
「どうした?」
「食った」
「だから?」
中師の答えにちょっと不満そうな表情をし、彼は向かい合うように身体の向きを変える。
「しねェの?」
ストレートな問いかけに、中師は微かに笑って肩にかけていた手で彼の身体を引き寄せた。
「食欲の次は性欲か? 判りやすいな」
「なんだよ、代金だろ? しなくて良いなら、俺はその方が良いんだ」
再び子供のように口唇を尖らせる彼に、中師は思わず笑ってしまう。
「いいや、代金はちゃんといただくよ」
口元に微かに残っていたトマトソースを舐めとって、中師は側のベッドに彼を促す。
「フローリングじゃあ、痛いだろう?」
「そりゃあ、柔らかい場所の方がイイに決まってるよ」
促されるままベッドに乗った彼は、両足を投げ出すように座り後ろに手をついて、テレビを消して立ち上がった中師を見上げてくる。
端正な顔に口唇を寄せ、中師は彼の身体をそのままゆっくりと押し倒した。
バスローブの腰ひもを解くと、下着を何も付けていない彼の裸体が露わになった。
その瑞々しい肌に、中師は指を滑らせる。
首筋に跡の残るような口づけを与え、中師の指が彼の茂みのあたりにさしかかった時。
「電気…消さねェの?」
彼が唐突に言った。
「なんだ、恥ずかしいのか?」
手を止めようとはせずに、茶化すような声で中師は答えを返す。
「別にそーゆーのは無いけど…。でも、この部屋が殺風景であんま気分が乗らないから」
「こだわり派なんだな」
笑う中師に、彼は微かに眉を顰めた。
「そんなんじゃねェよ。…ただ、なんちゅーか…アンタこの部屋に似合わな過ぎんだよ」
「どういう意味だ?」
「この部屋でスルんなら、もっとこう俺と同世代のさぁ…」
「年輩はイヤか?」
「そーじゃなくて!」
青年は中師の胸に手を当てて押し戻すように己の身から引き離すと、身体を起こしてベッドから降り立ち、室内灯のスイッチを乱暴な仕草でOFFにしてから再びベッドの側に戻ってきた。
「ハッキリ言うけど、俺はコレでも、全然タイプじゃなかったら食い逃げしちゃう事にしてんだぜ?」
ベッドの上の中師を見下ろしながら、彼は腰に手を当てている。
「私はお眼鏡にかなったのか?」
「そんな話じゃなくてさぁ…。俺、上手く言えないんだけど、アンタはその…もっとなんつーか豪華な家に住んでて広い寝室にでっかいベッドがあってさぁ、あっちの方もスゲ上手くて…」
改めて室内を見回すように、彼は身体を捻って殺風景なワンルームに振り返った。
「それは残念だったな。ガッカリさせてばかりで申し訳ないが、私は同性との行為はコレが初めてだ」
「うっそっ?」
窓から差し込む都会の明かりだけが頼りの室内でさえ解る程、彼は大仰な身振りで中師に振り返る。
「なにもかも期待を裏切って悪いな…。なんなら、今から『食い逃げ』するかい?」
「……別にいーよ。だって、今日はしてもイイって最初に決めたし。俺、後になって最初の予定を変えるのって後味悪いから嫌いなんだよな」
スッと身体を動かす気配がして、中師の口唇に青年のそれが押しつけられる。
「それに、暗くして部屋ン中が見えなくなっちゃえば、結構イイ感じじゃん。夜景が綺麗だから、ホテルのスイートみたいな気になるし」
「…名前を…まだ聞いてなかったな?」
ゆっくりと舌を絡ませ合いながら、中師は彼の身体を再び抱き寄せた。
「う…ん…、柊一って呼んでくれりゃいいよ…」
暗闇の中でさえ、白く浮き上がって見える裸体を両手で愛撫すると、腕の中で柊一の身体が震えるのが解る。
胸元を撫で上げると、それは一際大きく中師の腕の中で跳ねた。
「ココが…好きなのかな?」
ツンと尖った先端を指でつまみ上げると、微かにヒュッと息を吸い込むような音が聞こえる。
そのまま指先で押しつぶすようにこね回し、中師は先程触れ損ねた茂みの中にもう一方の手を延ばした。
「…んん…っ!」
頭を左右に振る度に、髪が乾いた音をたてる。
「ア…ンタ…、相当遊んでンだろ…」
「さぁ、どうかな?」
クスクスと笑って、中師は堅く張りつめ始めた柊一の分身を握り込んだ。
透明な雫に濡れた先端を、指先で強く擦り上げる。
「…はぐらかしやがって……男と初めてっての、ホントはウソだろ」
中師の肩に額をこすりつけるようにしながら、柊一は中師の手を受け入れるように足を開いて膝で立ち上がるように腰を浮き上がらせた。
「なんでそんな嘘を吐く必要がある? それならいっそ、百戦錬磨と言っておいた方がまだマシだろう」
上半身を屈ませるような形で中師にしがみついている身体を起こさせ、丁度目の高さにきた胸から腹にかけてを舌と口唇でなぞり、滑らかな感触を楽しむ。
「ちょ……、そんなに…煽るなよ……俺…っ!」
口唇での愛撫に加え、右手に握り込まれた部分に絶え間なく刺激を与えられて、柊一は逃れるように身を捩った。
しばらく黙ってテレビを眺めていると、乾き始めていた髪が指先からサラサラと落ちた。
目線を向けると、満足行くまで食事を平らげたらしい彼がこちらに顔を向けている。
「どうした?」
「食った」
「だから?」
中師の答えにちょっと不満そうな表情をし、彼は向かい合うように身体の向きを変える。
「しねェの?」
ストレートな問いかけに、中師は微かに笑って肩にかけていた手で彼の身体を引き寄せた。
「食欲の次は性欲か? 判りやすいな」
「なんだよ、代金だろ? しなくて良いなら、俺はその方が良いんだ」
再び子供のように口唇を尖らせる彼に、中師は思わず笑ってしまう。
「いいや、代金はちゃんといただくよ」
口元に微かに残っていたトマトソースを舐めとって、中師は側のベッドに彼を促す。
「フローリングじゃあ、痛いだろう?」
「そりゃあ、柔らかい場所の方がイイに決まってるよ」
促されるままベッドに乗った彼は、両足を投げ出すように座り後ろに手をついて、テレビを消して立ち上がった中師を見上げてくる。
端正な顔に口唇を寄せ、中師は彼の身体をそのままゆっくりと押し倒した。
バスローブの腰ひもを解くと、下着を何も付けていない彼の裸体が露わになった。
その瑞々しい肌に、中師は指を滑らせる。
首筋に跡の残るような口づけを与え、中師の指が彼の茂みのあたりにさしかかった時。
「電気…消さねェの?」
彼が唐突に言った。
「なんだ、恥ずかしいのか?」
手を止めようとはせずに、茶化すような声で中師は答えを返す。
「別にそーゆーのは無いけど…。でも、この部屋が殺風景であんま気分が乗らないから」
「こだわり派なんだな」
笑う中師に、彼は微かに眉を顰めた。
「そんなんじゃねェよ。…ただ、なんちゅーか…アンタこの部屋に似合わな過ぎんだよ」
「どういう意味だ?」
「この部屋でスルんなら、もっとこう俺と同世代のさぁ…」
「年輩はイヤか?」
「そーじゃなくて!」
青年は中師の胸に手を当てて押し戻すように己の身から引き離すと、身体を起こしてベッドから降り立ち、室内灯のスイッチを乱暴な仕草でOFFにしてから再びベッドの側に戻ってきた。
「ハッキリ言うけど、俺はコレでも、全然タイプじゃなかったら食い逃げしちゃう事にしてんだぜ?」
ベッドの上の中師を見下ろしながら、彼は腰に手を当てている。
「私はお眼鏡にかなったのか?」
「そんな話じゃなくてさぁ…。俺、上手く言えないんだけど、アンタはその…もっとなんつーか豪華な家に住んでて広い寝室にでっかいベッドがあってさぁ、あっちの方もスゲ上手くて…」
改めて室内を見回すように、彼は身体を捻って殺風景なワンルームに振り返った。
「それは残念だったな。ガッカリさせてばかりで申し訳ないが、私は同性との行為はコレが初めてだ」
「うっそっ?」
窓から差し込む都会の明かりだけが頼りの室内でさえ解る程、彼は大仰な身振りで中師に振り返る。
「なにもかも期待を裏切って悪いな…。なんなら、今から『食い逃げ』するかい?」
「……別にいーよ。だって、今日はしてもイイって最初に決めたし。俺、後になって最初の予定を変えるのって後味悪いから嫌いなんだよな」
スッと身体を動かす気配がして、中師の口唇に青年のそれが押しつけられる。
「それに、暗くして部屋ン中が見えなくなっちゃえば、結構イイ感じじゃん。夜景が綺麗だから、ホテルのスイートみたいな気になるし」
「…名前を…まだ聞いてなかったな?」
ゆっくりと舌を絡ませ合いながら、中師は彼の身体を再び抱き寄せた。
「う…ん…、柊一って呼んでくれりゃいいよ…」
暗闇の中でさえ、白く浮き上がって見える裸体を両手で愛撫すると、腕の中で柊一の身体が震えるのが解る。
胸元を撫で上げると、それは一際大きく中師の腕の中で跳ねた。
「ココが…好きなのかな?」
ツンと尖った先端を指でつまみ上げると、微かにヒュッと息を吸い込むような音が聞こえる。
そのまま指先で押しつぶすようにこね回し、中師は先程触れ損ねた茂みの中にもう一方の手を延ばした。
「…んん…っ!」
頭を左右に振る度に、髪が乾いた音をたてる。
「ア…ンタ…、相当遊んでンだろ…」
「さぁ、どうかな?」
クスクスと笑って、中師は堅く張りつめ始めた柊一の分身を握り込んだ。
透明な雫に濡れた先端を、指先で強く擦り上げる。
「…はぐらかしやがって……男と初めてっての、ホントはウソだろ」
中師の肩に額をこすりつけるようにしながら、柊一は中師の手を受け入れるように足を開いて膝で立ち上がるように腰を浮き上がらせた。
「なんでそんな嘘を吐く必要がある? それならいっそ、百戦錬磨と言っておいた方がまだマシだろう」
上半身を屈ませるような形で中師にしがみついている身体を起こさせ、丁度目の高さにきた胸から腹にかけてを舌と口唇でなぞり、滑らかな感触を楽しむ。
「ちょ……、そんなに…煽るなよ……俺…っ!」
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